シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2026/03/24 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
日本文化論Ⅱ/Japanese Culture Ⅱ
時間割コード
/Course Code
G210150001
開講所属
/Course Offered by
総合文化学部日本文化学科コース決定前/College of Global and Regional Culture Department of Japanese Language and Culture
開講区分
/semester offered
後期/Second Semester
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
1,2,3,4
主担当教員
/Main Instructor
田場 裕規/Yuuki TABA
科目区分
/Course Group
専門科目 専門科目必修/専門科目 専門科目必修
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
田場 裕規/Yuuki TABA 日本文化学科/Department of Japanese Language and Culture
※ポリシーとの関連性
/*Relevance to Policy
本科目は、学問体系の基本を理解し、知的好奇心を高める導入科目に当たる(カリキュラム・ポリシー2)。
授業に関する問い合わせ
/Inquiries about classes
ytaba@okiu.ac.jp
学びの準備
/Prepare to learn
ねらい
/Goal
本講義は、恋愛・欲望・性的規範を手がかりに、日本文化を固定的本質としてではなく、歴史的に生成・再編されてきた制度的配置として理解することを目的とする。文学作品(古代から近代)および日記史料・芸能資料を精読し、前近代の多様な関係性と、近代国家による性的規範の再編過程を検討する。さらに沖縄の性文化との比較を通して、「日本文化」という枠組みそのものを批判的に再定義する視座を養う。
メッセージ
/Message
私たちは普段、「恋愛」を自然な感情だと考えています。好きになることは本能であり、どの時代でも同じだと思っているかもしれません。しかし本当にそうでしょうか。
この授業では、古代の和歌、中世の日記や物語、近世の芸能、そして近代文学までを読みながら、恋愛や欲望がどのように語られ、制度化され、再編されてきたのかを考えます。そこから見えてくるのは、「日本文化」と呼ばれるものが固定的な本質ではなく、歴史の中で形づくられてきた関係性の構造だという事実です。
この授業は、恋愛の良し悪しを語る場ではありません。むしろ、「当たり前」と思っている価値観がどのように生まれたのかを問い直す場です。文学作品を丁寧に読み、史料に向き合い、自分自身の前提を少しだけ揺さぶってみてください。
答えを覚える必要はありません。
問いを持ち帰ってくれれば、それで十分です。
到達目標
/Attainment Targets
受講者は以下を達成することを目標とする。

⑴ 恋愛および性的規範を歴史的構築物として説明できる。
⑵ 文学作品を制度・権力・身体・共同体構造と関連づけて分析できる。
⑶ 前近代と近代の規範の差異を具体例に即して論じられる。
⑷ 「日本文化」を単一的本質ではなく、生成過程として捉えられる。
⑸ 沖縄比較を通して中央中心文化観を相対化できる。
⑹ 一次史料および文学テクストを用いた論述(3,000〜5,000字程度)ができる。
学びの実践
/Learning Practices
授業計画
/Class Plan
1–4回:古代・平安(共同体と恋)
5–8回:中世(男色・寺院社会・語りの身体)
9回:★性的規範の近代的発明
10–11回:近代文学とロマンティック・ラブ
12回:★沖縄比較
13–14回:戦後と現代
15回:総括(日本文化の再定義)
テキスト・参考文献・資料など
/Textbooks, references, materials, etc.
TEAMSで毎回、プリント・ワークシートを配布する。
参考文献:竹田青嗣『恋愛論』(恋愛を近代的意味構造として捉える出発点。授業の補助線)。竹村和子『愛について アイデンティティと欲望の政治学』。
ミシェル・フーコー『性の歴史』(性がどのように言説化・規範化されたかを考える理論的基盤(特に第1巻))。
エリック・ホブズボ−ム他『創られた伝統』(「伝統」や規範が近代に再編されるプロセスの理解に)。
学びの手立て
/Way of learning
『万葉集』(恋歌+防人歌)『古今和歌集』(恋歌+仮名序)『源氏物語』(婚姻=政治)藤原頼長『台記』(日記史料)『稚児草紙』(寺院社会の欲望)近代:鷗外『舞姫』(近代恋愛の成立)沖縄:歌謡・民俗・婚姻慣行(比較軸)
評価
/Evaluation
① リアクションペーパー(毎回) 20%(授業内容に対する問いの提示を重視する。単なる感想ではなく、「規範」「制度」「身体」などの視点が含まれているかを評価基準とする。)
② 中間小レポート(2回) 30%(各1,000〜1,500字程度。前近代の欲望構造の分析(例:『台記』『稚児草紙』『万葉集』など近代的規範の成立に関する考察※作品分析力と歴史的視座を評価)。
③ 最終レポート 50%(3,000〜5,000字)
以下のいずれかを選択:
A.文学作品から見る欲望の配置
B.性的規範の近代的発明の分析
C.沖縄比較による日本文化再定義
評価基準:問いの明確さ。テクスト読解の具体性。歴史的視点の一貫性。
概念の適切な運用。
■ この評価設計の狙い。
「知識量」ではなく「問いの質」を評価作品を文化論的に読めるかを重視。
沖縄比較を選択肢に入れることで、中央中心史観を揺らす。
生成AIの利用について
/Generative AI Usage
生成AIの利用範囲
/Rules for the use of Generative AI Usage
①利用を認めない(教員の指示がある場合を除く)
補足事項(任意)
/Additional Information
適宜指導担当から指示し、「生成AI利用ガイドライン」等の理解を深めた上で使用を認める。
学びの継続
/Continuing to learn
次のステージ・関連科目
/Next Stage and Related Courses
日本古典文学史、日本文学を読むⅠ・Ⅱ、琉球文化論、ジャパノロジー、アジア太平洋文化論、比較文化論などで視野を広げてほしい。
授業外学修時間の考え方
/Overtime Learning
授業外学修時間はシラバスの授業計画を参考にして、計画・実施してください。
No. 回(日時)
/Time (date and time)
授業計画
/Class Plan
授業時間外学修の内容
/Out-of-Class Learning
備考
/Notes
1 1 導入:日本文化を「本質」でなく「配置」で読む。素材:概念整理(文化/伝統/規範/恋愛)。問い:日本文化は「ある」のではなく「作られる」のでは?
