沖縄国際大学 平成16年度 点検・評価報告書

本   章


第12章 管理運営

 第1節 大学の管理運営体制

 第2節 学部の管理運営体制
  (1)法学部   (2)商経学部   (3)総合文化学部

 第3節 大学院の管理運営体制




第1節 大学の管理運営体制
(1) 教授会
【現 状】
 教授会は大学の重要な事項を審議する機関である(学校教育法第59条)。その趣旨は、高等教育機関として、学問の自由を保障することである。
 教授会の重要な審議事項は、学校法人の教学側面の事項と考えられている。教学側面とは、研究及び教育に関する事項であり、具体的には教員人事、カリキュラム編成、学生の身分等に関するものであるが、本学の教授会審議決定事項は、次のとおりである(学則第36条)。
  @ 学部の学科、専攻並びに専攻課程の新設、増設、廃止及び変更に関する事項
 A 当該学部に関係ある学則並びに学部諸規定の制定、改廃に関する事項
 B 学部長の選出に関する事項
 C 教員の人事に関する事項
 D 諸委員の選出に関する事項
 E 教育課程の編成、授業及び学力考査に関する事項
 F 学生の入学卒業その他学生の身上に関する事項
 G 学生の定数に関する事項
 H 学生の補導に関する事項
 I 学校法人及び大学の諸規定において教授会の議を得ることを要すると定められた事項
 J 自己点検及び評価に関する事項
 K その他、研究及び教学に関する事項
 この規定に基づき、各学部教授会規則(法学部教授会規則、商経学部教授会、文学部教授会規則)が定められている。

【点検・評価】
 教授会の最も重要で基本となる権限、役割は教育課程の編成である。教育課程の編成は本学では専門科目と共通科目の編成に区分される。専門科目の編成に関して、各学部・各学科の権限となっているが、共通科目の編成に関しては、共通科目運営委員会で審議され、各学部教授会で承認されることになっている。その共通科目運営委員会には各学科長が構成員となって各学部学科が教育課程の編成過程から参画することになっている。各学部教授会の審議承認を経て大学協議会の審議承認という手続きとなる。このように教育課程の編成における教授会の権限と活動は適切であると判断される。教員人事等において教授会が果たしている役割とその活動についても、個別具体的な内容については学部教授会の質の問題であり学部教授会自治の問題となるが、手続的には、「教員の任用及び昇任に関する規程」に基づき適切になされている。その規程を逸脱した教授会決定については大学協議会で問題にすることも可能となっている。
 学部教授会と学部長との間の連携協力関係及び機能分担について、個別学部に関しては、各学部教授会の項目で言及されているが、大学全体として制度的に見た場合には適切になされていると判断される。教学事項については、全学の機関である教務委員会で審議され、そこで審議された事項が教務部長から各学部教授会の審議事項として上程される。また各学部では、教授会の前に、各学科長と学部長が3役会議をもち、教務部長からの審議上程事項と各学部独自の審議事項が調整され、教授会の審議となり、その審議結果を学部長も尊重しているからである。
 学部教授会と評議員会、大学協議会との連携及び役割分担の適切性についてはどうか。学部教授会と評議員会に関してであるが、本学の評議員会は、理事長が、財政事項、寄付行為の変更、法人の業務に関する重要事項等について意見聴取する等、法人、経営に関わる機関となっているので、両者の関係は直接的には連携ではなく役割分担も深刻な問題とはならない。学部教授会と大学協議会との関係については、関係が密接で、本学の教学組織の基軸をなしているのである。そして両者の連携及び役割分担は適切になされていると評価される。前述のように学部教授会は権限が明示され、適切に運営されており、他方、大学協議会は、後述するように、各学部教授会との調整及び全学に関わる教学事項を審議するための機関として明確に位置づけられ、その構成員は、@学長、A各学部長、B教務部長、C学生部長、D図書館長、E各学部から選出された教員2人、となっており、審議事項は、大きく決定事項と承認事項に区別され、さらに細目化されているからである。また、後述するように、大学協議会は、各教授会との決定の調整のために協議会の議決に対して、学部教授会が理由を付して異議申し立てする再審議制度と、教授会の議決に対して大学協議会が当該教授会に変更を勧告することができる変更勧告制度をもうけて、大学全体としての最終的な意思統一を図ることにしているからである。

【改善・改革方策】
 日本の大学が18歳人口の激減と社会構造の変化という大学淘汰の時代に適切に対応するためには、大学全体としての教学、経営戦略が必要となり、その政策立案、そして執行が大学生き残りの必須条件となる。学部教授会の審議事項を精査して、当該学部の教学事項に限定して、教員は本来の職務である研究教育に専念して、「教育の時代」を実質化すべきである。

