12月5日(金)、南島文化研究所と沖縄タイムス社・石垣市共催による「第25回 南島文化市民講座」が、石垣市民会館中ホールで開催されました。本講座は、長らく宮古・八重山にあったとされる「人頭税制度」に関する多角的研究をまとめた『近世琉球の租税制度と人頭税』(日本経済評論社)を基に、その研究成果の一端を石垣市民に還元すべく企画され、先島地区では初めての開催となりました。
 先ず、「人頭税及び地割制度の起源」と題して講演した黒島為一氏(南島研特別研究員・石垣市史編集課課長)は、人頭税及び地割制度の起源について、『御財制』『農務帳』『久米具志川間切西銘村名寄帳』等の近世文書を検討し、人頭税は古琉球の段階から全沖縄レベルで賦課されていたことを説明しました。
 2番目に登壇した山本弘文氏(南島研特別研究員・法政大学名誉教授)は、「石高賦課と人頭賦課」と題し、琉球王国の貢租制度について講演しました。山本氏は、特に「具志川間切西銘村名寄帳」を検討し、耕地の割換えの実態と名寄帳の記載内容が一致しないことに言及。更に近世末の史資料を基に、貧富の格差が進んだ本島では、貢納確保のために名寄帳にかかわりなく、営農力に応じた賦課であったことを指摘しました。
 最後に、来間泰男所員による「人頭税はなかった(問題提起)」とする講演では、これまでの人頭税研究の問題点が整理され、その上で、『沖縄県旧慣租税制度』『仁尾主税官復命書』など明治期作成の資料が検討されました。来間所員は、その中で、人頭税とはいえない基本的要件として、当時の租税は間切や村に賦課したものであり、個人別に賦課したものではなかった点を指摘。まとめとして、人頭税ではなく「人頭税的な租税制度は、八重山・宮古に限られた特殊なものではなく、沖縄全体に共通の制度であった」と締めくくりました。
 12月13日(土)、福建師範大学・中琉関係研究所と本学・南島文化研究所との共催による「福建・沖縄共同調査報告会」が5−107教室で開催されました。かねてより、南島文化研究所は福建と沖縄の歴史的交流の経緯を念頭に、両地域の社会・文化の比較研究に関する調査を行なっており、特に2000年度から2002年度には、このテーマに対する文科省の科研費補助金を得て、所員及び特別研究員を中心に10数名の参加者で調査を実施しました。また、この調査研究の過程で中琉関係研究所と南島文化研究所間の学術交流協定が成立、両研究所の協力によって得られた研究成果を発表する場として、今回の報告会が催されました。
 報告会では、11名の研究者が、「中国福建省の民間金融制度」「現代福建における宗族の復興」「福建の宗教及び信仰の琉球への伝播とその影響」など、社会学・民俗学・歴史学・経済学・文化人類学など多角的見地から、各自の調査結果について発表を行いました。今回の調査・報告会の特徴は、沖縄側研究者と中国側研究者、そして、日本在住の中国人研究者を加えた三者が共同調査を行っている点にあり、今後、さらに沖縄と福建の両文化に関する高次元での比較・研究が期待されています。

 “本”のイメージが強い図書館にも、確実に情報化の波が押し寄せています。図書館で利用できる資料は、図書以外にも、視聴覚資料・データベース・パソコンなど多種多様です。膨大な資料の中から、必要な資料をより効率的に検索するには、どうすればよいのでしょうか?
 今年度、図書館では研究支援サービスとして、大学院生や学部生を対象とした初の文献検索ガイダンスを実施しました。6月の大学院生対象ガイダンスには52名、12月の学部生対象ガイダンスには93名の参加がありました。ガイダンスでは、国立情報学研究所(NII)が提供する情報検索サービス=NACSIS-IR・NACSIS-Webcat、研究紀要ポータルサイト等の特徴と操作に関する説明を行い、実際に各種データベースを用いた文献検索を演習しました。
 情報化の進展により、従来の紙媒体の資料だけでなく、インターネットやデータベース等を利用した情報収集が盛んです。選択の幅が広がり、瞬時に情報を得られる反面、利用者には情報を取捨選択する眼が必要となります。「???」と思った方は、図書館のカウンターへお問い合せください。
 「効率よく文献を収集して、分析に時間をまわす」ことで、有意義な大学生活の証となるような素晴らしい論文を執筆してください!
 
