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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2025/03/24 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
民俗・人類学特殊講義Ⅰ/Special Recture on Folklore and Cultural Anthropology Ⅰ
時間割コード
/Course Code
I470110001
開講所属
/Course Offered by
総合文化学部社会文化学科コースなし/College of Global and Regional Culture Department of Society and Regional Culture
開講区分
/semester offered
集中/Intensive
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
2,3,4
主担当教員
/Main Instructor
菊池 真理(非常勤)
科目区分
/Course Group
専門科目 専門科目選択/専門科目 専門科目選択
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
菊池 真理(非常勤) 社会文化学科/Department of Society and Regional Culture
※ポリシーとの関連性
/*Relevance to Policy
「専門分野における個別テーマについて深く学ぶための「発展科目」の提供」に対応し、文化人類学の方法を通して、日々の私たち自身の在りようと、植民主義や紛争・暴力の問題、自然環境問題、生と死の問題とが、どのように接続しているのかについて、文化人類学的な民族誌や文芸作品、映像などに触れることで学びます。
授業に関する問い合わせ
/Inquiries about classes
授業終了後に教室で、又はE-mailで受け付けます。
学びの準備
/Prepare to learn
ねらい
/Goal
① 自らに対する「傷つきやすさ」(vulnerability) を麻痺させること(自分に対する抑圧者になること)と、紛争や暴力の問題とが、どのように結びついているかについて学ぶ。
② 自然や死者との様々な関係性について学ぶことを通して、自分と他者に対する「傷つきやすさ」を取り戻すことを試みる。
③ 自分に対する「傷つきやすさ」を足場にして、他者への暴力を「自分ごと」として捉える人類学の可能性を探る。
④ 自分と他者がどのように「うつし」合っているか、自分とは何者で在る/り得るかについて探求する。
メッセージ
/Message
① 本講義は、8月25日~29日までの5日間(初日:3限~5限目、以降:2限目~4限目)に集中講義での実施を予定しています。必ず出席してください。
② 国内外の様々な事例を取り上げますが、対象となる地域の専門的な知識がなくても理解できるように解説します。
到達目標
/Attainment Targets
① 自他に対する「傷つきやすさ」と、紛争・暴力の問題や自然環境問題とが、地続きにあることを理解する。
② 自分に対する「傷つきやすさ」を回復し、それを足場にして他者と接続していく回路を探求し、新たな気づきと思考方法を獲得する。
③ 沖縄では、現在進行形で進む軍事強化やそれに伴う日常的な様々な形の暴力や破壊が人や動物や自然を傷つけ苦しめている。そのことが自分の生と切り離された形で起きているのではないこと、又、他者の苦しみや傷みを痛/悼むことを通じて自らのそれを痛/悼み癒していくことについて、自他の「うつし」合いから理解する。
学びの実践
/Learning Practices
授業計画
/Class Plan
テキスト・参考文献・資料など
/Textbooks, references, materials, etc.
① テキスト
テキストは使用せず、課題文献を配布し、それに基づいて授業を行います。
② 課題文献(その他、授業の中で紹介)
・煎本孝 2019『こころの人類学:人間性の起源をたどる』筑摩書房.
・緒方正人 2020『チッソは私であった 水俣病の思想』河出書房新社.
・落合一泰 1997「東方の驚異、ワイルド・マン、インディアン、グリーザー――近代西欧<民族人類学>によるアメリカ大陸の<占有>―」青木保ほか編『岩波講座 文化人類学 第1巻 新たな人間の発見』岩波書店 pp. 141-80.
・キマラー, R.W. 2018 『植物と叡智の守り人:ネイティブアメリカンの植物学者が語る科学・癒やし・伝承』三木直子訳 築地書館.
・深尾葉子 2012『魂の脱植民地化とは何か』青灯社.
・星野道夫 2000『ノーザンライツ』新潮社.
      1998『イニュニック[生命]:アラスカの原野を旅する』新潮社.
・松村圭一郎 2020『はみだしの人類学:ともに生きる方法』NHK出版.
・森岡正芳 2005『うつし――臨床の詩学』みすず書房.
・Behar, R. 1996. The Vulnerable Observer: Anthropology That Breaks Your Heart. Beacon Press.