(2) 学長、学部長の権限と選任手続き
【現 状】
 学長は、校務を掌り、職員を統督する(学則第9条)。学長の任期は4年とし、再任は妨げない。学長は理事長を兼任する(寄付行為第7条)。学長は、後述する全学的な教学の審議機関である全学教授会と大学協議会を招集し、その議長となる(全学教授会規程第4条、大学協議会規程第5条)。その学長の選任は学長選挙規程に定められている。学長は、単記無記名投票の選挙によって選任され、被選挙人は、大学の教授の経験を有する者で、選挙人は、学長、教授、助教授、講師、助手及び事務職員の課長以上とし、選挙告示の日に現に本学に専任在職する者である。当選人は、選挙において、有効総投票数の過半数を得た者である。第1回投票において有効総投票の過半数を得た者がないときは、上位の得票数5名について直ちに投票を行い、第2回の投票においても有効総投票数の過半数を得た者がないときは、上位2名について直ちに決戦投票を行うことになっている。
 学部長は、当該教授会を招集してその議長となり、当該学部の運営に関する校務を統轄する(学則第10条)。各学部長は、当該教授会を構成する教員により、その教授の中から選出されたものを、学長が任命する(学部長選挙規程第2条)。学部長の選出は、学部長選挙規程に定められ、当該教授会構成員の単記無記名投票によるが、選挙の定足数は全員の3分の2以上とし、有権者の過半数かつ有効投票の3分の2以上の数を得たものを当選人とする。その得票数を得た者がいないときは、最高得票数及び次位得票者について再投票を行い比較多数を得た者を以って当選とする。学部長は任命の日から起算して満2ヶ年とし、再任を妨げない。法学部長、商経部長、総合文化学部長は理事を兼任することになっている(寄付行為第6条)。

【点検・評価】
 学長の選任手続きについて、学長の選任は教員の全員と課長以上の職員によって選挙され、全学の意思が反映されていることから、適切、妥当であると評価される。学長権限の内容とその行使についても、学部教授会の調整役の観点から、適切、妥当である。全学的な教学の審議機関である全学教授会、大学協議会の議長となり、その審議過程で各学部の調整、総合の役割を果たしているからである。
 学部長の選任手続きと学部長権限の内容とその行使の適切性についても、適切、妥当であると評価される。構成員によって選挙され、学部運営も構成員の意思を尊重することになっているからである。
 学長と評議員会との関係についてであるが、本学では、評議員会は理事長が意見を伺う機関として経営側の機関であるため組織的には学長とは関係しない。ただ、本学では理事長は学長が兼任する制度となっているため実質的には評議員会の意見も反映できるシステムになっており、評議員会を通じて学外の意見が反映されることになる。学長と大学協議会の連携協力関係及び機能分担、権限委譲の適切性については、全学的な教学の審議機関である全学教授会、大学協議会の議長となり、その審議過程で各学部の調整、総合の役割を果たしていることから、連携協力に関しては、適切、妥当であると評価されるが、学長のリーダーシップの観点からは、大学協議会の審議承認、審議決定事項が明確であるのに対して、学長権限が包括的であるため、機能分担と権限委譲については、前提が不明確になっているという問題がある。

【改善・改革方策】
 大学淘汰の時代においては、教学面における学長のリーダーシップが求められているなかで、学長権限が包括的で不明確であることは、学長は学部教授会の調整役に徹するか、または、生き残りを大義とした独走の可能性もあるということになる。学長と理事長の性格を踏まえた上で、学長の権限を明確にする必要がある。

(3) 意思決定
【現 状】
 本学における意思決定は、審議・諮問機関として法人・教学に設置している各種委員会、学部教授会、部局館長会、大学協議会、評議員会、理事会においてなされ、そのプロセスは事案内容によって異なる。学部教授会、大学協議会の審議事項・権限は学則で定められ、評議員会、理事会の審議事項・権限は寄付行為で規定されている。その他の機関についても全て規程が制定され、その位置づけ、権限が規定されている。最終の決定は理事会においてなされるが、この決定に至るまでの基本的プロセスは、各種委員会、学部教授会、大学協議会、そして理事会による最終決定ということになる。以下、基本的な事案の決定プロセスを述べることにする。
1) 教学上(学則改正・カリキュラム)等の事案
教務委員会→学部教授会→部局館長会→大学協議会→理事会
2) 学生生活・厚生補導に関する事案
厚生補導委員会→学部教授会→部局館長会→大学協議会→理事会
3) 学長の任命
学長選挙→部局館長→大学協議会→評議員会→理事会
4) 教員の任用、昇任
学科会議→学部教授会→部局館長会→大学協議会→理事会
5) 職員の採用
職員採用委員会→部局館長会→理事会
6) 職員の移動
三役調整→事務系部長調整→部局館長会→理事会(課長以上)
7) 予算編成方針、予算案の決定
原案(理事長・会計課)→予算委員会→部局館長会→評議員会→理事会
8) 学部・学科改革(改組転換、学科増設、収容定員増)
学部・学科改革案→改革プロジェクト委員会→長期計画研究委員会→部局館長会→学部教授会→部局館長会→大学協議会→理事会
9) 施設(研究棟・教室等)の新築・改築
施設新設(改築)準備委員会→長期計画研究委員会→部局館長会→理事会

【点検・評価】
  大学の意思決定プロセスの確立状況とその運用について、現状でみたように教学的側面、経営的側面において、事案の内容にしたがって、各段階の権限、手続きが規程に定められ、最終決定の理事会までの手続きが確立しており、その運用も適切になされていると評価できる。

