沖縄国際大学 平成16年度 点検・評価報告書


終   章


大学の全体的評価

 創立以来、地域に根ざす大学を標榜してきた本学は、地域振興と地域人材育成を目的に理念・教育目標を定め、学部学科組織と教育課程を整備してきたが、各部署の自己点検・評価を踏まえ、また在籍数に占める沖縄県内出身者の比率(約95%)や卒業生の社会進出からみて、所期の目的はほぼ達成されていると評価できる。
 しかし現状に甘んずることなく、平成7年以来の一連の学部学科の新増設、大学院の設置と研究科の増設などは、地域ニーズに応えることを使命とする本学の基本方針に沿ったものである。志願者の動向や在籍学生数から考え合わせて、これらの改革は成功しているとみてよい。
 地域密着型大学の典型的な成功例は学部付置の3研究所に見られる。各研究所はそれぞれの分野から大学の位置する南島地域の調査研究に従事しているが、調査結果の発刊、研究会・シンポジウムや市民講座の開催、資料収集と共同利用、自治体各種委員会への参加などは地域から高く評価されている。最新設備を施した図書館の地域開放、また沖縄本島北部にある沖縄国際大学東村セミナーハウスを拠点とした地域と大学との交流はもう一つの事例である。
 他方、今回の自己点検・評価で明らかになった課題もある。それは主として教育実践と関わるが、まず科目履修方法上の問題がある。本学はカリキュラム内容を豊富にするとともに、学生の興味と適性に基づく自主的な選択を期待しているが、学生はそこまで主体的ではないという指摘がある。また資格免許関連科目に集中して、専門科目や教養教育科目の選択幅が限られているということも検討しなけばならない。
 次に学部間で共通している問題は教育方法と関わる。教育効果の測定、評価、教材開発、授業研究は組織的に取り組まれていないという現状認識が多い。これはFD研究と関わるが、委員会はあるものの一部の学部を除いて全学的にはまだ十分機能していない。これは大きな反省事項である。
 その他、教養部の廃止以降、教養教育の在り方が十分認識されていない。これを踏まえて特別委員会を設けて今後の方策について検討し、中間答申も受けているが(平成13年)本格的作業は今後の課題である。
 入学者の定員管理は、大学財政との関わりで頭の痛い問題である。二部の定員割れ、学部学科の改組転換とのからみで入学定員率は目標の1.20から逸脱したりしている。これは新学科の定着化とともに是正できるとみてよい。
 教員の高齢化傾向は大学基準協会からも指摘されたところであるが、徐々に改善されつつあるものの、急にはよくならない。理由は定年以降3年間の特任制度を設けて久しいこと、新学部学科設置が続いて有資格教員を補充するのに40歳未満では困難なことが上げられる。また兼任教員比率の高さも是正される必要がある。
 以上の主要問題に対する改善方策として、@履修方法の見直し、AFDへの全学的な取り組み、B入試管理の一部見直し、C教員補充方法の改善が上げられる。@〜Bは教員の意識改革で比較的容易に着手できるが、Cは教員の身分とのからみもあって、地道に取り組んでいきたい。