学報第78号

　8月3日、第42回全日本学生なぎなた選手権大会が佐賀県総合体育館で開催され、本学・なぎなた部からも3名の選手が出場。演技の部で鉢嶺維子（英米言語文化学科1年次）・玉那覇千夏（人間福祉学科2年次）組が準優勝した。同選手権における県勢の準優勝は2度目。知念高校出身の鉢嶺さんは2002年の茨城高校総体・準優勝、西原高校出身の玉那覇さんは2001年熊本高校総体で優勝の経験があり、高校時代に引き続いての快挙となった。今回の全国選手権・個人試合の部で健闘した伊芸梓部長（国文学科4年次）は、後輩の快挙を喜ぶとともに、創部15年目となる同部の更なる活躍を目指したいと抱負を述べた。

▲津波古さん受賞スピーチ

　６月３０日、東京都内で「第２６回山之口貘賞（主催：琉球新報社）」の選考会が開かれ、日本文化学科３年次の津波古侑奈さん（ペンネーム：松永朋哉）の詩集「月夜の子守歌」が選出された。大学生の受賞は、第２２回の宮城隆尋さん（受賞当時・本学国文学科１年次）についで２人目の快挙となる。宮城さんと松永さんは、沖国大・文芸部の先輩・後輩の間柄。今回の詩集も宮城さんの勧めがあって、日の目をみることになったという。
　同賞の贈呈式は７月３０日に琉球新報ホールで行われ、津波古さんは受賞について「今でもとまどっているが、山之口貘生誕１００年という節目の年に受賞できた事を嬉しく思う。今後とも、詩に限らず様々な創作活動を続けてゆきたい」と述べた。贈呈会場には、宮城さんを始め、文芸部のメンバー・関係者らが多数お祝いに駆けつけ、共に受賞を喜んだ。

　10月13日、第70回九州地区大学野球選手権大会・決勝戦が北谷公園野球場で行われ、本学・野球部が崇城大学（熊本）に5－2で逆転勝ちし、春秋合わせて15季ぶり11度目の優勝を飾った。今大会では、2年生エースの成底和亮君（経済学科）を中心とした投手陣の好投に加え、山川宗昭主将（経済学科3年次）率いる野手・打撃陣が奮起し好打を連発、上級生と下級生がチーム一丸となって、快進撃を続けた。特筆すべきは、準々決勝で今春の全日本大学選手権優勝校・日本文理大学を延長の末に下したこと。今回の優勝により、本学・野球部は第10回九州選手権への出場が決定、同トーナメントで福岡6大学、九州6大学などの勝者と第34回明治神宮大会（11月・東京）への出場権を懸けて戦うこととなった。

　６月１３日、沖縄法政研究所は宮古青年会議所との共催で、県宮古支庁において「市町村合併と地域社会－宮古の将来を考える－」と題するフォーラムを開催した。第一部では照屋寛之法学部助教授が「市町村合併の現状と課題」と題して基調講演を行い、合併問題の歴史的経緯から「平成の大合併」といわれる昨今の市町村合併に関する政府の動向やその背景などについて説明した。続く第二部では、前津榮健法学部教授のコーディネートの下、佐藤学法学部教授ら６名のパネリストによるパネルディスカッションが行われた。
　パネリストの一人、座喜味和幸さん（宮古合併協委員）は「現状では先行き不透明ではあるが、これを機に地域住民全員で宮古の将来について考え、どのように地域社会を運営してゆくのか大いに議論すべきである」と述べた。また、同じく宮古合併協委員の平良和枝さんは「女性の視点、即ち、生活者としての立場で女性が感じている部分を、これからのまちづくり・しまづくりの中にもっと活かしてほしい」と訴えた。更に照屋助教授と佐藤教授が県外の自治体やアメリカにおける地方自治の具体例などをあげながら、活発な意見交換を行った。

　
　９月６日、沖縄法政研究所は「多重債務者問題の現状と法的対応」と題して、第５回講演会を５－２０３教室で開催した。今回の講演では、講師役の山本研・国士舘大学法学部助教授より、全国的に急増している「多重債務者問題」の根本要因などに関する解説と「破産多発県」となった沖縄県における現状についての報告がなされた。加えて、この多重債務問題に対する県内各機関の対応や特定調停制度・個人債務者再生制度、そして、いわゆる闇金規制法といった立法的対応についての最新情報も紹介された。講演後の質疑応答においても、参加者より具体的な対応策・解決方法に関する質問がなされるなど、昨今の多重債務問題の深刻さと同問題に対する関心の高さがうかがえる講演会となった。