【改善・改革方策】
 本学の意思決定は基本的には、トップダウン方式ではなく、ボトムアップ方式であり、教員、学部教授会の意向が反映されるシステムとなっている。18歳人口の激減、社会構造の変化に対応する大学淘汰の時代における大学改革では、教員、教授会そのものを根本的に相対化、見直す必要があり、ボトムアップ方式には限界があると想定されるので、事案によっては、ボトムアップ方式の意思決定のシステムも必要である。その場合には、まず、大学のミッションと大学を取り巻く状況を踏まえた大学の将来を構想する大学将来構想委員会を立ち上げ、その構想の基づくボトムアップ方式をとることにする。そうすれば、大学将来構想の形成過程に各教員が参画しボトムアップ意思決定の伝統も活かされることにもなるであろう。

(4) 全学的審議機関
【現 状】
 学校法人は意思決定機関として理事会、審議機関として評議員会があり、理事長の諮問機関として長期計画研究委員会がある。全学的な教学機関としては、各学部教授会との調整及び全学に関わる教学事項を審議する大学協議会、正常な教学運営に著しく支障をきたす事項、部局館長の選出に関する事項を審議決定する全学教授会とがあり、学長の諮問機関として部局館長会がある。形式的には長期計画研究委員会は理事長、部局館長会は学長の諮問機関であるが、実質的には全学的な審議機関的役割を果たしているので、ここで取り扱うことにする。

1)評議員会
 理事長は、@予算、借入金及び重要な資産の処分に関する事項、A寄付行為の変更、B私立学校法第50条第1項第3号に掲げる事由による解散、Cその他法人の業務に関する重要事項等について、あらかじめ評議員会の意見を聞かなければならない(寄付行為第23条)。また、評議員会は、この法人の業務もしくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について役員に対して意見を述べ、又役員から報告を徴することができる(同第24条)。このような権限を有する評議員会は31人の評議員をもって組織され、その構成は、@理事長(学長)、常務理事、A法学部、商経学部及び総合文化学部より各2人宛各教授会で選任された者6人、B本学事務職員の中から理事長が推薦し、理事会で承認された者3人、C本学卒業者の中から理事長が推薦し理事会で承認された者8人、D学識経験者のうちから理事会で選任された者8人、である(同第22条)。

2)理事会
 理事会は、法人の業務を決定する意思決定機関である(寄付行為第14条)。理事会は、理事をもって組織され、理事長は学長をもってあてる。理事長は、法令及びこの寄付行為に規定する職務を行い、法人の事務を総括し、この法人の業務についてこの法人を代表する。理事会を組織する理事は、@沖縄国際大学学長、A法学部長、商経学部長、総合文化学部長及び事務局長、B評議員のうちから評議員において選任し、理事会において承認された者2人、C本学卒業者の中から理事長が推薦し、理事会及び評議員会で承認された者1人、D理事長が推薦する者で理事会及び評議員会において承認された者3人以内、E学識経験者のうちから評議員会において承認された者4人、である。常務理事については、2003年(平成15年)4月より1人制から3人制となった。

3)長期計画研究委員会
 長期計画研究委員会は、理事長の諮問に応じて、法人及び法人が設置する学校の長期総合計画の策定及び研究を目的とする(長期計画研究委員会規程第1条)。具体的には、新学部・新学科の増設・新設の諮問、建物建設の諮問等である。したがって、本学の重要な政策は本委員会の諮問を得ることになる。委員会は、@常務理事、A部局館長、B部会長をもって構成され、委員長1名、副委員長1名をおき、委員長は常務理事をもってあて、副委員長は委員の互選とする。
 委員会は専門的な事項を審議するために、@財政計画研究部会、A教学研究部会、B施設研究部会、C事務組織研究部会を置いている。
 委員会は諮問を各部会に付託し、それを受けて、審議するのが慣例である。

4)部局館長会
 本学には、各学部の調整機関、全学の教学事項の審議機関として後述するように大学協議会があるが、同じような役割を果たす学長の諮問機関として部局館長会がある。本会は、部局館長会規程により、大学の事務の執行につき連絡調整ならびに執行の円滑を図ることを目的とし、学長の諮問に応じ、全学的な立場において次の事項を審議することになっている。
@ 学部及び部局館運営の調整に関すること。
A 必要があるとき大学協議会、全学教授会その他重要会議の原案を作成すること。
B 法人業務の運営についての意見具申に関すること。
そして、その構成員は、@学長、A常務理事、B学部長、C教務部長、D学生部長、E図書館長、F事務局長である。会議は、毎週水曜日午前10時が定例となって、実際、そのように運営されている。

