第1節 法学部
(1) 教育研究の内容等
【現 状】
@ 教育課程
リーガル・マインドに集約される内容の修得を目指す法学部は、学校教育法第52条、大学設置基準第19条に基づく目標を実現するため、授業科目を共通教育科目と専門教育科目に大別している。
ア、学部の教育課程におけるカリキュラムの体系性の考え方
法学部は、公正で透明なルールによって規律される自由競争・自己責任の時代の到来を前にして、法学教育の一層の充実・強化に努めている。なぜなら、自由で公正な自立した地域社会を実現するためには、法的なものの考え方が一層重要になってくるからである。授業科目を、共通科目と専門科目に二大別し、これら二つの科目群を橋渡しする基礎教育科目(法律学科の「法学概論」、地域行政学科の「基礎演習」)を1年次の必修科目にしているのもそのためである。
共通科目は、沖縄国際大学全学部・学科共通の科目であり、「幅広く深い教養と総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養する」(大学設置基準第19条)科目である。本学では、沖縄関係、外国語を始め、国際理解、自然・環境、人間・文化、社会・生活、情報科学等を含む合計9科目群を設けている。法学部では、情報化社会におけるコミュニケーション能力養成のため、新入生に対し、できるだけ共通科目の「情報処理基礎」を受講するよう指導している。
共通科目は、本学の全ての学部学科に共通する基礎的科目群から構成されているため、9つの科目群責任者と各学科長から構成される共通科目運営委員会(委員長は教務部長)及び各学科長から構成される教務委員会(委員長は教務部長)がこれを実施・運営している。
法学部を卒業するために最低限必要な単位数は、外国語科目群を除く8つの共通科目群から16単位、法律学科の場合外国語科目群から12単位(英語8単位、英語以外の外国語4単位)、専門科目から76単位(必修科目24単位、選択必修科目16単位以上を含む)、地域行政学科の場合外国語科目群から任意の外国語8単位(英語4単位、英語を含む任意の外国語4単位)、専門科目から80単位、さらに両学科とも自由選択20単位を含む、合計124単位である。
| 法律学科 |
地域行政学科 |
必
修
科
目 |
選
択
必
修
科
目 |
選
択
科
目 |
卒
業
必
要
単
位 |
必
修
科
目 |
選
択
必
修
科
目 |
選
択
科
目 |
卒
業
必
要
単
位 |
共通
科目 |
外 国 語 科
目 |
8 |
4 |
0 |
12 |
8 |
0 |
0 |
8 |
その他共通科目 |
0 |
16 |
0 |
16 |
0 |
16 |
0 |
16 |
専 門 科 目 |
24 |
16 |
36 |
76 |
32 |
28 |
20 |
80 |
自 由 選 択 |
0 |
0 |
20 |
20 |
0 |
0 |
20 |
20 |
合 計 |
32 |
36 |
56 |
124
単位 |
40 |
44 |
40 |
124
単位 |
割 合 |
25.8% |
29.0% |
45.2% |
100.0% |
32.3% |
35.4% |
32.3% |
100.0% |
イ、学部の教育課程における専門教育の考え方
法学部は、専門教育科目を必修科目、選択必修科目、選択科目という3つの科目群(これら3つの科目群は、基幹科目、応用科目、発展科目と言い換えることもできる。)により編成している。「学部等の専攻に係る専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を培うこと」(学校教育法第52条)を目的とする専門科目は、法学部の場合、法律学科と地域行政学科で若干異なる。
法律学科における専門教育科目は、必修科目として、まず1年次には、少人数のクラス編成による「法学概論」(1クラス約20名程度)、及び「憲法」と「民法総則」、2年次には、「刑法総論」、3・4年次には、「演習T」・「演習U」の計6科目を配置している。これら6科目は、いずれも4単位であり、以上6科目24単位のみが法律学科学生にとって、その卒業に必要な基本的要件としての専門必修科目となっている。
次に、選択必修科目は、11科目の中から4科目、16単位以上を修得しなければならない。これら必修科目・選択必修科目以外に、さらに、専門選択科目が配置されており、この専門選択科目は、基礎法・公法・私法・社会法等の分野のみならず、政治学・行政学等の分野にも広く及んでおり、法律学科の専門教育科目は、必修科目24単位・選択必修科目16単位以上を含む計76単位以上の履修及び修得を学生に義務づけている。
他方、地域行政学科における専門教育科目は、必修科目として、まず1年次には少人数のクラス編成による「基礎演習」(1クラス約20名程度)、及び「憲法」と「民法総則」、2年次には「刑法総論」、「行政法T」、「行政学」、3年次には「演習T」、4年次には「演習U」の計8科目を配置している。これら8科目は、いずれも4単位であり、以上8科目32単位が地域行政学科学生にとって、その卒業に必要な基本的要件としての専門必修科目となっている。
次に、選択必修科目は、22科目の中から7科目、28単位以上を修得しなければならない。特に、地域行政学科の新入生に「行政実務論」を選択必修科目として履修してもらうのは、教育課程における基礎教育を重視しているからである。これら必修科目・選択必修科目以外に、さらに、専門選択科目が配置されており、この専門選択科目は、基礎法・公法・私法・社会法等の分野のみならず、政治学・行政学等の分野にも広く及んでおり、地域行政学科の専門教育科目は、必修科目32単位・選択必修科目28単位以上を含む計80単位以上の履修及び修得を学生に義務づけている。
A カリキュラムにおける高・大の接続
少子化の影響及び他大学における法科大学院設置の動きに鑑み、法学部では、他学部同様、県内高校とのカリキュラム等の提携をなすに至っている。オープン・キャンパスの際には、法学部の教員による、法律や行政に関連するより身近で興味深い問題についての分り易い講義を行うことによって、高校生に対して、法学部及び法律学・行政学に関する学問に親近感や興味を抱いてくれるよう絶えず努力している。
しかしながら、法学部入学生の中には、将来の明確な目標や展望を必ずしも有しているのではない者や、読む力、書く力、議論する力が十分でない者がいる。このような学生に対し、複雑で難解な法律理論や最新の行政理論の習得に差し障りの出ないよう、いかに有効な対策をとるべきかが急務となりつつある。そこで合格が決定した受験生に対しては、入学前に適切な課題を与えて、その課題探求力、思考力、解決力の大切さに気づいてもらい、レポートを提出してもらっている。学生が、後期中等教育から高等教育へできるだけ円滑に移行できるようにするためである。
大学生活の初年度にあたる1年次には、学科長を中心として、4月の早い段階で学科紹介や履修方法などのオリエンテーションを行っている。法学部の専任教員が担当する1年次の必修科目である「法学概論」(法律学科の場合)や「基礎演習」(地域行政学科の場合)の少人数教育の場においては、各学科で何をどのように学ぶか、その基礎的な知識と方向について、できるだけ早い段階での合宿を通じて、専任教員と学生、また学生同士の意思疎通を図り、よりきめ細かい教育や指導を行うよう心掛けている。図書館での法律及び行政に関する文献・資料等の検索、少人数クラスでの個人または班別によるレポート作成や報告の仕方、教室外での議会や裁判の傍聴などを通じて、法的なものの考え方を修得するための基礎的学習を支援している。それは次年度以降の、自分の関心分野をより明確にし、自己の適性、能力、興味等を考慮しながら将来の進路志望に合致する演習選択のための準備をしてもらうためである。
B インターンシップ、ボランティア
法学部は、本学では他学部に先がけて、平成9年度よりインターンシップ制を取り入れ、実施してきた。これは、県内市町村の役所や企業また弁護士事務所や司法書士事務所等での研修・実習を内容とするものであり、これに「特殊講義」(3年次以上の一定の要件を満たす希望学生対象、地域行政学科においては平成16年度から「インターンシップT、U」と名称変更の予定)の単位(2または4単位)を認定することとなっている。
本制度は、学生が実際に役所や企業・事業所等で研修・実習することによって、その仕事の意味を本当に理解し、将来の進路の参考に役立てることを目的とするものである。本制度は、大学の教室の中だけでは得ることのできない現場での実践的知識と技能を修得し、社会人としての適性及び職業観を養うことに大いに役立っている。法学部においては、すでに本制度を生かして希望する企業や事業体への就職を果した学生を多数輩出するに至っている。現在では、国会議員や県・市会議員の事務所においても本制度は活用されており、今後本県を中心とする地域社会の将来を担う政治家や地域のリーダーの誕生が期待される。
ボランティアに関しては、地域行政学科で、NPO法人でのボランティア活動を実施できるようその可能性を検討中である。
C 法学部の履修科目の区分
法学部における履修科目については、法律学科は学則別表第U(第20条関係)に、また地域行政学科は学則別表第V(第20条関係)にそれぞれ表記されており、下記の表が示すとおりである。@教育課程での項で詳述したので、ここでの説明は控える。
| 法律学科 |
地域行政学科 |
必
修
科
目 |
選
択
必
修
科
目 |
選
択
科
目 |
卒
業
必
要
単
位 |
必
修
科
目 |
選
択
必
修
科
目 |
選
択
科
目 |
卒
業
必
要
単
位 |
共通
科目 |
外 国 語 科
目 |
8 |
4 |
0 |
12 |
8 |
0 |
0 |
8 |
その他共通科目 |
0 |
16 |
0 |
16 |
0 |
16 |
0 |
16 |
専 門 科 目 |
24 |
16 |
36 |
76 |
32 |
28 |
20 |
80 |
自 由 選 択 |
0 |
0 |
20 |
20 |
0 |
0 |
20 |
20 |
合 計 |
32 |
36 |
56 |
124
単位 |
40 |
44 |
40 |
124
単位 |
割 合 |
25.8% |
29.0% |
45.2% |
100.0% |
32.3% |
35.4% |
32.3% |
100.0% |
D 授業形態と単位の関係