　この程、本学産業総合研究所と沖縄タイムス社との共催による「第１１回フォーラム：沖縄県における電子商取引(ＥＣ)の課題と展望」が７号館２０１教室にて開催された。現在、産業総合研究所のＥＣプロジェクトチームは、地域産業振興を目的としたＥＣの有効な活用方法をテーマに３年計画で調査研究を行なっており、今回のフォーラムでは、同ＥＣプロジェクトチームの研究者２名(安里肇商経学部教授・大井肇同助教授)と県内でＥＣビジネスを実践する事業所代表者３人の報告・意見を踏まえた上でのパネルディスカッションなどが行われた。フォーラムでは、松田友義千葉大学教授による基調講演「ｅアイランド沖縄の可能性」の後、砂川徹夫商経学部教授のコーディネートの下、各パネリストから「中古車販売におけるＩＴ活用事例（城間勇清氏）」や「製菓販売業におけるＥＣの効用（高田名珠氏）」などの実践報告がなされた。パネリストの１人である上地哲氏(デジタルあじまあ代表取締役)は「現在、様々な失敗事例もあるＥＣではあるが、ＩＴが大変有効な販路開拓の道具であることは間違いなく、成功の鍵は、『顧客本位のマーケティング』にある」と述べ、戦略的発展のシナリオを提言した。

　６月２４日、産業総合研究所は「国際金融からみた沖縄」というテーマで、今年度第１回目となる研究会を開催した。今回、講師には元・大和ヨーロッパバンク・ダブリン支店長で大和投資信託取締役でもあった高崎正名氏を迎え、同氏の欧州勤務時における経験談が紹介された。高崎氏は、１９９０年代におけるアイルランドの高度経済発展と政府の行動について分析し、経済発展を導いた基礎要因と政策要因について解説した。研究会には教員に加え、学生らも多数参加し、高崎氏の分析を基に今後の沖縄における経済発展の可能性について、国際金融の観点から活発な意見交換を行った。

▲津堅貝塚発掘現場視察

　６月１５日、南島文化研究所の第２５回地域学習が行われた。地域学習は年１回、フィールドワーク形式で実施されており、今回は仲地哲夫所長を始め各分野の教員を講師役に、勝連町の津堅島と沖縄市の泡瀬干潟を巡るコースで行われた。講師・学生・一般参加者ら総勢・約６０名の一行は、先ず平敷屋港から津堅島へと渡り、島内の御獄や植物群落・土地改良区域などを巡りながら、民俗学・環境学・経済学など各分野の講師による解説を受けた。現在、発掘調査が進められている津堅貝塚では、勝連町教育委員会の専門員から発掘の状況や掘り出された貝や骨など遺物についての説明がなされた。その後、泡瀬干潟へと移動した一行は、実際に海へ降りて干潟の生態系に触れながら、干潟のもつ環境浄化作用などについて学習した。

▲クボウグスクの植物群落

　今回、津堅島や泡瀬干潟を初めて訪れた参加者が多く、津堅島独特の風習や泡瀬干潟の豊かな自然環境に驚く姿も見られるなど、参加者にとって貴重な経験となったようであった。

▲『近世琉球の租税制度と人頭税』

　この度、南島文化研究所は『近世琉球の租税制度と人頭税（日本経済評論社）』を編集・出版した。南島文化研究所では、１９９５年に「人頭税研究会」を設置し、定期的に研究会を開催、今回の出版は同研究会の締めくくりとして企画・刊行されたもので、１７～１９世紀に琉球・沖縄の先島地域（宮古・八重山）で行なわれていたとされる「人頭税」について多方面から考察した内容となっている。具体的には、研究会に関わった１３人の執筆者から集まった論文をテーマ毎に分類、「近世琉球の租税制度と人頭税」「近世期先島の人頭税制度の構造」「人頭税に関わる伝承と歌謡」などと章立てし、税制的観点からの分析・評論に加え、「人頭税」に関連する歌謡の分析や２本の体験談、文献目録なども含んだ網羅的な構成となっている。同書は、研究所でも特別価格で販売している。詳しい内容については、同研究所HP：http://www.okiu.ac.jp/nantoken/nantoindex.htmlを参照。

　現在、南島文化研究所では「第8回窪徳忠琉中関係研究奨励賞候補者」に関する推薦・応募を、下記のとおり受けつけています。詳細については、同研究所（電話098－893－7967）へお問い合せください。

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