5)大学協議会
  各学部教授会との調整及び全学に関わる教学事項を審議するために大学協議会が置かれている。大学協議会は、@学長、A各学部長、B教務部長、C学生部長、D図書館長、E各学部から選出された教員2人、の協議員で組織される(学則第38条2項)。協議会の審議事項は、決定事項と承認事項に区別されている。
 審議決定事項は、つぎのとおりである。
   @ 教学の基本方針に関する事項
   A 教学運営に必要な機構組織の設置改廃に関する事項
   B 教員の任用昇任基準及び手続きに関する事項
   C 学則の改廃に関し、全学にわたる事項
   D 教学関係の予算に関する事項
   E 教学関係諸規程の制定、改廃に関する事項
   F 学年歴、休日及び全学休校に関する事項
   G 各学部に共通する教学及び教務事項で重要な事項
 審議承認事項はつぎのとおりである。
   @ 大学の学部、学科専攻の新設廃止変更に関する事項
   A 大学附属機関の設置改廃に関する事項
   B 研究施設設備などの整備に関する事項
   C 教員の職制及び定数に関する事項
   D 教員の任免及び移動に関する事項
   E 非常勤教員の委嘱及び解任に関する事項
   F 学生募集(試験種別、推薦基準、募集人員等)に関する事項
   G 入学試験要項に関する事項
   H 合格発表予定者数及び補欠合格者数に関する事項
   I 学生補導及び就職対策に関する事項で重要な事項
   J 入学試験、教学、教務、補導、就職等に関し、他の諸機関が審議決定した項で重要な事項
   K 自己点検及び評価に関する事項
 学則第38条に基づいて、大学協議会の組織及び運営等に関する事項を定めることを目的として大学協議会規程が定められている。大学協議会は学長が招集し、その議長となっている。議決は出席協議員の過半数で決し、可否同数のときは議長が決する。会議は、毎月第1及び第3水曜日を定例日とし、特別の事情があるときは学長は開催日の日時を変更することができる。
 協議会は、各教授会との決定の調整のために再審議と変更勧告との制度をもうけている 。再審議は、協議会の議決に対して、学部教授会が理由を付して異議申し立てするもの(同規程第11条)である。変更勧告は、教授会において議決された事項について大学協議会が変更を要するものがあると認めた場合には、大学協議会は当該教授会に対して変更を勧告することができるとする制度である(同規程第12条)。大学協議会は、この制度によって、大学全体としての最終的な意思統一を図ることになる。

6)全学教授会
 全学教授会は、@正常な教学運営に著しく支障をきたす事項、A教務部長、学生部長及び図書館長の選出に関する事項を審議決定機関である(学則第37条3項)。全学教授会の構成員は、本学専任の教授、助教授、講師及び助手である。全学教授会の開催は、ほとんどが、Aの部局館長の選出の事項で、その任期である2年毎に開かれているのが現状である。部局館長の選出の内容は、学長による部局館長指名に対する信任投票である。

【点検・評価】
 評議員会は、法人の財政・業務の重要事項について、意見を聞く権限があり、法人の業務・財産状況又は役員の業務執行状況について意見を述べ役員から報告を受ける権限があり、適切である。その権限の行使も、理事会の前日に開催されている評議員会で適切になされている。評議員31人の内、学内12人で、他は学外者であり、経営者、法曹界、教育行政経験者等各界から選任され、社会の多様観点からチェックされているからである。
 理事会は法人の業務の意思決定機関であるが、その権限内容とその行使は適切である。理事会は、理事長に、法令及び寄付行為に規定する職務、法人の事務の総括、そして法人の業務について法人を代表すると寄付行為第8条で規定し、業務は理事長が執行することになっており、この規定を受けて、理事長の個別業務の権限は、組織・庶務については、事務組織規程・職務権限規程等、人事・給与については、就業規則・教員の任用及び承認に関する規程等、財務については、経理規程・予算統制規程等、等に規定され、理事会は、そのような理事長の業務の執行を審議承認しているからである。また、理事会も適正に運営されている。理事15人以内で少なくとも7人は学外理事であり、その学外理事は法曹、教育行政、経営等の各界から選任されており、各界の意識が反映されているからである。
 長期計画研究委員会は理事長の諮問機関である。諮問事項は、学部・学科の改組転換、収容定員増関連の大学改革、研究・教室棟の建設等であるが、適切に運営されているとは評価されない。各委員が学部・学科の利益代表的傾向を持つようになり、長期計画の視点からではなく、学部間の利害調整の傾向が出てきているからである。
 大学協議会は、各学部教授会との調整及び全学に関わる教学事項を審議する機関である。その権限内容とその運営は適切であると評価できる。協議会の審議事項は、決定事項と承認事項に区別され、その審議事項は、個別具体的であり、また、学部教授会との調整制度として変更勧告制度と再審議制度があり、実際、活用されているからである。
 全学教授会は、実際には部局館長の承認機関として機能しており、適切である。

【改善・改革方策】
 評議員会、理事会、大学協議会、全学教授会はその権限、行使・運用において適切であり、より現実的具体的な改善方策は現段階では必要ないが、長期計画研究委員会については改革が必要である。長期計画研究委員会には専門的な事項を審議するために財政計画研究部会、教学研究部会、施設研究部会、事務組織研究部会があるが、この部会の構成員に関して改善が必要である。現在は、各部会と各学部・各学科との関連がまちまちである。財政計画研究部会は商経学部だけから参加し、逆に事務組織研究部会は総合文化学部だけが参加してなく、他の研究部会、施設研究部会は各学部、教学研究部会は各学科が参加している。そこで制度設計としては、全研究部会に、@全学部または全学科の参画を図るか、それとも学部学科と切り離して、A理事長が個別的に推薦するか、が考えられる。現在、@全学部・全学科参画方式が提案されているところである。