授業形態は、比較的多人数クラスで行われる講義形態と20名程度の少人数クラスを基本とする演習形態に、主として、二分される。講義科目は、原則として、一学期2時間の授業を一週間に2回行うセメスター制(学期制)を採用している。「法学概論」、「基礎演習」、「演習T、U」等の演習科目は、一週間に2時間の授業を1回行う通年制を採用している。
各授業の単位数は、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じて、その授業による教育効果、授業時間外に必要な学修をも考慮して、次の基準によって単位数を計算することになっている。
(イ) 講義科目については、15時間の授業をもって1単位とする。
(ロ) 外国語科目については、30時間の学修をもって1単位とする。
(ハ) 演習については、15時間の演習をもって1単位とする。
その他、主として、夏期集中講義(原則として1学科年間2科目開設を限度とする)では本土より有名教授を招き、年間40単位の登録制限外にある科目として学生が多様で柔軟な学習ができるよう工夫している。
E 単位互換、単位認定等
法学部は、他大学との積極的な提携・交流をはかり、法学部学生が多角的で広い視野をもった勉学を行う機会を提供している。1993(平成5)年に札幌学院大学との間で「単位互換協定」を締結し、以来、毎年のように本学部の学生が同大学において勉学に励んでおり、同大学において取得した履修単位を本学における卒業所要単位に読み替えている。1997(平成9)年には名城大学(愛知県)、1999(平成11)年には京都学園大学(京都府)との間でも「単位互換協定」が締結され、法学部学生が勉学する機会や範囲がいっそう拡大されるに至っている。また、法学部は、これら各大学からも学生を受け入れて勉学と交流の機会を提供している。
「単位互換協定」を結んでいる各大学へ派遣される学生は、2年次以上の学生がその対象である(原則として、4年次生は派遣しない)。派遣された学生が各大学で修得した単位については、各大学の授業科目が本学法学部の授業科目に適合する場合には、在学中協定校で修得した単位のうち60単位まで(ただし、一年間で履修できるのは40単位まで)は本法学部の卒業所要単位に含めることが可能である。したがって、卒業に必要な総単位(124単位)のうち、協定校で修得した単位は最高60単位まで本法学部の卒業所要単位に含めることができる(学則第23条)。また、協定校たる各大学においてのみ開講されている講義科目であり、かつ本学法学部にそれに相当する講義科目がない場合、各大学で修得した単位のうち20単位までを「自由選択」科目の単位として読み替えることにより、法学部の卒業所要単位とすることができる。
平成14年度の単位互換協定に基づく単位認定の状況をみると、法律学科における認定者数は9名、他大学での認定単位総数は専門科目136単位、専門以外の科目30単位、一人当たり平均認定単位数は18.4単位、同様に第二部法学科の認定者数は2名、他大学での認定単位総数は専門科目4単位、専門以外の科目18単位、一人当たり平均認定単位数は11.0単位となっている(大学基礎データの表4による)。
大学以外の教育施設等での学修(例えばインターンシップにおける法律事務所、司法書士事務所、役所、民間企業等での学修)や編入生・転入生等の入学前の既修得単位の単位認定にあっては、本学学則第24条及び第26条により、60単位の範囲内で、法学部の卒業所要単位とすることができる。
F 開設授業科目における専・兼比率等
法律学科の専任担当専門科目の全開設授業科目76(必修科目35・選択必修科目10を含む)のうち、兼任担当科目数は8であり、担当科目における専兼比率は9.5である。これは、大学基礎データの表3に示されているところである。
平成14年より募集を停止した法学部第二部法学科の、専任担当専門科目の全開設授業科目37(必修科目16・選択必修科目6を含む)のうち、兼任担当科目数は5であり、担当科目における専兼比率は7.4である。これは、大学基礎データの表3に示されているところである。
他方、地域行政学科の専任担当専門科目の全開設授業科目31(必修科目11・選択必修科目6を含む)のうち、兼任担当科目数は7であり、担当科目における専兼比率は4.4である。これは、大学基礎データの表3に示されているところである。
表3が示すように、法学部においては、必修科目はすべて専任教員が担当している。兼任教員が担当しているのは、すべて講義科目である。法学部の専門科目の専兼比率が他学部に比べて若干高いのは、平成14年度に教員が一人退職し、その補充人事が完了していなかったこと、法学部から法人役員が出ていること、採用予定の教員の辞退申し入れがあり採用が次年度以降に延期したこと等による。
G 社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮
法学部は、創立以来夜間の第二部を併設してきた。社会人学生は、そのほとんどが一般学生に比較して真面目で勉学意欲が旺盛であり、かつ受講態度や出席状況も非常に良好な模範的な学生が多数を占めている。ただし、社会人学生のなかには長期間、学問から遠ざかっていたことによる文章力や語学力の面での若干のハンディがあったり、また夜間提供科目の時間割上の制約等のため、社会人学生の科目履修が昼間部学生に比べて制約されることがあるのも事実である。
そこで第一部、第二部とも同一の科目を提供している本学は、一定の要件を満たす社会人学生が、第一部・第二部間において、最高60単位の限度内で所属する部以外の科目を部違い受講することを認めている。
一定の要件を満たす社会人学生とは、勤務条件の変更により当該所属部の授業科目の履修が困難である社会人学生、経済的理由から当該所属部の授業科目の履修が困難である社会人学生、時間割の関係で修得すべき授業科目の履修が困難な社会人学生、卒業年次で当該所属部の開講科目だけでは卒業できない社会人学生であるが、その他特別な事情により、教務部長が認めた場合も含む。
2〜3年次への編入学生についても、入学前の既修得単位を、60単位(ただし、2年次編入生学生の場合30単位)を限度として法学部の卒業単位として認定している。この認定の基準は、@既修得科目の内容が本学が開設している科目の内容と同一と認められる場合、A既修得科目の内容が教育上有益と認められる場合である。
外国人留学生については、法律学そのものの難解な性質のゆえか、他学部に比較して法学部を志望する者の数が少ないのが実情である(平成14年度0名)。外国人留学生については、毎年、オリエンテーションとは別の日時に、学科長が個別的に履修指導を行う等のきめ細かな配慮をしている。また、演習等の少人数クラスにおいては、彼らの語学力を考慮して、できるだけ理解しやすい言葉を使用し、平易な説明を心掛け、また質問に対しては懇切に対応するように努めている。
H 生涯学習への対応
これは、本学の広報課やエクステンション・センターが有料または無料で希望学生及び学外の一般人に対して、公開講座や公開講演会として実施しているものである。
法学部においては、本学部主催による学外講師の公開講演会はすでに数多く行われている。講師には、藤林益三元最高裁判所長官、田畑忍元同志社大学学長などの全国的に著名な法律家が含まれている。最近では、名城大学の篠田四郎教授が知的財産法に関する講演を行っている。
法学部は、法学部主催の公開講演会のほか、地域に根ざす学部として、地域における生涯学習の発展に大きく貢献している。法学部による生涯学習への対応としては、各学部輪番で開催する学内定例講座、市町村等の依頼により法学部教員を派遣する学外講座、正規の授業科目を社会人に対し受講することを認める公開科目、さらにリカレント講座、科目等履修生、研究生の仕組みが用意されている。
2001年度の法学部教員による学外講座としては、前津榮健教授による「情報公開制度の意義としくみ」(平良市、伊是名村、南風原町、北谷町、与那原町、中城村など)、「個人情報保護制度について」(具志川市、嘉手納町、名護市、北谷町など)、「市町村合併」(与那原町など)のほか、照屋寛之講師による「日本の政治・行政について」(具志川市)がある。
2002年度の法学部教員による沖縄県広域学習サービスリカレントコースの実施については、垣花豊順教授による「憲法と教育基本法」、阿波連正一教授による「大学教育の現状と課題」がある。また同年度の法学部教員による学内定例講座(全12回)実施状況は、前津榮健教授(テーマ:「地方分権と自治体の行政課題」)、吉次公介講師(テーマ:「国際政治のなかの沖縄」)、照屋寛之講師(テーマ:「地方議会の現状と課題」と「今、なぜ市町村合併なのか」)、佐藤学教授(テーマ:「アメリカの自治に学ぶ」と「政策評価とこれからの地方自治」)、西原森茂教授(テーマ:「沖縄の地方性(locality)と政治」と「八重山の自然環境と行政」)、井端正幸教授(テーマ:「政治の中の自治と分権」)によるそれぞれの講座がある。同年度の法学部教員による学外講座としては、前津榮健教授による「情報公開制度の意義としくみ」(具志頭村、恩納村、今帰仁村など)、「個人情報保護制度の意義としくみ」(中城村)、「情報公開及び個人情報保護条例」(宜野湾市)、「情報公開条例」(読谷村)のほか、照屋寛之助教授による「市町村合併の現状と課題」(具志川市、5市町村企画担当部署連絡会)がある。
I 正課外教育
法学部における正課外教育としては、比較的よく行われるのが裁判所見学である。また法学部では、法律専門職、地方公務員上級職、国家公務員上・中級職を目指す希望学生のために、司法研究室において法学部教員が学生の質問に答えたり、答案練習をときどき指導している。
大学祭のとき、法学部教員が顧問をしている法律研究部は、交通事故や殺人事件等をテーマにした模擬裁判をしている。大学祭のときだけでなく、法学部学生に実践的な法学教育を身に付けさせることを目的として、将来、模擬法廷教室(または新校舎のホール)での公開模擬裁判を開くことも計画されている。
法学部学生が、より安易な方向に流れて卒業することのないよう、本来学習すべき実定法の知識をより確実に修得させるため、法学検定試験の受験とその資格取得を義務づけることも検討している。その他、卒業までに資格取得を目指す学生は、有料で本学のエクステンションセンターが実施する講座に参加することができる。
【点検・評価】
