本学卒業後、広告代理店、雑誌出版社を経て、2001年3月、中元英機氏(現チャイルドフッド社長)と共に「編集工房チャイルドフッド」を設立。2001年9月、1つの分野に特化した情報を100件集め徹底紹介する地元向け携帯型ブックレット「100シリーズ」を企画、取材を開始。2002年2月100シリーズVOL.1『Cafe100』を出版、大きな反響を巻き起こす。その後、和食・雑貨・スローフードなどのシリーズ続編を出版。実売1万部を超えればベストセラーと呼ばれる沖縄において、シリーズ総実売部数18万部(2003年5月現在)を記録。また、優れた企画・編集内容に加え、製作日数の短縮や印刷・流通コストの軽減を実現するなど独自のビジネスモデルを確立。2003年には「100シリーズ」の県外版(長崎・熊本・大分・宮崎)を出版、更に京都・神戸など関西エリアへも進出、沖縄発全国向けの出版事業を目指し、積極的に全国展開中。現在、株式会社へと成長した同社の取締役を務める傍ら、新たな雑誌の企画・編集にも奔走している。  
● プロフィール
1995年3月:沖縄県立知念高等学校卒業
1995年4月:沖縄国際大学 短期大学部 1部国文科 入学
1997年3月:沖縄国際大学 短期大学部 1部国文科 卒業
現在、株式会社 チャイルドフッド取締役 兼 編集者
 
  ◎ 現在のお仕事について
 (チャイルドフッド社・取締役としての仕事以外に)現在も編集の仕事に携わっています。「100シリーズ」については既に制作過程がフォーマット化され、第三者に委ねることが可能となっていますので、私の方は9月に創刊した「モアレディ」という雑誌の制作に力を入れています。この雑誌は、沖縄の女性へ向けた「習いごと雑誌」で趣味や資格を持ちたいけれど見つけられずにいる方々にとって行動するきっかけになればと企画しました。同誌への情報掲載などクライアントに対する営業活動も含め、取材・撮影・執筆・編集作業に関わりつつ、書店めぐりなど流通面の仕事もこなしています。

◎ 出版業界を志望した動機・これまでの経験について
 もともと書くことが好きで、中学生の頃から「書く仕事」を目指していました。ただ、その中で、どの職業が一番自分に適しているかは未だはっきりしていませんでした。高校・大学と進むうちに編集者という仕事に憧れ、出版業界に進もうと思いましたが、卒業当時、県内では編集者の採用が無く、それならば企画の方面へ進もうと思い、広告代理店へ入社し、1年半ほど営業の仕事を経験しました。その後、やはり「書く」ことにこだわり、タウン情報誌を発行する出版社での仕事を経た後、そのタウン誌で知り合った現社長の中元と共に「チャイルドフッド」を設立するに至りました。個人的には、大学卒業後に「営業」を経験できたことが、現在の編集・出版の仕事をする上で、大いに役立っていると思います。
▲大ヒットした『100シリーズ』出版物

  ◎ 学生時代に想像していたこととの相違点について
 学生の頃は、「書くことが好き」という一心で理想が先行していたと思います。実際に現場での仕事を始めてみると、「書く」という行為の先にある事柄(販売・流通などの側面)が見えてきました。また、逆に、仕事に慣れるとともに細分化された組織の中で、定型化・単調化した仕事に追われるようになり、自分の目指していたことからは遠ざかっている気もしました。ありきたりの言葉ではなく、自分達の感性で自分達の書きたいことを書くためにチャイルドフッドを設立しました。自分達の会社を立ち上げたことで、初心に戻り「理想」や「原点」に近い仕事が出来ていると思います。

◎ 仕事をこなす上で大切にしていることは?
 本を作るに当たっては、常に現場の声に耳を傾けるようにしています。チャイルドフッドでは、出版物を(取次店を介さず)地元書店へ直接届けることにこだわっています。それは、書店の人の感想やどの本をどのような人が買っていくのかという情報をやりとりすることで、読者と共通の地平に立ち、現場の声・読者の声を大事にしていきたい、読者と対等の目線でいたいと思うからです。
 また、何より自分達が納得のいく本を作るということを大切にしています。「Cafe100」を作る際にも「自分達が作りたい本を作りたいように作ろう」というコンセプトで立ち上げました。即ち、掲載されるお店の主張ではなくて、取材する私たちが感じた有りのままの文章・自分達の言葉・スタイル・写真・デザインにこだわりました。そのコンセプトは現在も同様で、情報を掲載するクライアントとも「パートナー」として対等の立場にたった営業スタイルを貫いています。

  ◎ 今後やってみたいことや夢は?
 沖縄で成功した「100シリーズ」のフォーマット(ビジネスモデル)を全国展開して、それぞれの地域に根ざした地元向けの本、地元の人々が欲しがっている本を出版したいと思っています。「沖縄から発信、地元に還元」できる出版社を目指しています。

◎ 在学中の想い出・ゼミナールなどについて
 在学中は、黒澤亜里子先生のゼミに所属していました。授業以外では、書くことが好きだったので新聞投稿などもしつつ、サークルはワンダーフォーゲル部に入部し、山原の森へ出かけるなど結構ハードに活動していました。ワンゲル部の赤いユニフォームは現在も持っていますし、その後、ワンゲル部の先輩が経営しているお店を「Cafe100」の中で紹介するという巡り合わせもありました。

◎ 後輩へのメッセージ
 もし実社会に出て、理想と現実のギャップに悩んだり、何かに行きづまった時には、一度立ち止まって後ろを振り返ってみることも大切だと思います。「何故、この道を歩んできたのか?」を考え、原点に戻ってみる。それと同時に、前を見据えて「どういう自分になりたいのか」と想像してみる。自分の望む将来像が描ければ、後は実行あるのみだと思います。自分の好きなこと・やりたいことがあるのであれば、それを実現するためにどうすれば良いのかを考え、積極的にチャレンジしてみて下さい。夢をかなえるための実力をつけながら、自分は何がしたいのか、自分には何ができるのかを自分の言葉でアピールできるようにして下さい。

 
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