(5) 教学組織と学校法人との関係
【現 状】
 学校法人の意思決定機関は、原則として理事会であるが、他方、大学の重要な事項を審議機関として教授会がある(学校教育法第59条)。私立大学では、学校法人の経営に責任をもつ理事会と教学の審議機関である教授会との関係が問題となる。大学間競争が激しくなるなかで、社会のニーズに機敏に適切に対応するためには理事会の意思決定がスムーズになされるとともに教授会は教学の側面での審議機関であることを徹底し、学校法人における理事会と教授会の権限の配分を踏まえた大学運営が今後、肝要となる。
 本学の教学組織と学校法人との関係は、構成員の中心が兼任関係にあることに特徴がある。教学組織は学部教授会が基本となるが、学校法人の業務を決定する意思決定機関が理事会である。理事会は、理事をもって組織され、そのうち、理事長は、法令及びこの寄付行為に規定する職務を行い、法人の事務を総括し、この法人の業務についてこの法人を代表する。本学では、理事長は学長をもってあてることになっている。そして、理事長を兼任する学長は、教学組織の担い手である全教員と事務職員の管理職である課長以上によって選挙される。本学の理事の構成は、前述したとおりであるが、学部長が理事となっており、教学組織を代表する学部長が理事会に参画している。他方、法人側においては、常務理事が、2003(平成15)年4月より1人制から3人制となり、総務、財務、教務の担当常務理事が可能となり、法人側で教務担当理事が新たにおかれることになっている。

【点検・評価】
 本学の教学組織(教授会)と学校法人(理事会)との連携協力関係及び機能分担、権限委譲は、組織、手続きにおいて、適切であると評価される。学長が理事長を兼任し、その学長は全教員と課長以上の管理事務職員で選挙され、学部長が理事となり、常務理事に教務担当をおいているからである。ただ、学長と理事長また学部長と理事が兼任し、教務部長と教務担当常務理事とが並存して、組織的・手続き的に機能分担・権限委譲が適切であっても、実際の経営、教学の運営おいては理事会と教授会との緊張関係が持続することになる。その緊張関係が適切なのは、大学協議会の存在であり、大学協議会は、各学部教授会との調整及び全学に関わる教学事項を審議する機関で、各学部の対立は、基本的には、ここで調整されるからである。

【改善・改革方策】
 本学の経営、教学に関する戦略・政策立案は基本的には、経営は理事会(理事長)、教学は教授会(教員)となっているが、理事会の専門性、実効性を強める段階にきている。学部教授会の審議事項を精査して、当該学部の教学事項に限定して、教員は本来の職務である研究教育に専念すべきである。日本の大学が18歳人口の激減と社会構造の変化という大学淘汰の時代に適切に対応するためには、大学全体としての教学、経営戦略が必要となり、その政策立案、そして執行が大学生き残りの必須条件となるからである。常務理事3人制はその一環であり、とくに、大学の基本・本質が研究・教育であることを考えると、教務担当常務理事の役割は重要である。

(6) 卒業生の組織と学校法人との関係
【現 状】
 本学では卒業生を校友と称している。校友は、法人の意思決定機関である理事会(校友会員理事・寄付行為第6条第1項第4号)と評議員会(校友会員評議員・寄付行為第22条第1項第4号)を通じて大学の経営に参画している。また校友は、沖縄国際大学校友会を組織し、その目的は、「会員相互の親睦を図り、母校と会員と連携を密接にし、よって母校の発展に寄与すること」である。本校友会は1974(昭和49)年2月3日に設立され、2004(平成16)年2月には30周年を迎えることになっている。
 校友会員は、母校の卒業生等の正会員と母校に在学中の準会員、本学教職員の特別会員で構成されている。本会は地域支部として宮古・八重山・北部・東京の4支部、職域支部として沖縄市役所・宜野湾市役所・具志川市役所・琉球銀行の4支部を組織している。2003(平成15)年4月1日現在の校友会員総数は 33,315人である。

【点検・評価】
 本学校友会は創立30年、会員数 33,000人の組織であるが、その組織運営は、会費が在学中に徴収され、一定の安定した資金をもっているため、その資金運用の校友会として機能している傾向がある。校友会員に校友会員意識があまり強くないということであり、母校意識を基盤として校友会が運営されていないともいえる。

【改善・改革方策】
 今後、大学が、社会、地域に評価され支えられる傾向が強くなる時代において、校友はまさに大学の財産である。法人、大学と校友会の連携・協力を密にして、本学の存在価値を地域社会にアピールする対策が必要となる。その一つとして、大学が中心となってホームカミングを実施する段階にきている。