法学部は、2002年度に学部・学科改組を行い、増設した地域行政学科において教育課程を新たに編成した。2006年度の完成年度に至るまで、法学部は、その実施計画の内容実現に向けて努力しなければならない。
「学部・学科等の教育課程」、「インターンシップ、ボランティア」、「履修科目の区分」、「授業形態と単位の関係」、「単位互換、単位認定等」、「社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮」、「生涯学習への対応」については、当面大きく改善すべき箇所はない。一年次の必修科目である少人数クラスの「法学概論」、「基礎演習」は、高・大の接続の上でも、教育効果があがっており評価できる。
「開設授業科目における専・兼比率等」については、今後、当初の計画通りの採用人事を実現すれば、相当改善できよう。ただし、2003年度から、法学部を基礎とする大学院法学研究科を開設したことにより、大学院での科目を兼担する専任教員の学部科目の担当に余裕がなくなっている。そのため、高校及び大学院との関係を含め、変化する地域社会に対応した法学部教育の必要十分な内容は何であるか、その内容、範囲、方法、形態等の再検討が迫られていることは事実である。
「地域に根ざし世界に開かれた」法学部であり続けるために、また正課外教育の一層の充実のために、演習単位で県外や国外の司法、立法、行政関連施設・設備の見学を含む研修旅行を可能にする補助金制度の拡充が望まれる。
【改善・改革方策】
急速に少子高齢化する社会の影響、法学部を基礎とする法学研究科の開設、他大学における法科大学院の開設などを前にして、法学部は、今後高・大の連携を強化・増大しながら質の高い個性に富む学生の確保、分かり易く質の高い教育内容と提供、そして学生の希望する就職先への求職活動支援に、一層力を入れる必要が生じている。
また、これまでは遠隔の地でありながら、比較的優秀な教員を確保することに成功していたが、全国的な法科大学院開設の動きにともない大幅な教員の移動が予測され、その結果、従来どおりの教育水準が維持できるかどうかが懸念される。今後、教員の教育研究の内容・方法とその条件整備の改善、教員の各種委員会への出席と報告書の作成等の過度の雑務からの解放等の対策を講ずることにより、有能な教員の定着化をはかるべきであろう。
(2) 教育方法とその改善
【現 状】
@ 教育効果の測定
教育効果の測定の手段としての定期試験については、通年科目の場合、前期末あるいは前期試験期間内、及び後期末あるいは後期試験期間内の2回に分けて試験を行う場合と、後期末あるいは後期試験期間内の1回の試験のみをもって成績評価を行う場合が一般的である。
セメスター制をとる科目の場合、前期開講の場合には、前期末あるいは前期試験期間内の試験をもって、後期開講の場合には、後期末あるいは後期試験期間内の試験をもって成績評価を行う。これらいずれの場合にも、学部履修規程及び担当教員の個別的判断に基づき、毎回の出席、小テスト、レポート等によってより総合的な成績評価を試みる場合がある。
「法学概論」、「基礎演習」や、「専門演習」等の少人数クラスの科目の場合、主として学生の出席状況を重視し、レジュメや研究発表等の結果、及び小テストや指定図書の感想文、レポートの提出状況等を総合的に判断することによって成績評価を行う場合が多い。
成績は、学部等履修規程に基づき、優、良、可、不可の4段階(すなわち100点満点で、80以上が優、70以上〜80未満が良、60以上〜70未満が可、60未満が不可)により評価している。各教員は、適切な評価を行い、記載ミスのないよう慎重に成績を評価している。しかし、生身の人間である教員に全くミスがないとは言えず、報告を行う場合にミスが生じることも考えられるところから、自己の成績に疑問のある学生については、所定の期間内に成績評価確認願を各教員に提出することが認められている。教務課を経て、成績評価確認願を受け取った教員は、学生に対し一定の期間内に成績評価の根拠、内容を示し、説明することになっている。科目の採点基準を学生に対し明確にすることにより、成績判定に関する教員との信頼関係を築き、学生に一層の学習意欲を持たせることが重要であるからである。
法学部は、法律学の知識・能力の全国的レベルでの客観的到達度をはかるため、また役所や企業等への就職に際しての一つの目安として活用するため、平成12年度以降、法学検定試験受験希望者に向けて特殊講義を開設し、希望する学生に受講の機会を提供している。受講生にとって検定試験は、法律学学習の手がかりや具体的目標となり、勉学の面で少しでも充実した学生生活を送れるようになることが期待されている。
|
合 計 |
合 格 |
不合格 |
欠 席 |
合 格 率 |
4級 |
60 |
32 |
24 |
4 |
57.14% |
3級 一般 |
8 |
1 |
7 |
0 |
12.50% |
3級 司法(民訴) |
3 |
3 |
0 |
0 |
100.00% |
3級 司法(刑訴) |
9 |
3 |
6 |
0 |
33.33% |
3級 行政 |
25 |
12 |
12 |
1 |
50.00% |
3級 企業(民訴) |
4 |
2 |
0 |
2 |
100.00% |
3級 企業(労働) |
4 |
4 |
0 |
0 |
100.00% |
合 計 |
113 |
57 |
49 |
7 |
4級 |
57% |
3級 |
54% |
法学部の教育効果を測定するシステム全体の機能的有効性を検証する仕組みとしての教務委員会が、各学部の教授会・学科会とどのように関わるのか、さらに教務委員会や共通科目運営委員会等大学の教学部門が学校法人の教務部門とどのように権限を分掌しその内容を実現するのか、これらの内容について全学的合意を得るためには、今後、何をどのように、どのような順序で行うべきか、検討を要する課題である。
教育効果の一つの検証方法としての卒業生の進路状況については、法学部の場合、次のとおりである。
法学部過去5年間の就職状況 (2003年5月1日現在就職課把握分より作成)(単位:人) |
|
卒業者数(内訳) |
就職者数 |
就職率
(%) |
部別 |
人数 |
就職希望者 |
公務員・教員 |
企業・その他 |
合計 |
平成10年度
(1998年度) |
一部 |
114 |
73 |
3 |
47 |
50 |
68 |
二部 |
73 |
52 |
6 |
31 |
37 |
71 |
平成11年度
(1999年度) |
一部 |
115 |
54 |
9 |
32 |
41 |
76 |
二部 |
71 |
34 |
3 |
16 |
19 |
56 |
平成12年度
(2000年度)
|
一部 |
114 |
53 |
7 |
33 |
40 |
75 |
二部 |
53 |
28 |
2 |
15 |
17 |
61 |
平成13年度
(2001年度)
|
一部 |
119 |
64 |
2 |
39 |
41 |
64 |
二部 |
68 |
27 |
0 |
23 |
23 |
85 |
平成14年度
(2002年度) |
一部 |
125 |
60 |
2 |
41 |
43 |
72 |
二部 |
41 |
20 |
2 |
15 |
17 |
85 |
大学院入学年度 |
進学者数 |
大学院 |
平成元年度 |
0 |
|
平成2年度
|
0 |
|
平成3年度
|
2 |
県内他大学大学院(2) |
平成4年度
|
2 |
県内他大学大学院(1)、本土大学大学院(1) |
平成5年度
|
2 |
県内他大学大学院(1)、本土大学大学院(1) |
平成6年度
|
3 |
県内他大学大学院(2)、本土大学大学院(1) |
平成7年度
|
0 |
|
平成8年度
|
2 |
本土大学大学院(2) |
平成9年度
|
3 |
本学大学院他研究科(3) |
平成10年度
|
2 |
本学大学院他研究科(1)、本土大学大学院(1) |
平成11年度
|
4 |
本学大学院他研究科(3)、県内他大学大学院(1) |
平成12年度
|
1 |
県内他大学大学院(1) |
平成13年度
|
1 |
県内他大学大学院(1) |
平成14年度
|
2 |
本学大学院他研究科(2) |
平成15年度 |
4 |
本学大学院法学研究科(過卒者含む)(4) |
A 厳格な成績評価の仕組み
法学部における履修科目登録の上限は、法学部履修規程により、卒業年次を除き、1学年40単位を上限としている。卒業年次は52単位までの履修が可能である。1学年40単位以内の履修しか認めないとすると、例えば、教員免許取得を目指す学生にとっては本来の学部専門科目の履修が時間的に制約されることから、法学部では運用上、夏期集中講義科目については、40単位の履修登録制限外としている。これにより、1年〜3年次生は、1年間で48単位まで登録することが運用上可能となっている。
成績評価基準については、受講生全体のなかで優、良、可、不可の割合をそれぞれ何%にするかという成績分布及び個々の授業科目毎の成績の公表につき、今のところ学部・学科内での組織的合意は得られていない。
本学は、年次毎の進級制度を導入していないので、1年間の履修単位総数が16単位以上であれば、自動的に新しい年次に進級することができる。換言すれば、1年間の履修単位数が16単位未満の場合、教授会は、当該学生の除籍等の処分をすることができる。
卒業年次の学生の質を検証・確保するために、教授会で卒業判定会議をもち、個々の学生の卒業の合否判定を行なっている。卒業判定会議は、結果的に科目毎の教育効果や目標達成度、個々の教員の成績評価方法に関する、公開評価の場として機能している。
学生の学習意欲を刺激する仕組みとして、一部の他大学で実施しているように、今後は、100点満点で90点以上を秀とし、秀、優、良、可、不可の5段階による成績評価を導入し、各学科の学年毎に成績優秀学生の上位5%〜10%を選別し、授業料・施設費等をそれぞれ成績に応じて免除または減額したり、また在学中に資格を取得した者にはその資格の難易度に応じた資格取得奨励金を支給するなど、学生の学習意欲を刺激する新しい柔軟なサポートシステムを設置すべきである。
B 履修指導
法学部の履修指導は、4月の前期オリエンテーション時及び10月の後期オリエンテーション時に、各学生の将来の志望・進路を考慮したうえで、学科長が毎年、学年別に詳細な履修指導を行っている。