 12月19日(金)、図書館会議室で「平成15年度 論文・エッセイコンテスト」の表彰式が行われました。図書館主催の「論文・エッセイコンテスト」は平成元年度からスタートし、今回、通算で15回目を迎えました。今回の応募作品は8点。審査の結果、最優秀賞には、伊佐常利さん(日本文化学科3年次)の「放送が禁止された歌」が選出されました。優秀賞には、小野智子さん(日本文化学科1年次)の「『夏の花』−平和への祈りの根付き」が、また、佳作には仲村広子さん(法学科4年次)の「涙」・與那嶺律沙さん(日本文化学科1年次)の「生きるということ」・平井芽阿里さん(大学院・地域文化研究科・南島文化専攻1年次)の「宮古を想ふ日々」の3点が選ばれました。表彰式では、各入賞者に稲福日出夫図書館長から賞状と副賞が贈られました。
 

 後援会の各支部総会は、例年11月に開催しておりましたが、11月開催の場合、大学の諸行事と重なる場合があるため、平成15年度は、各支部の協力を得て10月初旬から11月初旬に開催時期を変更いたしました。また、各支部総会の際には、父母の皆様を対象に、学生の成績・就職及び学生生活全般に関する個別相談も実施いたしました。
各支部総会への出席状況は、次のとおり。
(1)久米島支部(支部長 桃原英宜氏) 10月11日(土) 出席者23名(会員31名中)
(2)宮古支部(支部長 山内 健氏) 10月31日(金) 出席者40名(会員138名中)
(3)八重山支部(支部長 長浜正勝氏) 11月1日(土)出席者47名(会員89名中)
(4)北部支部(支部長 仲村茂夫氏) 11月8日(土) 出席者23名(会員379名中)
 
 各支部総会では、平成14年度決算の承認と平成15年度予算(案)の審議承認が行われ、また、次の3支部においては、役員改選があり、役員の入れ替えが行なわれました。新支部長には、久米島支部長に大城裕氏、宮古支部長に山内健氏(再選)、八重山支部長に慶田盛伸氏が選出されました。 各支部総会時には、恒例となっている広報課の定例講座(出張講座)も開催され、久米島支部では、名城敏助教授が「久米島の環境」、宮古支部では、村上了太助教授が「ヨーロッパ公企業論:タバコ産業を中心に」、八重山支部では、宮森正樹教授が「毎日の生活に役立てるマーケティング」、北部支部では、比嘉堅教授が「自動車システムから学ぶこと:人間が生きることの意味を考える」のテーマで講演いたしました。そして、11月8日の北部支部総会を最終に、平成15年度の後援会に関する大きな行事が終了いたしました。

 私達、放送研究部は、2003年12月に京都で行われた「第20回 NHK杯 全国大学放送コンテスト」に参加し、「音声CM部門」に「オリエンタル靴店−20年目の再会−」というラジオCM作品を出品した結果、全国からの参加作品64作品の中から、第2位の表彰を受けました。
 この大会は、日本の大学における放送関連のサークルを対象としたもので、実行委員会による一次審査と、それを通過した団体のみの全国大会(本選)から構成されています。今回、創部以来、初めて京都本選に参加できたこと、そして、第2位という栄誉に輝いたことは、今後の放送研究部の飛躍につながっていくと思います。また、今回の選考理由の中に「ラジオCMならではの良さがある」という点が挙げられており、作品制作で中心的役割を担った1・2生を含め、部員一同、今回の快挙をとても喜んでいます。
 今回の京都遠征に心強い協力をしてくださった顧問の山口真也先生と学生課の方々に、部員一同、厚く感謝しています。ありがとうございました。        (放送研究部4年次・末永和哉)

 日本文化学科・人文情報コースでは、2003年から、玉城毅先生のご指導の下で、糸満市にある「FMたまん」という地域FM放送局の日曜日午後2時からの1時間枠をいただき、学生がパーソナリティをつとめる番組「沖国大ラジオゼミ」を制作しています。その1回目の放送として、僕も学生と一緒に出演しました。当日の放送では、「放送禁止歌」をテーマに、沖縄県内の放送局での歌謡曲の自主規制の現状と問題点などを紹介し、ふだんめったに聞くことができない歌を放送しました。
 ラジオはインターネットやテレビとは違って、「声」だけで自分の考えていることを伝えなければいけません。何かを伝える上での細かいルールやマナーもあります。試行錯誤の連続でしたが、いろいろな制約の中で何かを表現することの難しさやおもしろさを学ぶことができ、学生もよい経験になったと思います。
 人文情報コースでは、大学で勉強したことを地域に還元していくという目的の下で、文化に関する研究成果を様々な形で公開することを試みています。ラジオ番組制作もその1つとして今後も続けていきたいと思っています。なお、当日の放送内容は「人文情報コースWebサイト」にて公開中です(学内のみ閲覧可)。
(http://stwww.okiu.ac.jp/faculty/yamaguchi/radio2003.html)

<<前のページ ホーム 次のページ>>