第2節 学部の管理運営体制
(1) 法学部
【現 状】
 法学部の管理運営は、教授会を最高の審議・決定機関として、学部長を中心に、法律学科と地域行政学科の学科長各1名を加えた合計3名によって行われている。学部長の選出は、教授会構成員の3分の2以上の出席を成立要件とする選挙において、教授のなかから、単記無記名投票の過半数かつ有効投票の3分の2以上の数を得た者が当選とされる(学部長選挙管理規程第4条)。学部長の任期は2年であり、再任を妨げることはない(同規程第3条)。教授会は、原則として、夏期休暇中の8、9月を除いた毎月第1、第3金曜日の午後、学部長がこれを召集し、議長となって議事運営を行う。
 法学部教授会の権限については、法学部教授会規則第5条がこれを定めている。同条第1項は、教員人事に関する次の三項目、(イ) 同規則第3条に掲げられている学部長以下の各役員の委嘱及び解嘱、(ロ) 教授、助教授、講師及び助手の新規委嘱及び解嘱、(ハ) 教授、助教授、講師及び助手の資格審査、についてそれぞれ規定し、法学部教授会は、これらの規定に基づいて教員人事を決している。また、同条第3項は、学科課程の変更、増減ならびに担当者の決定、第4項は、学科の履修方法、第5項は、学科の聴講を規定しており、これらの規定に基づき、法学部教授会は、法学部の学科課程を決している。
 法学部におけるこれら二つの重要事項の審議決定については、決して法学部長の独断によるものではなく、教員人事に関しては、同規則第11条但書にあるように、定足数の3分の2以上の賛成が要求され、学科の教育課程に関しては、同じく同条本文にあるように、定足数の過半数以上の賛成が要求されており、非常に民主的な姿勢が維持されている。その他、学部を運営するうえでの一般的な事項のほとんどすべて、及び同規則第5条第2項にいわゆる学生の退学、転学、転学部、転科、休学、復学、卒業、賞罰等、学生の身分上の事項についても審議決定する権限を有しているが、とくに学生の身分にかかわる事項については、当該の学生の権利や自由に十分な配慮を行ったうえで審議決定を行うことを常としている。
 法学部教授会の議事は、同規則第3条(イ) の規定により法学部教授の中から選出された学部長を議長として運営され、まず最初に各種委員を務める各教員による委員会報告に始まり、次に学科長による教務委員会・入試管理委員会等、法学部の利害に直接的な関わりをもつ委員会報告が行われ、学部長が理事会・部館長会議等、大学の運営に具体的に関係する会議の結果を報告した後、教授会当日の審議事項の審議決定に進むのが通常の場合であり、この間、各教員により、報告事項や審議決定事項に対する質疑応答がなされる。審議事項についての可否が決定されると、学科長はそれを記録し、学部長の確認と議事録署名人二名の確認、署名と押印を経て、法学部教授会議事録が正式に成立することとなる。
 この他、法学部教授会は、大学評議員会に委員を1名、大学協議会に法律学科1名・地域行政学科1名の計2名の委員を送ることにより、これら全学的審議機関の運営及びその構成に協力している。

【点検・評価】
 法学部教授会の議事運営は、法学部の教育課程や教員人事等の諸問題の決定につき、長年にわたり非常に民主的かつ自由・平等な立場が維持されてきたものと評価しうるであろう。なぜなら、教授会における意見や意思の表明は、誰でも自由かつ平等にこれを行うことができるからであり、かつ教授会の議長を務める学部長については、人格・識見ともに優れた人物を選出してきたからであろう。法学部教授会は、一部例外的な事例を除いて、法学部の運営に関しては適切にこれに対処してきたものと言える。
 ただし、大学協議会については、本来、学部間の利害調整機関としての位置づけであったにもかかわらず、近年これを決定機関として位置づけるばかりか、学部の上位機関としてとらえようとする傾向がときにあり、一部教員の中にもこの考えを支持する者がいる。法学部教授会は、このような考え方に対して、一貫して深い疑問を呈し、反対の立場を表明してきた。この点で、法学部教授会は、本学における伝統としての民主主義及び学部自治の原則を守ることに貢献してきたものと評価しうるであろう。

【改善・改革方策】
 法学部教授会は、創学以来三十有余年にわたり、非常に自由・平等な雰囲気の中でおおむね健全な学部運営に成功してきたが、専任教員の数が常に設置基準上の最低限に抑え込まれ、各教員の負担が他学部の教員のそれに比較して大きかったことも事実である。すなわち、法学部において、法律学科と地域行政学科の二学科に分かれて以後、学科単位で選出する委員については各教員が複数の委員を兼任せざるを得ないケースが多く、このような各種委員としての教員の大学行政への参加が教員にとって相当な負担となっており、このような事態を改善するためには、法学部専任教員の増員をはかるべきである。
 また、大学協議会についても、その位置づけを前学長以前のものにもどし、大学内における民主主義及び学部自治を確立すべきである。日本の大学が国際的競争力を持ちうるために、教育への国の規制緩和、自由化を推し進める文部科学省は、これからの日本の大学は「競争的環境の中で個性の輝く大学」であるべきだと主張している。この流れのなかで司法改革及び法科大学院設置の動きが活発なこの時期、法学部を取り巻く情勢はきわめて厳しいものがあるものの、法学部は、長期的かつ広い視野をもって学部の民主主義的運営を今後も維持すべきである。