1996年度から本学に導入されたオフィス・アワーの制度では、全教員が1週間に1コマ分の時間帯をオフィス・アワーとして学生に提供し、当該学生の所属する学部生のみならずどの学部の在学生の質問・相談であっても、講義に関するアカデミックな内容の質問である限り、原則として、研究室の教員が受け付けることになっている。各教員のオフィス・アワーが何曜日の何時間目に設定されているかは、『講義概要』のほか、教員研究室の掲示板に明示されている。
本学は、年次進級制ではなく、卒業年次までの進級制を採用しているため、留年の制度はない。ただ年間取得単位が16単位未満の学生については、除籍処分の対象となる。運用上、除籍処分に先立つ1年間は指導期間(除籍処分猶予期間)に充てられており、単位不足学生や留年生に対して、学科長とアカデミック・アドバイザーが指導する。
学習支援を恒常的に行なうアカデミック・アドバイザーは、1998年度からすべての在学生を対象に配置されている。法学部においては、1・2年次学生の場合「法学概論」または「基礎演習」の担当教員が、3・4年次学生の場合「専門演習T、U」の担当教員が、アカデミック・アドバイザーとなる。アカデミック・アドバイザーは、卒業年次生を除き学生が1年間に最低20単位以上登録しているかどうかとか、履修あるいは履修登録時に生じた疑問点や問題点などの履修相談・指導のほか、休学、留学などの相談、奨学生候補学生に対する推薦書の作成、学費の納入に関する確認と相談、その他就職やクラブ活動など学生の進路や生活上の相談も行なっている。
C 教育改善への組織的な取組み
履修指導に当たっては、履修方法や単位の計算方法、あるいは成績評価や単位の認定につき、具体的かつ詳細に解説した『履修ガイド』、及び法学部において開講される授業科目につき、その科目の担当教員が当該科目の概要・使用テキスト・参考文献・履修上の注意・成績評価の方法と基準等を説明した『講義概要』が使用され、新入生に配布されている。これら毎年発行される資料は、一読するだけで履修登録に必要な事項が理解・把握できるよう工夫されている。
法学部は、急速に発展しつつある情報教育の充実のため、新入生に対して、共通科目の「情報処理基礎」を受講するよう指導しており、ほとんど全員が1年次の前期または後期に受講している。今後は、情報基礎入門等の科目を必修化することを検討している。現在、法学部資料室には、コンピュータを導入し、コンピュータを用いた法令、判例、文献等の検索方法に早い段階から習熟してもらう工夫をしている。
法学部においては、近年、学生の基礎的な学力、換言すれば学生の課題発見能力・資料収集能力・討論力・表現力が低下しているため、これらを補充・強化することを目的として、また法学教育が積み重ね教育であるという特色をもつことから、1・2年次の履修科目、とくに「法学概論」、「基礎演習」等の基礎科目と各学科の専門科目との有機的接合に関して、再編成を検討している。また、最近の学生のなかには、卒業に必要な必修科目のみを履修し、卒業後、社会において必要となるであろう選択必修科目、選択科目を履修することなく卒業する学生がいる。このような状況が継続すれば、法学部が有為な人材を社会に送り出すことが困難となるおそれがある。法学部では、地域社会からの強い開設要請のある先端的分野の科目(例、電子商取引法、ADRを含めた紛争解決学など)の新設、必修科目の増加のほか、在学生に法学検定試験を受験させ、3級程度の資格を取得して卒業すべきことをカリキュラム上義務づけること等を検討している。
教員の教育活動について、過去に大学による学生へのアンケート調査が全学的に実施されたことがある。しかし、これはFDとして十分とはいえず、FD活動に対する組織的取り組みについては、今後の課題である。
D 授業形態と授業方法の関係
法学部における授業形態は、比較的多人数クラスの講義形態と、平均20人程度の少人数クラスの演習(「法学概論」と「基礎演習」を含む)形態である。
講義形態の授業の場合、法律科目であれば、主としてテキストを中心に法律の解釈や理論の解説、あるいは判例の紹介やその評釈を中心として授業を進めるのが通常である。ただし、法律科目の授業は、その性質上、どうしても抽象的かつ難解な授業となりがちであるので、学生の興味を引き、理解を深めるため、新聞記事等の資料や教材を配布したり、あるいは法律問題を取り扱ったビデオや映画等を見せるなどのAV機器を活用した視聴覚教育にも力を注いでいる。例えば、パワー・ポイント(P.P)を使った授業をしている教員のほか、刑事政策の授業において毎年実施されている刑務所見学、行政学や行政法のクラスで行われている県議会や市議会の傍聴等が挙げられる。
演習形態の授業の場合、学生による法律問題や判例の研究発表、地域開発の現状と課題等についての報告を通じて、対話・討論型の授業が通常行われている。各演習においてはそれぞれ特徴を有するものが多く、たとえば、商法の会社法演習においては、演習生の各チームに会社を模擬的に設立させており、学生に自分が学んだ法律知識や法律技術を活用し実践せしめる機会を与える試みがなされている。また行政法の演習においては、行政法理論と自治体の実務との関連を学ぶため、地方自治体の情報公開条例の草案を検討し、その施行時における諸問題と評価を役所の関係者から聞いている。さらに離島行政の現状と課題を学ぶため、毎年演習生を県内離島に引率し、行政法の運用上の諸問題について関連機関を訪問しヒアリングしている。
【点検・評価】
法学部における成績評価の手段としての試験については、過去における若干の例外的事例を除いては、比較的健全かつ公正に実施されてきたものと評価しうる。また、「厳格な成績評価の仕組み」についても、できるかぎり客観性・公平性を欠くことのないように、特に、自己の成績について疑問のある学生に対して、成績評価確認願の提出を認めている点などは、かなり民主的な立場を貫いているものと言いうるであろう。
「履修指導」の点に関しても、適切さを欠くものではなく、むしろかなり懇切で丁寧な指導が行われている。県内他大学における法科大学院開設後の、本法学部における法学教育の改善、特に「教育改善への組織的な取り組み」に関しては、本土の法学部の動きを視野に入れつつ、堅実な改善策を練っているところである。
【改善・改革方策】
少子化に伴い年々増加しつつある一般教養・常識の十分でない学生、及び明確な目標をもたないまま入学してくる学生に対する進路指導・履修指導の徹底については、より大きな努力を払うべきであろう。今後は、大学院生を学部の演習や実習に参加してもらうなどのティーチング・アシスタント(T.A)の創設やパワー・ポイント(P.P)を用いた学生による発表機会の増加等について検討すべきである。授業の形態、規模、内容に応じて、教材の開発、視聴覚機器の操作、質問への対応、出席カードの配布・回収、授業評価票の配布・回収等に、どのようなまたどのくらいのT.Aを必要とするのか、人的補助体制について考えるべき時期に来ている。
今後、学生の興味を引く一層魅力的な授業の必要性が強く考えられるところから、これまでの教員相互間の「内政不干渉」的な考えを打破し、各教員の教育能力の研鑚・向上を目的とした授業の相互参観や、研究授業、あるいは一部大学で行われている父母による授業参観を実施すべきであろう。また、シラバスと授業内容が余りに異なる場合、履修取り消しを認めるかどうかも、今後の検討課題の一つとなろう。
法学部では、在学生に法学検定試験を受験させ、3級程度の資格を取得して卒業すべきことをカリキュラム上義務づけるかどうかについて検討しているが、その場合学生の受験料を大学側が負担すべきことも検討項目の一つとなろう。
(3) 国内外における教育研究交流
【現 状】
現在、法学部が国内において行っている教育・研究交流としては、まず、単位互換協定を締結している札幌学院大学や名城大学や京都学園大学から教員を招いて、夏期集中講義を開いたり、あるいは県内の他大学の協力の下に、3年に一度、本学において沖縄法政学会を開催し、他大学研究者や弁護士、公証人、司法書士等の法律実務家との間で研究交流を深めている。
本学が姉妹校協定を結んでいる台湾の東海大学、韓国の韓南大学、中国の澳門大学、タイのヨノック大学、イギリスのアルスター大学等の国外の大学との教育・研究交流に関しては、法学部についてみる限り、あまり活発とはいえず、残念ながらとくに目立った成果はあがっていない。
【点検・評価】
法学部が国外の大学と教育・研究交流に関して余り活発でない理由として、沖縄国際大学が現在提携している海外の大学に法学部がなく、また海外のロー・スクールが日本の法学部と制度的に同じでなく、法学教育の内容に相違があること等が挙げられる。
【改善・改革方策】
法学部において、将来、国外の大学との教育・研究交流を活発化するためには、外国人教員の任用、比較法、国際民事訴訟法、国際関係論等の国際的な法律学及び政治学の科目の設置、また学部独自で使用できる研究費制度の導入等を検討すべきであろう。そのためには、速やかに法学部が独自で、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランスといったわが国の法律・政治に多大の影響力を及ぼした国の大学と提携することはもちろん、中近東や南米の大学とも、さらに日本のような学部段階でも法学教育が行なわれているオーストラリアのような「アジア太平洋地域またオセアニアのなかの沖縄」を意識したアジア太平洋地域の大学とも提携し、それらの大学から教員・研究者を招いたり、教員を派遣したりする等の交流をなすべきである。
第2節 商経学部
(1) 教育研究の内容等
【現 状】
@ 教育課程
ア、教育課程編成の基本的考え方
本学部では、学部の理念及び経済学科・商学科それぞれの教育目標を踏まえ、具体的には、「基礎理論と応用・適応能力を備えた経済人」及び「問題解決能力や高度な情報処理技術を身につけた人材」を育成することを教育課程編成の際の基本的な考え方としている。
本学部の教育課程は、共通科目と専門科目の2つの科目群で編成されている。
共通科目は、本学部だけでなく法学部及び総合文化学部を構成している各学科の専門教育との有機的連携を目指した全学科共通の科目であり、「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養する」ことを目的として、外国語や健康・スポーツに関わる科目のほか、人間社会全般に関わる知識、特に、国際化、情報化、地域化の流れ、そして環境問題や女性学等々に関わる科学的知識の習得を行わせるために設けている科目群である。