恋愛を「近代の意味構造」として疑う入口
プリント・ワークシートの予習。
2 2 古代:別離と国家(恋の政治)。作品:『万葉集』防人歌(別離・徴発)。問い:国家は恋をどう分断し、物語化したか?ねらい:欲望が政治・制度に接続していることを可視化 プリント・ワークシートの復習と予習
3 3 国家と別離:防人歌(恋は国家権力に従属する) テキストの復習と予習
4 4 平安:恋の様式化(感情の制度化)
作品:『古今和歌集』恋歌配列/仮名序
問い:恋は「感じる」以前に「作法化」されていないか?
ねらい:恋が美学と権威(勅撰)によって整形される局面
テキストの復習と予習
5 5 平安:恋は政治である(婚姻=権力移動)
作品:『源氏物語』(婚姻・身分秩序が露出する巻を選定)
問い:恋は自由か、それとも権力の技法か?
ねらい:近代的「恋愛小説」読みを相対化
テキストの復習と予習
6 6 平安:ジェンダー配置と語り(女性はどう位置づくか)
作品:『源氏物語』続き(女性側の条件・語りの権利)
問い:「恋する主体」は誰に許されるのか?
ねらい:欲望/沈黙/語りの非対称性(制度×身体)
プリントによる学習
7 7 中世:日記が暴く欲望の現実
史料:藤原頼長『台記』
問い:男性間関係は「逸脱」か「文化内部」か?
ねらい:一次史料で“規範の揺れ”を扱う(説話化以前の質感)
プリントによる学習
8 8 中世:寺院社会と稚児愛(宗教×教育×身体)
作品:『稚児草紙』ほか稚児物語(可能なら関連説話も)
問い:欲望は禁忌か、制度化された関係か?
ねらい:宗教制度の内部にある身体文化として読む(倫理の単線化を拒否)
プリントによる学習
9 9 中世:武家社会と衆道(男性性の文化装置)
素材:衆道の規範・美学(軍記・説話・近世初期資料の抜粋でも可)
問い:男色はどう「規範」たりえたのか?
ねらい:「性的規範」は時代で移動する、を前近代側から確定
プリントによる学習
10 10 ★独立回:性的規範の近代的発明
素材:近代の家族制度・法・医学・教育(概説+資料)
問い:「正常/異常」「異性愛中心」はいつ制度化されたか?
ねらい:前近代の多様性が、近代国家によって再配列される転換点を押さえる
プリントによる学習
11 11 近代文学:恋愛は“自己物語”になる
作品:森鷗外『舞姫』(+補助で同時期の言説)
問い:恋愛が「自己」や「内面」の物語になるのはなぜか?
ねらい:近代恋愛の成立を文学内部から確認(国家・出世・個人)
プリントによる学習
12 12 ★独立回:沖縄の性文化との比較(周縁から崩す)
素材:沖縄の歌謡・民俗・婚姻慣行
問い:「日本文化」は単一か? 近代規範はどう周縁へ拡張したか?
ねらい:中央の規範が普遍顔をしているだけ、という感覚を学生に持たせる
プリントによる学習
13 13 戦後:恋愛の大衆化(メディアと消費)
素材:映画・テレビ・歌謡(作品は年度に合わせて選定)
問い:恋愛はどのように“大衆の標準”になったか?
ねらい:「恋愛=人生の中心」という物語が量産される過程を読む
プリントによる学習
14 14 現代:承認のプラットフォーム化(SNS/市場)
素材:現代恋愛言説(広告・SNS・マッチング文化などの資料)
問い:承認はどこで生産され、誰が回収しているか?
ねらい:竹田の補助線(承認)を“現代の装置”として検証する
プリントによる学習
15 15 総括:恋愛から見えた「日本文化」の再定義
課題:三つの問いに答える
恋愛は普遍か歴史的構築か
性的規範はどこで再編されたか
沖縄比較で「日本文化」はどう揺れたか
ゴール:日本文化を「本質」ではなく「生成・浸透・摩擦の過程」として語れる
レポートの作成
16 16 テスト・振り返り 総括・振り返り・省察。

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