(2) 商経学部
【現 状】
 本学部の管理運営は、教授会を最高の審議・決定機関、学科会議をその下位に位置する審議・決定機関として、学部長を中心に、経済学科と商学科の学科長各1名を加えた合計3名によって行われている。
 教授会は学則第36条及び商経学部教授会規則に基づき運営されており、本学部の専任教員によって組織(商経学部教授会規則第2条)される。
 学部長及び学科長の任期(商経学部教授会規則第2条)は次表のとおりである。なお、これらの役職に就く専任教員が当該役職の職務を全うするため、本学「専任教員担当時間規定」において、学部長の職にある専任教員の授業担当時間は1週6時間(3コマ)、学科長の職にある専任教員の授業担当時間は1週8時間(4コマ)とする軽減措置が講じられている。
役職名
人    数
任   期
学部長
1名
2年(再任を妨げない)
学科長
経済学科・商学科各1名の計2名
1年(再任を妨げない)
 教授会は学部長が招集(商経学部教授会規則第4条)し、月2回定例で開催(夏期休暇中の8・9月は除く)することとなっているが、学部長が必要と認めたとき、又は、本学部専任教員の3分の1以上の要求があったときは、臨時に開催することとなっている。また、学部長が議長となって教授会の議事を運営する。
 教授会の成立要件及び議案決定要件(商経学部教授会規則第5条)は次表のとおりである。なお、出席者の議案に対する賛否の確認は、人事に関する議案については必ず無記名投票により行い、その他の議案については無記名投票、記名投票、口頭確認、回覧確認などの方法の中から教授会で適宜審議し選択して行っている。
区         分
成  立  要  件
議案決定要件
人事に関する議案(学部長の選出、教員の任用、昇任等) 本学部専任教員の3分の2以上の出席 出席者の3分の2以上の賛成
その他の議案 本学部専任教員の過半数の出席 出席者の過半数の賛成
 教授会が審議・決定する事項(商経学部教授会規則第6条)には、教員の人事以外に、@学部の学科、専攻並びに課程専攻の新設、増設、廃止変更に関すること、A学科課程、授業及び学力考査に関すること、B学生の入学卒業その他学生の身上に関する事項や学生の補導に関する事項も含まれている。教授会では、投票による多数決で安易に結論を導くことなく、各教員の考えや経験も含めて持ち得る情報をもとに議論を尽くすことを前提として審議している。特に、退学、休学、復学、卒業、賞罰等学生の身分上の事項については、当該学生が不当に不利益を被ることがないよう十分な配慮を行ったうえで審議・決定を行うことを常としている。
 教授会の議事は、通常、各種委員を務める各教員による委員会報告を経て、学部長が理事会・部館長会議等の結果を報告した後、教授会当日の審議事項の審議・決定に進む、という順序で運営される。この間、各教員より、報告事項や審議事項に対する質疑応答がなされる。審議内容及び結果は学部長が審議事項ごとに口頭で確認するとともに、出席教員が輪番で記録し、学部長及び学科長による記録内容の確認と、学部長が教授会の冒頭で指名した議事録署名人の確認、署名並びに押印を経て、教授会議事録として正式に成立する。
 本学部は経済学科と商学科の2学科で構成されていることから、教授会で審議する議案のうち一つの学科に専ら関係する若しくは一つの学科を起源とする議案については、教授会に上程する前に該当学科内で協議し議案を整理するため、経済学科会議及び商学科会議を設置(商経学部教授会規則第9条)している。また、毎年度のカリキュラムは学科長が中心となって編成するが、学科会議を最終調整の場としている。当該学科会議は必要に応じて学科長が招集している。
 この他、本学部教授会は、大学評議会に委員を1名、大学協議会に2学科から各1名の計2名の委員を送ることにより、これら全学的審議機関の運営及びその構成に協力している。

【点検・評価】
 本学部は2004年度より2学部改組され、2004年度以降は学生の募集を停止するが、2004年度以降の卒業予定で現在本学部に在籍する学生に対しては、入学時に学則や履修規定で提示した本学部の教育課程並びに教育サービスを提供する責務を有している。このため、学生の科目履修や学生生活に不利益や支障が生じぬよう、本学部在籍者が皆無となるまで、現行の本学部教授会を維持・運営することが極めて重要であり、本学部に課せられた社会的責任であると認識している。

【改善・改革方策】
 本学部在籍者が皆無となるまで、現行の本学部教授会を適切に維持・運営し、本学部に課せられた社会的責任を全うする。


(3) 総合文化学部
【現 状】
 本学部教授会は、教授会規則に則って運営されている。教育課程、教員の人事、学生の入学、学籍等教学上の重要事項は、教授会で審議することになっている。本学部には4学科あり、それぞれ学科長を中心として学科会が開催される。教育課程については、それぞれの学科会で原案が検討され、教授会において審議することになっている。教員の採用及び昇任人事は、規程に基づいて審議される。各学科からあげられてきた教員人事について、教授会において審査委員を承認し、審査結果をもとに教授会において無記名投票によって決定する。
 学部長は、学部教授会教員の投票によって決められる。学部長は、学部を代表して部局館長会議や大学協議会、入試管理委員会など全学的な委員会等に参加し、全学と学部の間の情報伝達や意見調整を行なう。学部長のほかに学務主任、学科長4名、教職課程主任の計7名によって、教授会の議題等の調整が行なわれる。
 本学の大学協議会は、学長が議長となり、各学部長と事務系部長のほかに各学部から2名の大学協議委員が参加する。大学協議会は、教学に関する基本的事項、学則の改廃、教学関係予算、学生募集、入試要項など全学の教学に関する事項について、各教授会で審議した内容を持ち寄り、全学的視点で審議し、決定または承認する機関である。全学の教学に関する事項について審議するので、基本的に全学部承認のもとで結果が出されることを基本とするが、学部によって意見が異なる場合がある。大学協議会と教授会の結論が異なる場合、必要に応じてその教授会に対して変更勧告を行なうことができる。また、教授会が大学協議会の結論に異議を持つ場合は、教授会から大学協議会に再審議を要求することができる。