専門科目は、「学部等の専攻に係る専門学芸を教授」し「応用的能力を展開させる」ことを目的として、学科毎に体系的に基礎理論を習得させるとともに応用・実践能力や問題解決能力を涵養するために設けている科目群である。
本学部には、昼間部である第一部と夜間部である第二部が併設されているが、共通科目・専門科目の種類及び単位数は、第一部及び第二部とも同一である。また、一定の要件に該当する場合は、学生の履修上の便宜を図る観点から、第一部・第二部間において、60単位を限度として所属する部以外の科目を履修することが可能となっている。
本学部の卒業に必要な単位数は124単位以上で、共通科目及び専門科目の中から次表により、学科毎にその必要単位数の配分を定めている。なお、当該表中の「自由選択」は一定の限度内で共通科目、自学科専門科目、他学科専門科目並びに他大学・短期大学等の開設科目の中から自由に履修させるもので、学生の主体的かつ計画的な履修を促すために設けている措置である。
区 分 |
経済学科 |
商学科 |
共 通 科 目 |
英 語 |
8 |
4 |
その他の共通科目 |
20 |
20 |
小 計 |
28 |
24 |
専門科目 |
76 |
84 |
自由選択 |
20 |
16 |
合 計 |
124 |
124 |
卒業に必要な単位数の配分は学科によって若干相違するものの、英語とその他の共通科目が卒業必要単位の20%前後、専門科目が卒業必要単位の60%以上となっている。
上記の卒業に必要な単位を修得させるために、本学部が学則上で開設している科目数は次のとおりである。共通科目は、経済学科・商学科とも、英語10科目、英語以外の外国語40科目、その他の共通科目148科目である。専門科目は、経済学科では、必修科目6科目、選択必修科目6科目、選択科目105科目であり、商学科では、必修科目10科目、選択必修科目・選択科目79科目である。なお、商学科は後述する履修上のモデルとして提示している各コースの選択必修科目と選択科目がコース間で重複するため、両者を区別せずに記載している。
ここで、本学の共通科目について詳述しておく。共通科目のなかに、9つの科目群を設置し、学術分野毎に授業科目の系統的な整備・充実を行い、簡明に広範かつ多様な学習機会を提示し、学生の学習ニーズに多面的に対応し得るよう努めている。設置している科目群と学則上開設している科目数は次のとおりである。人間・文化科目群23科目、社会・生活科目群20科目、自然・環境科目群14科目、国際理解科目群26科目、情報科学科目群8科目、沖縄関係科目群19科目、テーマ科目群7科目、健康・スポーツ科目群31科目、そして、外国語科目群(英語)10科目及び外国語科目群(英語以外の外国語)40科目である。
共通科目の科目群毎に演習を開設し、各科目群が掲げる学習目標をより深く学習したい学生のニーズにも応えることができるよう配慮している。専門科目においては専門演習T・Uの履修が必修となっているが、共通科目群の演習を履修することにより、専攻以外の分野で副専攻を持つことが可能となり、学生が複眼的な広がりを持った学習を行える機会を提供している。共通科目群に演習を開設しているのは、他大学にはない、本学だけの特徴である。
共通科目の開設科目については、履修機会の弾力化を図るとともに効果的な学習を行えるようにするため、半期開講の2単位科目を基本としている。また、授業内容を具体的に示すような科目名称を用いることや副題をつけることにより、授業内容がより明確になるよう努力している。
イ、専門科目
経済学科では、学則別表第Wに示されているように、経済学の学問体系に沿った基本的な科目、並びに、多様化する経済社会や学生の学習ニーズに応えるための科目を開設している。
経済学科の科目の学年別配当状況は次のとおりである。1年次に、基礎演習や情報処理関連の基本知識・技能を習得するための科目を配当し、大学での学習に必要な基本的な知識・技能を習得させ、2年次に、ミクロ経済学、マクロ経済学、経済原論を配当し、経済学の基本的知識を習得させ、3・4年次に、国際経済学、環境経済論、地域経済論、沖縄経済論等の応用科目を配当し、知識の深化と応用能力の涵養が図れるよう配慮している。また、経済情報処理論、システム設計、プログラミング理論という科目を2・3年次に配当することにより、3・4年次に配当されている応用科目群の履修に際して情報関連の知識・技能を学習の場で実践的に活用できるよう配慮している。
経済学科では、将来の進路志望に沿って、学生に主体的かつ自律的に学習の目的意識と計画性を持たせるため、履修モデルとして5つのコースを提示している。コース毎に、開設科目個々について、「必修」、「優先的に履修」、「できるだけ履修」、という3段階で履修の重要度を区分表示し、毎年度発行・配布する『履修ガイド』の中で学生に提示している。経済学科が履修モデルとして提示している5つのコースの概要は次表のとおりである。
コース名称 |
概 要 |
総合経済コース |
経済学の基本的な学習を踏まえ、経済について理論、応用、実際面について幅広く知識を習得させる。企業公務員等への就職希望者、教職免許取得希望者が主な対象。 |
理論経済コース |
経済学の理論について重点的に知識を習得させる。公務員への就職希望者、大学院進学希望者が主な対象。 |
国際経済コース |
貿易理論や為替理論といった国際経済学を中心に知識を習得させる。併せて外国語の習得にも重点を置く。国内企業の国際業務部門、外資系企業への就職希望者が主な対象。 |
地域経済コース |
地域経済論、地域発展論、沖縄経済論を中心として、島嶼経済の特徴を持つ沖縄県の経済と振興策について知識を習得させる。県内企業就職希望者、起業を志す学生が主な対象。 |
情報経済コース |
経済学の基本的知識を元に、経済データの統計的・計量的解析、プログラミング等を中心に知識を習得させる。情報関連企業、企業等の情報関連業務部門への就職希望者、情報教育担当希望者が主な対象。 |
商学科では、学則別表第Xに示されているように、商学の学術領域を、
@)流通過程を主要な研究対象とする流通システムの分野
A)企業の経営諸活動を主要な研究対象とする経営学の分野
B)企業の経営計算制度を主要な研究対象とする会計学の分野
C)企業活動の情報処理ないし技術を主要な研究対象とする情報関係の分野
の4つの学術分野に整理し、それぞれの分野の学問体系に沿った基本的な科目、並びに、変化の目まぐるしい企業環境や多様化する学生の学習ニーズに応えるための科目を開設している。
商学科の科目の学年別配当状況は次のとおりである。1年次に、経済学、商学、経営学、会計学等の基本知識・技能を習得するための科目を配当し、2・3・4年次に、それぞれのコースが育成を目指す人材として必要な知識・技能を習得するための基本科目群及び応用科目群を配当し、知識の深化と応用能力の涵養、そして、実務能力の錬磨が図れるよう配慮している。2・3・4年次に配当している科目については、コース毎に、コースの教育目的に沿って知識・技能を深めるために履修すべき科目(コース科目:実効上の選択必修科目)とコース科目に関わる知識・技能の深化を支援するために履修すべき関連科目とを区分表示して、毎年度発行・配布する『履修ガイド』の中で学生に提示しており、コース科目より24単位以上、また、関連科目及びコース科目より32単位以上履修するよう指導している。
商学科では、上述の4つの学術分野に対応させて、履修モデルとしてのコース制を導入している。商学の実学的側面を学生に充分に認識させ、卒業までの計画的な科目履修を行わせる観点から、2年次の始めに、3・4年次に履修を希望する専門演習T・Uを前提としてコース選択が行なわれるよう指導している。商学科が履修モデルとして提示している4つのコースの概要は次表のとおりである。
コース名称 |
概 要 |
流通システムコース |
流通・サービス業務を専門的職業とするキャリア形成を前提に、基礎理論を修得し、問題解決能力を養成する。 |
経営学コース |
職業的専門家にふさわしい経営学的教養を身につけることができるように、日頃より体系的な知識習得に努める |
会計学コース |
会計専門家として各分野で活躍できるよう基礎的・実践的応用能力の修得を目標とする。今日の会計実務には、コンピュータの利用は不可欠なので、コンピュータ会計などの学習も併せて行う。 |
情報コース |
経営・経済分野における基礎的な情報処理技術・理論及び専門的な応用力の修得を目標とする。 |
なお、1・2年次に配当している、情報リテラシー演習、プログラミング演習及びプログラミング理論の3科目は上述した情報コースの専門選択科目となっているが、2002年度のクラス開講状況は次表のとおりであり、実効上、学科に所属する学生のほぼ全員が受講しており、選択したコースに関係なく、2・3・4年次に配当されている応用科目群の履修に際して情報関連の知識・技能を学習の場で実践的に活用できるよう開講クラス数に配慮している。
部別 |
科 目 名 |
開講クラス数 |
履修者数 |
配当年次 |
一部 |
プログラミング理論 |
2 |
176 |
1 |
情報リテラシー演習 |
6 |
190 |
1 |
プログラミング演習 |
4 |
177 |
2 |
二部 |
プログラミング理論 |
1 |
91 |
1 |
情報リテラシー演習 |
4 |
110 |
1 |
プログラミング演習 |
2 |
70 |
2 |
また、商学科では、全国大学・短期大学実務教育協会認定の「上級情報処理士課程」及び「上級ビジネス実務士課程」を設置している。
以上、本学部の専門科目の編成状況について概説したが、専門科目編成の基本的考え方を端的に表しているという観点から、演習の開設状況について記述しておく。本学部では、「知識や考えをまとめる能力、それを表現する能力」の涵養を主眼として、3学年次にわたって配当される、基礎演習、専門演習T及び専門演習Uの3つの演習を開設しており、全て必修科目となっている。演習の担当教員は全て本学部専任教員であり、履修学生の学生生活全般に関する指導教員となる。2002年度の演習の実施状況は次表のとおりである。
学科名 |
区 分 |
部 別 |
開講クラス数 |
1クラス当たり履修者数 |
配当学年 |
経済学科 |
基礎演習 |
第一部 |
10 |
20.3 |
1 |
第二部 |
7 |
14.9 |
専門演習T |
第一部 |
12 |