この他、必要に応じて授業の中で紹介します。
学びの手立て
/Way of learning
① 履修の心構え
・受講にあたって、文化人類学の基本的な考え方や方法論についての理解が必要となります。文化人類学の科目を受講したことがない学生さんを含め、事前に指定する課題文献に目を通しておいて下さい。(初日の授業内で文化人類学について短い概説を行う予定)
② 学びを深めるために
・日々の生活を心を込めて丁寧に生きることを意識し、自分の五感を楽しませるように味わいながら、研ぎ澄ませることを心掛けてみてください。
・授業内で課題文献を音読しながら、身体や五感を通して自分と他者や世界に対する感受性を高め、想像力を拡げることを意識して行ってみてください。
・授業では、自分の身体、五感、感情、魂が「揺さぶられる」体験をシェアする機会を設ける予定です。
・各日授業の最後にリアクション・ペーパー記入の時間を設けます。授業を受けて考えたことや感じたことなどを言語化する練習、自分自身と向き合う機会、レポート作成の準備として取り組んで下さい。リアクション・ペーパーは、個人が特定されない範囲で次回以降の授業でシェアすることがありますが、これを通して、文化人類学の目的の一つ、「他者を通して自分をより深く知る」を実践します。
評価
/Evaluation
レポート60%、鑑賞文10%、平常点30%
・レポートの評価基準は、課題に対しての文化人類学の視点や方法を踏まえた説明の論理的整合性と、自分の経験や気づきを踏まえて書かれているかを軸に評価します。
・鑑賞文の評価基準は、主に、作品から感じたり読み取ったことが自分の言葉で書かれているかどうか、また、どのような新たな気づきや自己変容があったか等を軸に評価します。
・平常点については、リアクション・ペーパーやディスカッション等による授業参加の積極性を軸に評価します。
学びの継続
/Continuing to learn
次のステージ・関連科目
/Next Stage and Related Courses
関連科目は「文化人類学理論」などです。本講義で得た視点や方法を、卒業論文作成等に活かしてもらえればと思います。
No. 回(日時)
/Time (date and time)
授業計画
/Class Plan
時間外学習の内容
/Content of Overtime Learning
備考
/Notes
1 1 イントロダクション
・授業の進め方・受講上の注意点
・学生の自己紹介(本講義を受講した理由・動機など)
課題文献を事前に読んでおく
・松村圭一郎 2020、その他
授業の進み具合等によってスケジュールが変更になる場合もあります。
2 2 「傷つきやすさ」 ①
・「傷つきやすさ」(vulnerability)についての人類学的研究の紹介
課題文献を事前に読んでおく
3 3 「傷つきやすさ」 ②
・「傷つきやすさ」を取り戻すということ
・講師による「人類学的民族誌研究と病・自己の癒やしに関するオートエスノグラフィ(自伝的民族誌)」(仮)の紹介
課題文献を事前に読んでおく
4 4 スリランカ ① 概説
・歴史、社会、文化、経済、政治について
・内戦、暴動について
課題文献を事前に読んでおく
5 5 スリランカ ②
・内戦後スリランカ社会における「傷つきやすさ」に関する民族誌的事例の紹介
課題文献を事前に読んでおく
6 6 スリランカ ③ 映画鑑賞
・スリランカ内戦をめぐる傷みと怖れについて描いた作品『Demons in Paradise』(2017)
映画の鑑賞文を書く
7 7 スリランカ ④ ディスカッション
・映画『Demons in Paradise』(2017)について
シェアされた他の学生の鑑賞文に事前に目を通しておく
8 8 水俣病の思想 ① 概説
・水俣病ついて
課題文献を事前に読んでおく
9 9 水俣病の思想 ② 「加害者」/「被害者」、近代とシステム社会
・緒方2020『チッソは私であった』を音読し、テーマについてディスカッションを行う。
課題文献を事前に読んでおく
10 10 水俣病の思想 ③ 魂のゆくえと救済、命のふるさと/おのれに還る
・緒方2020『チッソは私であった』を音読し、テーマについてディスカッションを行う。
課題文献を事前に読んでおく
11 11 アマゾン先住民:ドキュメンタリー鑑賞
・ドキュメンタリー『ヤノマミ:奥アマゾン・原始の森に生きる』(2010)
・アマゾン先住民の世界観・死生観・生命観に触れることを通して、自分の生が本来何によってどのように支えられているについて考える。
ドキュメンタリーの鑑賞文を書く
12 12 アラスカ先住民
・写真家・星野道夫の作品『イニュニック[生命]』『ノーザンライツ』を音読し、自他の生/死への畏敬や愛おしさ等に触れながら、テーマ(土地・生き物・死者・精霊との関わり)についてディスカッションを行う。
課題文献を事前に読んでおく
13 13 北米先住民と植物の世界 ① 私たちは何を享受しているのか
・キマラー2018『植物と叡智の守り人:ネイティブアメリカンの植物学者が語る科学・癒し・伝承』を音読し、テーマについてディスカッションを行う。
課題文献を事前に読んでおく
14 14 北米先住民と植物の世界 ② 私たちは何をお返しできるのか
・キマラー2018『植物と叡智の守り人:ネイティブアメリカンの植物学者が語る科学・癒し・伝承』を音読し、テーマについてディスカッションを行う。
課題文献を事前に読んでおく
15 15 まとめ これまでの授業内容を整理する

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