▲波平学長(左)と、
モハメッド・アナス副学長
 12月16日、厚生会館において、本学とエジプト国立カイロ大学との学術交流協定に関する調印式が執り行われました。調印式では、波平学長とカイロ大学のモハメッド・アナス副学長が交流協定書にサインし、相互に協定書を交換しました。
 調印後、波平学長は「本学にとって、イスラム文化圏の大学との協定締結は初めての経験です。今後、この交流協定がグローバル時代にふさわしい人材育成に貢献するよう期待しています」と挨拶し、また、カイロ大学のアナス副学長は「両大学の交流協定締結を心から嬉しく思います。カイロ大学には、日本語・日本文学学科やアジア研究所があり、今後、日本や沖縄との交流がいっそう深まることを希望しています」と述べられました。
 本学とカイロ大学は、今後、相互に短期語学研修など、学生や教員同士の交流事業を進める予定で、更に本学で開講されているアラブ文化関連講座の増設や外国語科目としてのアラビア語講座の開設も検討することになっています。

宮城邦治(国際交流センター所長
 世界が混沌としている中、沖縄という小さな島と五千年余の歴史を持つエジプトが、未来を担う若者たちのために交流の機会を作り上げた。沖縄国際大学とカイロ大学との間で、2003年12月16日に締結された「学術交流に関する協定」は、数千キロ離れた地にあって、ニつの大学で若者たちに様々な交流と学びの機会を与えるものである。
 情報が満ちあふれる世界にあって私たちはエジプトやイスラム文化圏について何を知っているのだろうか。すぐに思い出すのは砂漠の中にそびえるピラミッドである。しかし、百数十年前にかの地を訪れた福沢諭吉らは巨大なスフィンクスなどに見る文明の偉大さに驚嘆し、日本の文明開化の必要性を確信したのである。
 グローバル化する世界は、沖縄の若者に世界へ目を向けるよう求めている。幸いなことにカイロ大学には日本語・日本文学学科があり百名余の学生が学んでいる。カイロ大学のアハマド・マグディ・ヘガジィ文学部長は、「エジプトの若者は沖縄というもう一つの日本を知ることになる。沖縄の若者はピラミッドに象徴される重厚な文明の歴史とエジプトの人々の篤い思いを学んで欲しい」と交流への期待を込めて話された。
 小さな交流の芽は今始まったばかりである。沖縄の青い海でエジプトの若者たちの歓声が響き、砂漠のオアシスで沖縄の若者たちが感動する、そんな交流がやがて大河となって人々の心を潤すのであろう。若者たちの未来は大きく膨らんでいくようだ。
 
▲ヒシャム・バドル大使(左)と稲嶺恵一知事
 12月16日、本学とカイロ大学との交流協定調印式に出席されたヒシャム・バドル駐日エジプト全権大使は、調印式後、波平勇夫学長と共に、県の稲嶺恵一知事を表敬訪問し、本学とカイロ大学との交流協定締結について報告しました。バドル大使は「エジプトと日本の関係は、文化が異なっていても、尊敬し合い、対話ができる好例です。今後も文化・学術面での交流を図りたい」と述べられました。
 稲嶺知事は、「カイロ大学にとっての日本における8番目の協定校として、沖縄国際大学を選んで下さり、ありがたい。文明国としての長い歴史の中で、大変な文化的蓄積があるエジプトとの学術提携は、大変うれしい」と挨拶しました。
 また、バドル大使は、日本とエジプトの交流が2004年で140周年を迎えること、そして、今回の両大学の交流協定締結をきっかけに、沖縄県内に「エジプト・沖縄友好協会」が発足することも報告しました。
 
 カイロ大学は、エジプトの首都カイロに位置し、エジプトを代表する国立の総合大学として名高い。1908年以降、幾多の変遷を経た後、1958年に現在のカイロ大学となった。
 学部組織としては、文学・法学・理学・医学・歯学・薬学・政治・経済・商学・工学など23余の学部を有し、学生数は15万5千人、教員数は5519人を数える。その他にも100分野の研究所を擁している。
 カイロ大学の日本語・日本文学学科・日本語講座は、2004年に創設30年目を迎える伝統ある講座であり、エジプトにおける日本研究の名門であると同時に、中近東・アフリカ地域の日本語教育・日本研究の拠点として、重要な役割を担っている

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