19.7 |
3 |
第二部 |
5 |
15.8 |
専門演習U |
第一部 |
9 |
22.1 |
4 |
第二部 |
5 |
20.4 |
商 学 科 |
基礎演習 |
第一部 |
5 |
39.6 |
2 |
第二部 |
5 |
29.8 |
専門演習T |
第一部 |
11 |
17.2 |
3 |
第二部 |
6 |
16.8 |
専門演習U |
第一部 |
11 |
17.5 |
4 |
第二部 |
7 |
14.7 |
基礎演習の配当学年が経済学科と商学科で異なるのは、両学科の基礎演習の教育課程上での位置づけの違いによるもので、経済学科は基本的なレベルでの、読解力、情報の収集・分析能力、表現能力の付与に主眼を置いており、商学科では、3・4年次に履修する専門演習T・Uのための基礎学力を充実させることに主眼を置いている。両学科での1クラス当たり履修者数の違いもこの理由による。
学生は、通常、同一指導教員のもとで専門演習T・Uを履修することになっており、実質的には、2カ年にわたる演習であることから、学生は、専門知識の系統的な深化と個々の研究テーマについて継続的な探求が行える仕組みとなっている。
A カリキュラムにおける高・大の接続
現在のところ、本学部の開設科目の中には、後期中等教育から高等教育へ円滑に移行させることを目的とした科目は設定していない。従って、教育課程としては、共通科目に後期中等教育から高等教育への円滑な移行を委ねている状況である。しかし、共通科目は英語を除き基本的に選択科目であり、また、受験時期には理系学部進学希望でありながら結果的に本学部に入学する学生が存在する等、学生間で入学前に習得した知識の分野や水準にかなりのバラツキがあることは否めない。このため、専門科目を修得させるためには、後期中等教育と高等教育の間のギャップを埋める内容を授業に盛り込むことが極めて重要であることから、その水準は専門科目担当教員個々の判断に委ねているものの、実効上は、基礎演習で、さらには、専門科目の授業内容に、後期中等教育と高等教育の間のギャップを埋めるための内容を盛り込むよう努めている。
B インターンシップ、ボランティア
現在のところ、本学部の開設科目の中には、インターンシップやボランティアに関する科目は設定していない。商学科の一部の専門演習では、担当教員が独自に夏期休業期間を利用して県内企業へ履修学生を派遣しているが、学生から履修の要望があった場合には、インターンシップについては、法学部が開設している「特殊講義」(3年次以上の一定の条件を満たす希望学生対象。平成16年から「インターンシップT・U」と名称変更の予定。2又は4単位)を、また、総合文化学部人間福祉学科が開設しているボランティア論(2単位、1・2・3・4年次配当)及びボランティア演習(2単位、1・2・3・4年次配当)を履修させることによって対応可能である。学生がこれらの科目を履修した場合は、自由選択科目として本学部の単位として認定される。
C 履修科目の区分
本学部の専門科目群には、必修科目、選択必修科目、選択科目という3つ履修区分がある。この中で、選択必修科目は一定数の科目を指定し、その中から一定の単位取得を義務づけるものである。一定の単位を超えて修得した単位は選択科目の単位として卒業必要単位に算入される。どの科目を必修科目、選択必修科目に指定するかという基準に関する基本的な考え方については、「@教育課程」の項で記述しているので、ここではその量的配分について記述する。
各学科の必修科目、選択必修科目、選択科目の配分は次表のとおりである。 |
区 分
|
経 済 学 科 |
卒業必要単位 |
必修科目単位 |
選択必修科目単位 |
選択科目単位 |
共通科目 |
英 語 |
8 |
8 |
0 |
0 |
その他の共通科目 |
20 |
0 |
20 |
0 |
専門科目 |
76 |
18 |
16 |
42 |
自由選択
|
20 |
0 |
0 |
20 |
合 計 |
124 |
26 |
36 |
62 |
割 合 |
100.0% |
21.0% |
29.0% |
50.0% |
区 分
|
商 学 科 |
卒業必要単位 |
必修科目単位 |
選択必修科目単位 |
選択科目単位 |
共通科目 |
英 語 |
4 |
4 |
0 |
0 |
その他の共通科目 |
20 |
0 |
20 |
0 |
専門科目 |
84 |
28 |
24 |
32 |
自由選択
|
16 |
0 |
0 |
16 |
合 計 |
124 |
32 |
44 |
48 |
割 合 |
100.0% |
25.8% |
35.5% |
38.7% |
経済学科と商学科では、選択科目へ配分している単位数が異なる。これは、その学術領域としての性格上、経済学科では専門性を有するジェネラリストの養成が主眼となるのに対し、商学科では総合性を有するスペシャリストの養成が主眼となるため、「@教育課程」の項でも記述したように、履修モデルとしてのコース制に関する学生への履修指導に相違が生じるためである。
D 授業形態と単位の関係
本学部では、1授業時間(90分)を2時間として取扱い、次の授業形態により各々の科目の単位数を定めている。
講義科目には、期別に半期開講する科目と通年開講する科目があり、半期開講する科目の場合は週2時間×15週(30時間)で2単位を認定し、また、通年開講する科目の場合は週2時間×30週(60時間)で4単位を認定している。また、講義科目の中には、通常の半期開講科目に相当する時間数を夏期などに集中的に行って2単位を認定する特別講義科目もある。なお、演習を除き、開講科目は全て半期開講となっている。
演習(基礎演習及び専門演習T・U)は全て通年開講となっており、週2時間×30週(60時間)で4単位を認定している。
ただし、外国語科目は週4時間×15週(60時間)で2単位を、また、実験、実習及び実技等の授業については、週2時間×15週(30時間)で1単位を認定している。
E 単位互換、単位認定等
本学は、現在、県内及び国内の10校の大学・短期大学と単位互換協定を締結しており、また、国外の5校の大学と学術交流協定を締結している。
単位互換協定を結んでいる大学・短期大学で履修した科目、並びに、学術交流協定を締結している海外の大学で履修した科目は、60単位を限度として本学の卒業単位として認定している。本学部における2002年度の単位互換協定及び学術交流協定に基づく単位の認定状況は、基礎データ表4に掲げたとおりである。
また、大学設置基準第29条に基づき大学以外の教育施設等において履修した科目、及び、大学設置基準第30条に基づき本学入学以前に学生が大学・短期大学において履修した科目についても、60単位を限度として本学の卒業単位として認定している。2002年度に、単位互換協定等に基づかず本学部が独自に行った単位の認定状況は、基礎データ表5に掲げたとおりである。
F 開設授業科目における専・兼比率等
共通科目は全学部共通であることから、ここでは、本学部が開設している専門科目について記述する。本学部の専門科目に関わる2002年度の開講クラス(第一部及び第二部を合算)について、専任教員等担当状況を整理すると次表のとおりである。
学科名 |
区 分 |
必修科目 |
選択必修科目 |
選択科目 |
合 計 |
経済学科 |
専任教員 |
56 ( 72.7) |
14 ( 87.5) |
78 ( 57.4) |
148 ( 64.6) |
兼担教員 |
0 ( 0.0) |
0 ( 0.0) |
4 ( 2.9) |
4 ( 2.9) |
兼任教員 |
21 ( 27.3) |
2 ( 12.5) |
54 ( 39.7) |
77 ( 33.6) |
合 計 |
77 (100.0) |
16(100.0) |
136 (100.0) |
229 (100.0) |
商 学 科 |
専任教員 |
61 ( 70.9) |
106 ( 67.1) |
167 ( 68.4) |
兼担教員 |
0( 0.0) |
0( 0.0) |
0( 0.0) |
兼任教員 |
25 ( 29.1) |
52 ( 32.9) |
77 ( 31.6) |
合 計 |
86 (100.0) |
158
(100.0) |
244 (100.0) |
(注) 表中の数値は開講クラス数。ただし、( )内の数値は学科別縦計に対する構成比率(%)。
なお、「兼担教員」は他学部所属の本学専任教員である。 |
必修科目について兼任教員が担当している科目は、経済学科では、情報リテラシー演習、プログラミング演習、外書講読Tであり、商学科では、経済原論T・U、商学概論T・U、経営学総論T・U、簿記原理Tである。必修科目について兼任教員を任用している事情は次のとおりである。
ア、 |
これらの科目は、両学科の学術領域においては基礎的知識若しくは基礎的技能に関わる科目であること |
イ、 |
上記「@教育課程」で記したように本学には第一部と第二部が併設されており、両部とも科目の種類及び単位数については同一であること、さらには、1クラス当たりの履修者数を授業の内容や方法上許容できる上限まで引き下げるために同一科目について複数のクラスを開講していることから、基本的には本学部専任教員がこれらの科目を担当しているものの、同一科目について開講する必要があるクラス数を本学部専任教員だけでは担当することは極めて困難であること |
なお、上記「@教育課程」の項で記したように、演習科目については、すべて本学部専任教員が担当している。
選択必修科目及び選択科目について兼任教員が担当している科目は、経済学科では33科目56クラス、商学科では24科目52クラスである。選択必修科目及び選択科目について兼任教員を任用している事情を整理すると次表のとおりである。
区 分 |
経
済 学 科 |
商
学 科 |
科 目 数 |
クラス数 |
科 目 数 |
クラス数 |
授業の内容や方法上複数クラスの開講が必要 |
5( 15.2) |
9( 16.1) |
4( 16.7) |
20( 38.5) |
他大学教員等による集中講義 |
2( 6.1) |
2( 3.6) |
3( 12.5) |
3( 5.8) |
法 学 関 係 科 目 |
2( 6.1) |
2( 3.6) |
1( 4.1) |
3( 5.8) |
第一部・第二部併設のため |
5( 15.2) |
8( 14.3) |
7( 29.2) |
8( 15.4) |