【点検・評価】
 教授会と学部長との機能分担、連携関係は概ね良好である。また、教育課程の編成等学科に関することは学科長を中心とした学科会議が開かれ、教授会事項は全て学科長を通して教授会に上程される。学部教授会と学科会議の機能分担も適切であり、円滑に運営されている。ただし、教授会規程は、学部改組する以前の「文学部教授会規程」となっているので、改正が必要である。
 学科長の事務負担が多いという指摘がされている。また、人間福祉学科については、社会福祉専攻と心理カウンセリング専攻に分かれており、教育課程の編成や学生募集などについて専攻ごとに審議する場合が多い。そのため、学科会議と専攻のミーティングがあって、二重の審議過程を要する場合がある。

【改善・改革方策】
 教授会規程については、2001年度に総合文化学部に改組したので、それに適合するように内容を見直して、総合文化学部教授会規則として2004年度から改正をする。学科長の事務負担については、学科ごとに学科長事務補佐の導入について検討する。人間福祉学科については、専攻主任の導入を検討する。




第3節 大学院の管理運営体制
【現 状】
 「大学院研究科の教学上の管理運営組織」は、現在、1997年度設置の地域文化研究科、1998年度設置の地域産業研究科、2003年設置の法学研究科の3研究科で構成され、下記の委員会等によって円滑な統一のとれた運営を行っている。
ア、「大学院委員会」
「沖縄国際大学大学院学則」第8条から第10条の規定に基づき設置されており、本大学院の管理運営を統括する最高議決機関である。学長を議長として、各研究科長、各学部長、教務部長、各研究科を代表する委員2名で構成する。各学部長は学部教授会代表として学部教授会との意思疎通を図り、教務部長は大学院教育と学部教育の均衡に配慮する役割を担っている。この大学院委員会は、定例開催ではなく審議議案があるときに開催され、大学院設置後の6年間における開催状況は、次表のとおりで年平均4.3回である。また、当該委員会への出席率(委任を除く)を2001年の4回の委員会でみると91%である。
 大学院委員会の開催状況
年 度
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
平 均
回 数
4
6
4
2
6
4
4.3
 2002年度開催の大学院委員会への委員(11人)の出席状況
  
第1回
第2回
第3回
第4回
平 均
出席率
出席人数(人)
10
11
10
10
91%
委任人数(人)
/
/
欠席人数(人)
/
/
イ、「研究科会」
「沖縄国際大学大学院学則」第11条から第12条の規定に基づき設置されている。研究科会の構成員の無記名投票によって選出された各研究科長を議長とし、研究科に所属する専任の教授、助教授で構成する。現在、地域文化研究科会(1997年度設置)、地域産業研究科会(1998年度設置)、法学研究科会(2003年度設置)がある。それぞれの研究科会は、科会の運営に関する諸事項を審議して「大学院委員会」に上程し承認を得る。また、研究科内の各専攻に専攻主任を配置して、より効率的・効果的な科会運営を行っている。
 現在、これらの研究科会は定例開催ではなく審議議案があるときに開催されているが、それぞれの年間開催回数実績は次表の通りである。地域文化研究科会並びに地域産業研究科会とも年平均13回であるが、2002年度は両科会とも平均を5〜6回上回る回数を開催している。

研究科会の開催状況
年   度
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
平均
地域文化研究科会
8
15
14
12
11
19
13.1
地域産業研究科会
/
9
12
12
16
18
13.4
(注)法学研究科については、2003年4月設置のため、記載なし。

 2002年度科会への教員の出席状況
 
科会開催回数
教員数
平均出席率
地域文化研究科会
19回
27人
51.9%(55.3%)
地域産業研究科会
18回
14人
56.2%(58.1%)
   (注1):地域産業研究科会の教員数は、第1回〜第10回は13人(1人国内研修期間)
   (注2):( )内出第12章 管理運営
 「大学院の各研究科会と学部教授会との相互関係」については、構成する教員が学部との兼担ということ以外は、研究科会の議事録が学部教授会で報告されることはない。
 「大学院の各研究科長の選任手続き」は、構成員の3分の2以上の出席する研究科会において、無記名投票で過半数を得た者が研究科長となる。但し、一回の投票で過半数を取る者がいない場合は、得票上位2人を再度無記名投票で選択し、得票の上位が研究科長となる。

【点検・評価】
 最高議決機関である「大学院委員会」の構成、管理運営については、審議議案がある時の年間平均4〜5回の委員会開催であるが委員の出席率も非常に高く、現在までのところ特段の支障は生じていない。また、学部との連携においては、大学院委員会には各学部長、教務部長が学部を代表する形で参加しており、学部教授会及び学部教育とのバランスを図っている。
 研究科会は、議案がある場合に開催する不定期な開催であるが、2002年度は、地域文化研究科会、地域産業研究科会ともほぼ月2回の開催である。しかし、それぞれの出席率(委任者を除く)は6割にも満たない状況であり、委任・欠席の原因が不定期開催によるものか、科会開催通知が適切か等検討し改善すべきである。その他の研究科長の選出方法にも特に問題点はなく、学部教授会との相互関係においても、大学院担当教員がすべて兼担であることからそれぞれ研究科会が基礎となる学部教授会の審議状況が反映されており管理運営上は特に支障はない。但し、学部教授会との相互関係をより長期的視点で見た場合、大学院担当教員以外の学部教員との情報共有を図っていくべきである。

【改善・改革方策】
 両研究科会への構成員の出席率は現在、6割にも満たない状況にあり、その向上策として、構成員の参加意識の啓発は当然のこととして、科会の定期開催等も検討する。