南島文化研究所
市民講座(「地域と博物館の関わりを考える−県立博物館・美術館の新たな展開をめざして−)
 12月1日、新県立博物館・美術館新館において第29回南島文化市民講座を開催した。「地域と博物館の関わりを考える−県立博物館・美術館の新たな展開をめざして−」と題して、博物館の活動内容や経営方法、そして今後の展開に関する報告など、4時間にわたるシンポジウムであった。
 まず基調講演では、「博物館の力−人を立ち止まらせる場所において−」というテーマで木下直之氏(南島研特別研究員・東京大学教授)が登壇した。木下氏の講演では、日本における博物館の歴史について触れ、各地域の博物館の写真・歴史資料を紹介し、誰でも自由に博物館へアクセスできることの重要性が強調された。
  続いて、翁長直樹氏(沖縄県立博物館・美術館主幹)による「沖縄県立美術館の可能性と課題」、萩尾俊章氏(南島研特別研究員・県立博物館・美術館 博物館班長)による「博物館を中心としたネットワークづくり」、仲原弘哲氏(南島研特別研究員・今帰仁村歴史文化センター館長)による「沖縄の地域博物館の果たす役割」といった実践報告の後、最後に源河葉子所員(経済学部准教授)による「ミュージアムと沖縄−地域の見方を考える−」というテーマの報告があった。
 後半は田名真之所員(総合文化学部教授)を司会に、フロアからの意見(質問用紙)を基にして、木下直之氏と実践報告を行った4名による総合討論があった。総合討論では、新県立博物館・美術館の役割、指定管理者制度の問題点、学芸員の養成、一般市民や子供を引きつける企画の立案など、多岐にわたる論点から議論され、内容の濃いシンポジウムになった。
産業総合研究所
産官学地域連携モデル事業
 9月28日、図書館4階AVホールにおいて当研究所が推進する産官学地域連携モデル事業の一環として、「地域ブランドでホントに物が売れるの?」をテーマに講演会を開催した。
 現在、沖縄県産品の加工・製造に従事する県内の企業は、食品製造業を中心として、規模の零細性や市場遠隔性による市場情報の入手困難性などの課題を抱えている。規模の零細性に基づく生産量上限制約の強さや、市場遠隔性による市場即応性の低さや輸送コストの高さのため、大量生産を前提とした廉価大量販売とその過程で生じる価格競争は、沖縄県産品にとって有利な販売戦略とはなっていない現状がある。
 また、未だに後を絶たない虚偽表示や偽装問題などのため、生産者に対するかつての信頼は揺らいでおり、生産物の安全・安心に対する購買者の関心は極めて高い状況にある。
 以上のような問題認識のもと、今回は沖縄フードビジネス会との共催(沖縄県工業連合会・沖縄県産業振興公社の後援)で講演会を開催することとし、講演者に松田友義教授(千葉大学)をお招きした。
 当日は110人余の参加があり、多くの活発な意見・感想が寄せられた。質的差別化を図ることにより購買者に対する沖縄県産品の訴求力を高め、沖縄県産品の市場競争力を強化する一方策として沖縄県産品の自主認証制度のあり方を検討する上で、非常に有意義な講演会となった。
沖縄法政研究所
第7回公開シンポジウム「グレーゾーン金利廃止と消費者保護」

 11月14日、「グレーゾーン金利廃止と消費者保護」をテーマに第7回公開シンポジウムを開催した。
2006年12月、グレーゾーン金利の廃止(利息制限法では違法であるが出資法上は違法とはならない範囲の金利)等を骨子とする、貸金業規制法の改正が行われ、貸金業法(改称)が成立した。2006年度、県内の貸金業者数は416(全国6位)で、人口1万人当たりでは全国1位である。これらの数字からも分かるように県内には貸金業を利用する人々がかなりおり、今回の法改正の影響は大きいと考えられる。
 第一部の基調講演では、田中稔所員が立法や判例など紹介しながらこれまで経緯を解説した。第二部のパネル・ディスカッションでは、県内でそれぞれの立場から消費者金融に関わってきた、嘉数 朗(沖縄県貸金業協会副会長)、迫 幸治(全保連代表取締役)、花城 梨枝子(琉球大学教授)、宮里 徳男(司法書士)の各氏、そして田中稔所員がパネリストとして活発な議論を展開した。この中ではグレーゾーン金利廃止の法改正が貸し手・借り手にどのような影響を与えるのかが、多重債務者問題や今後の消費者金融の在り方、そしてヤミ金などの問題とも絡めて論じられた。当日、学生や市民約300名が参加しパネリストの議論を熱心に聞いていた。

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