専任教員担当時間規定に基づく担当時間数制限の為等 |
19( 57.6) |
35( 62.5) |
9( 37.5) |
18( 34.6) |
合 計 |
33(100.0) |
56(100.0) |
24(100.0) |
52(100.0) |
G 社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮
ア、社会人学生・編入学生
本学部には、夜間部である第二部が併設されており、就業等の理由で昼間部である第一部における就学又は科目履修が困難な就学希望者に高等教育を受ける機会を提供している。
上記「@教育課程」の項で記したように、共通科目・専門科目の種類及び単位数は、第一部及び第二部とも同一である。従って、本学部専任教員は、「専任教員担当時間規程」に基づく担当時間の範囲内で、第一部及び第二部の授業を担当している。
また、上記「D授業形態と単位の関係」で記したように、一定の要件に該当する場合は、学生の履修上の便宜を図る観点から、第一部・第二部間において、60単位を限度として所属する部以外の科目を履修(部違い受講)することが可能となっている。部違い受講は、受講しようとする授業科目の担当教員の許可を受ければ可能であり、その要件を列挙すると次のとおりである。
@)卒業年次で当該所属部の開講科目だけでは卒業できないとき
A)時間割の関係で修得すべき授業科目の履修が困難であるとき
B)編入生及び転入生であるため、当該所属部の授業科目の履修が困難であるとき
C)経済的理由から当該所属部の授業科目の履修が困難であるとき
D)勤労学生で勤務条件の変更により、当該所属部の授業科目の履修が困難であるとき
E)特別な事情により、教務部長が認めたとき
本学部では、2年次若しくは3年次への編入学を認めているが、上記「E単位互換、単位認定等」で記したように、本学入学以前に学生が大学・短期大学において履修した科目についても、60単位を限度として本学の卒業単位として認定している。単位認定は本学部教授会が行い、単位認定の基準は、共通科目及び専門科目とも次のとおりである。
@)既修得科目の内容が本学が開設している科目の内容と同一と認められる場合
A)既修得科目の内容が教育上有益と認められる場合
イ、外国人留学生
本学部には、2003年5月現在、経済学科(第一部)に6名及び商学科(第一部)に16名の計22名の留学生が在籍している。
経済的事由により留学生の就学環境が損なわれないようにするため、授業料の半額免除(本学独自の私費外国人留学生授業料減免援助金)を実施しているほか、「嘉数武松外国人留学生奨学金」、「私費外国人留学生学習奨励費」、「(財団法人)平和中島財団外国人留学生奨学金」、「財団法人ロータリー米山記念奨学金」の奨学制度や、私費外国人留学生を対象とした、財団法人日本国際教育協会の授業料減免制度の活用に努めている。
外国人留学生についても日本人学生と同様の教育課程及び履修規程が適用されるが、外国人留学生が日本語で授業を受講する能力を向上させる学習機会を提供するため、外国人留学生を対象に日本語科目を開設している。当該日本語科目に関わる開設科目及び単位数については、学則別表Xに示されている。本学部では、必修科目とはしていないが、留学生が外国人留学生対象日本語科目の中の上級科目を履修した場合には、8単位を限度に卒業必要単位として認定している。
H 生涯学習への対応
第10章第1節で記述する事業や制度に基づく本学部の生涯学習への対応状況は次の諸表のとおりである。
年度
|
メインテーマ
|
担当学部
|
本学部担当部分
|
担当教員数 |
受講者数 |
2000 |
情報革命の時代と地域 |
商経学部 |
6 |
207 |
2001 |
沖縄における教育の課題 |
総合文化学部 |
2 |
74 |
2002 |
自治の挑戦−これからの地域と行政 |
法学部 |
1 |
23 |
(注)表中の「受講者」の欄には学外者の受講者数を掲げている。 |
年度
|
テ ー マ
|
共催団体等
|
本学部担当部分
|
担当教員数 |
受講者数 |
1999 |
マーケティングの考え方 |
浦添市
ハーモニーセンター |
1 |
12 |
2000 |
1. |
環境と経済からみる真の豊かさについて |
2. |
最近の地方財政の動向 |
|
具志川市
教育委員会 |
2 |
32 |
2001 |
1. |
沖縄の地域産業と地域発展 |
2. |
アジア経済と沖縄 |
|
具志川市
教育委員会 |
2 |
45 |
年度
|
テーマ
|
期 間
|
本学部担当部分
|
担当教員数 |
受講者数 |
1999 |
初心者のためのマーケティング入門講座 |
5日間 |
1 |
7 |
2002 |
沖縄振興計画を理解する |
5日間 |
1 |
21 |
年度 |
通年開講科目 |
前期開講科目 |
集中講義科目 |
後期開講科目 |
合 計 |
科目数 |
受講者 |
科目数 |
受講者 |
科目数 |
受講者 |
科目数 |
受講者 |
科目数 |
受講者 |
1998 |
− |
− |
− |
− |
2 |
6 |
− |
− |
2 |
6 |
1999 |
0 |
0 |
3 |
15 |
1 |
3 |
2 |
10 |
6 |
28 |
2000 |
0 |
0 |
2 |
2 |
3 |
6 |
2 |
2 |
7 |
10 |
2001 |
0 |
0 |
2 |
3 |
4 |
8 |
6 |
7 |
19 |
18 |
2002 |
0 |
0 |
4 |
4 |
0 |
0 |
2 |
2 |
6 |
6 |
(注)表中の「受講者」の欄には学外者の受講者数を掲げている。
なお、表は実績ベースで作成しており、学外者による受講があった科目のみを掲げている。 |
(リカレントコース講座)
2000年度に、「情報処理基礎講座」を10回開催した。本学部所属教員2名が担当し、受講者は38名であった。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
科目等履修生 |
16 |
5 |
15 |
3 |
7 |
研 究 生 |
1 |
0 |
1 |
2 |
0 |
合 計 |
17 |
5 |
16 |
2 |
7 |
学内定例講座では、2001年度や2002年度の実績に見るように、他学部が担当する場合であっても、個別テーマに関し本学部教員が講師を担当する場合がある。なお、2000年度に商経学部が担当した際には、本学部専任教員6名のほか、情報分野に関わる教育機関、企業並びに所管行政部門から講師を4名招聘した。
本学部の教員が講師となった学外講座の開講数は、次表のとおりである。実質的には、学外講座を開講するか否かの選択権は共催者である市町村等の団体側にあるため、これら団体の選択行動の結果として、その開講状況は低位に推移している。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
本学部教員が担当した学外講座数 (A) |
0 |
1 |
2 |
2 |
0 |
全学外講座開講数 (B) |
2 |
39 |
19 |
20 |
14 |
(A)/(B) (%) |
0.0 |
2.6 |
10.5 |
10.0 |
0.0 |
生涯学習機会を積極的に提供するためには、共催者側のニーズに極力対応し得るよう、時宜を得た開講テーマを構想する等、本学部は、開講テーマ等に今後一層の創意・工夫を行う必要があることは認識している。しかし、開講テーマに用いられたキーワードに基づいて開講された学外講座を分類してみると、次表のとおり、学外講座開講可能リストの公開先が市町村等の団体であることから、行政が直面する緊急の課題に集中する傾向があることも否めない。
テーマに用いられたキーワード |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
情報公開・個人情報保護 |
0 |
7 |
4 |
11 |
7 |
市町村合併 |
0 |
4 |
1 |
1 |
2 |
地方分権 |
1 |
5 |
1 |
0 |
0 |
小 計 (A) |
1 |
16 |
6 |
12 |
9 |
全学外講座開講数 (B) |
2 |
39 |
19 |
20 |
14 |
(A)/(B) (%) |
50.0 |
41.0 |
31.6 |
60.0 |
64.3 |
本学部の実績ベース(学外からの受講者がいた)で見た公開科目数及び1科目当たりの学外受講者数は、次表のとおりである。実績ベースであるため、学外講座と同様に学外受講者の選択行動の結果として、公開科目数は低位で推移している。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
本学部の公開科目数 (A) |
2 |
6 |
7 |
12 |
6 |
全学部の公開科目数 (B) |
2 |
35 |
58 |
76 |
60 |
(A)/(B) (%) |
100.0 |
17.1 |
12.1 |
11.8 |
10.0 |
1科目当たり学外受講者数(人) |
本学部 |
3 |
4.7 |
1.4 |
1.5 |
1.0 |
全学部 |
3 |
1.7 |
1.1 |
1.3 |
1.3 |
公開科目は、本学の教育課程に基づく正規の授業科目であるため、軽々に科目名称や講義内容を変更することはできず、また、学外受講者の受講動機に関するデータも整備されていない状況である。なお、教育課程別に公開科目数(実績ベース)を整理すると次表のとおりである。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
共 通 科 目 |
2(100.0) |
11( 31.4) |
18( 31.0) |
33( 43.4) |
32( 53.3) |
法学部専門科目 |
− |
1( 2.9) |
4( 6.9) |
2( 2.6) |
1( 1.7) |
商経学部専門科目 |
− |
5( 14.3) |
6( 10.3) |
10( 13.2) |
6( 10.0) |
総合文化学部専門科目 |
− |
18( 51.4) |
30( 51.7) |
31( 40.8) |
21( 35.0) |
合 計 |
2(100.0) |
35(100.0) |
58(100.0) |
76(100.0) |
60(100.0) |
(注) ( )内の数字は、合計に対する構成比率を示す。 |
【点検・評価】
現時点においては、「学部・学科等の教育課程」、「履修科目の区分」、「授業形態と単位の関係」、「単位互換、単位認定等」については、概ね良好である。ただし、第1章第2節第2項で記述したように、本学部は、2004年4月より、経済学部と産業情報学部の2学部に改組されるため、2004年度以降の卒業予定で現在本学部に在学する学生に科目履修上の不利益が生じぬよう、カリキュラム編成や開講クラス数等については従前にも増して十分な配慮を行う必要があると考えている。
本学では、全学部共通の専門科目として9科目群で構成される共通科目を開設しており、カリキュラムにおける高・大の接続を円滑にするという点でも大きな役割を果たしている。しかし、各学部・学科の学術領域に応じて必要とされる知識分野や知識水準に差異があるため、大学における専門教育の効果を高めるためには、各学部・学科の学術領域に整合した基礎学力の向上を図ることも重要である。また、効果的かつ効率的な授業運営を行うためには、学生が本学部入学前に修得した知識の分野や水準を学生間で一定の範囲・水準に平準化することも重要であると考えている。これらの課題は、本学部においても、また、2004年度に改組開設される2つの新学部においても検討・実践すべき課題であると認識している。
本学部は2004年度より2学部に改組され、2004年度以降は本学部としての学生募集を停止することから、現時点で本学部の開設科目の内容変更を行えば、学生の科目履修に混乱が生じることが大いに懸念される。このため、インターンシップやボランティアに関わる学生からの履修要望に対しては、現行どおり、他学部の科目履修をもって本学部の単位に認定する方式を継続することとしている。なお、2004年度に改組開設される2つの新学部においては、学則上の開設科目としてインターンシップに関わる科目を設けることとしている。
本学では、研究、講義の準備、そして、学生に対する指導や相談などの時間を確保する目的で、専任教員の年間担当授業数に「専任教員担当時間規程」に基づき一定の範囲を定めており、学生の多様な学習ニーズに対応するためには、実運用上、兼任教員による授業科目の担当を回避することはできない。また、開講科目の担当教員を全て専任とすることは財政運営上からも困難である。これらの理由から、本学部では、従来どおり、兼任教員の委嘱に際して、本学部の教育理念や教育課程構築の基本的な考え方を充分に認識させるとともに、担当授業科目に関わる講義内容について適宜指導・助言することにより、教育の質の維持・向上に努めたいと考えている。
社会人学生、外国人留学生等に対しては、本学部が現在採用している単位認定制度や履修指導の内容について、改善すべき特段の事由は見出されない。しかし、2004年度に本学部が2学部に改組されることに伴い、夜間部である第二部も学生の募集を停止することから、就業等の理由で昼間部での科目履修が困難な就学希望者に学習の機会を提供するための方途を講じる必要があると考えている。
生涯学習の機会を積極的に提供するため、上述のように、時宜を得た開講テーマを構想する等、本学部は、開講テーマ等に今後一層の創意・工夫を行う必要があることは認識している。
【改善・改革方策】
高・大のカリキュラムの接続を円滑にし、かつ、各学部・学科の学術領域に整合した基礎学力の向上を図るとともに、学生間で入学前に修得した知識分野や知識水準の平準化を図るために、卒業必要単位としては認めないが、専門科目を履修する際の必須前提条件とする講習会若しくは学習会等、いわゆる「リメディアル教育」の機会を、春期休暇期間若しくは夏期休暇期間などを利用して提供することを検討することになっている。しかし、上述のように、本学では専任教員の年間担当授業数に一定の範囲が定められており、また、財政運営上、いたずらに兼任教員に依存することも避ける必要があることから、現状では、その実施に際して、各学部・学科が教育課程の運営に支障を及ぼさない範囲で自助努力することを緒として、状況の推移を見ながら、全学的に抜本的な検討を行うことになっている。
2004年度より本学部第二部が学生の募集を停止することから、就業等の理由により昼間部での履修が困難な就学希望者に就学機会を提供する方途を検討する必要がある。しかし、いたずらに昼間部の開設科目を夜間部に開講する等の便宜的措置を採ると、昼間部学生に科目履修上の不利益が生じることは明らかである。従って、本学部第二部が廃止されるまでの間に、昼間部での科目履修が困難な就学希望者への学習機会の提供方法について、生涯学習としての学習機会の提供という発想も視野に入れて検討したいと考えている。
生涯学習の機会を積極的に提供するため、当面は、本学部の教育課程の範囲内で、時宜を得た開講テーマを構想する等、開講テーマ等に今後一層の創意・工夫を凝らす努力を行うこととしたい。このためには、学外受講者の学習ニーズの詳細な調査を実施する必要があり、本学の公開講座に関するデータの一元管理と各学部・学科への密なるフィードバックが重要である。なお、2004年度に改組開設される2学部においても、本学部と同様の考え方に立って、生涯学習の機会を積極的に提供できるよう努力することとしたい。
(2) 教育方法とその改善
【現 状】
@ 教育効果の測定
本学部では、学生が履修した科目の成績によって教育効果の測定を行っている。成績評価は、学部履修規程に基づき行われており、通常は、定期試験における得点に基づくこととしているが、出席状況を重視するとともに、演習等科目内容や講義方法によっては、担当教員の個別的判断に基づき、研究報告、論文レポート、実技習得水準等を加味して行うことも履修規程上可能となっている。
成績の評価は、優、良、可、不可の4段階をもって表示し、優、良、可の成績には当該科目の単位が認定され、不可は不合格と判定される。成績評価の基準として、定期試験による成績判定基準を事例にとると、100点満点で、80点以上が優、70点以上80点未満が良、60点以上70点未満が可、60点未満が不可と判定される。なお、欠席回数が3分の1を超えると定期試験の受験資格が無くなり、実効上、単位取得が不可能になる。
また、優、良、可、不可を受講者のそれぞれ何パーセントにするかといったいわゆる成績分布に関する教員間の合意はない。また、個々の授業の成績分布も公表していない。
なお、成績評価について疑義や不満のある学生は、成績通知後1週間以内に所定の手続きをとることにより、教員から成績判定の内容、根拠等の説明を受けることができる制度が設けられており、成績評価に関する公平性と透明性が確保されるよう努めている。
A 厳格な成績評価の仕組み
本学では、履修単位数について次のような制約を設けているが、事務的・画一的な処理によって学生が不利益を被らぬよう、学生個々の事情を斟酌するために学科長を中心として各教員が個々の学生への履修指導に対応するとともに、学業専念のための注意喚起を行っている。
ア、 |
学生が無意味で安易な科目履修を行い教育効果が低下することを回避するため、各年次において、1年度に登録できる最高単位数を40単位(免許、資格取得科目、健康スポーツ科目群、集中講義科目、放送大学及び他大学間との単位互換科目を除く)までとしている。ただし、編入生や卒業年次の学生は、許可を得て52単位まで登録することができるとともに、卒業年次を除き、1年度に最低20単位を登録しなければならないこととしている。 |
イ、 |
最終学年次を除き、一学年の修得単位が16単位未満の者は除籍の対象となるが、学科長若しくは演習担当教員が面接し就学の意思が確認された場合は、1年間に限り除籍猶予を行えることとなっている。当該除籍猶予期間内に20単位以上修得できた者の除籍処分は取り消される。 |
なお、本学部では、個々の授業について、その成績評価法や成績評価基準が適切であるかどうかを客観的に判断する制度は設けていない。しかし、学科毎に、該当学科所属教員全員の参加による卒業判定会議を開催して、学生個々が履修した全科目の成績に基づき卒業の合否判定を行っており、学生個々が履修した各科目の成績と、講義や演習を通じて各担当教員が看取した学生個々の能力水準とを公開の場で照らし合わせることが可能な場となっている。従って、卒業判定会議は、各科目に関する教育効果や目標達成度、及び個々の教員による成績判定方法に関して、該当学科所属教員相互による実効上の多重評価の機会となっている。
B 履修指導
本学部では、次のような形態で学生に対する履修指導を行っている。
ア、 |
新入生・在学生オリエンテーション
新年度の初めに新入生及び在学生を対象に『履修ガイド』を発行してオリエンテーションを実施している。学科長を中心に学科専任教員が参加し、各科目に対する履修上の留意点や資格取得の指導、卒業のための受講情報の提供などを行っている。学生は疑問点があればその場で教員から直接、個別に回答を得ることができる機会となっている。 |
イ、 |
アカデミック・アドバイザー制度とオフィスアワー制度
学生一人一人が自分の学習目的に沿って履修できるよう、きめ細かい履修指導を行うために、1998年度から1年次から4年次までの全ての学生を対象に学習指導教員を配置する「アカデミック・アドバイザー制度」を導入し、主に、演習担当教員がアカデミック・アドバイザーに任じている。また、1996年度より、学生に対し、あらゆる相談について直接教員が対応する時間を制度的に確保するため「オフィスアワー制度」を導入しており、各教員が設定したオフィスアワー(1週間あたり4時間)の中で、講義内容等に関する質問等に教員が対応できるようにしている。 |
ウ、 |
留年者に対する配慮
本学では、次学年への進級に必要な最低修得単位数を設けていないことから、留年者は第4学年次において顕在化することになる。このため、上記Aで記したように、他学年では1年度に登録できる最高単位数を40単位までとしているが、卒業年次の学生には、52単位まで登録を許している。
なお、4年間で卒業できなかった学生については、9月卒業の制度により、学生に過大な不利益が生じぬよう配慮している。 |
C 教育改善への組織的な取組み
学生が履修科目を選択するための情報を提供することを目的として、専任教員及び兼任教員全員がシラバスを提出し、学部単位でまとめて『講義概要』に掲載し学生に配布している。シラバスの内容としては、講義内容や使用テキスト、講義計画、参考文献、成績評価の方法、履修上の注意等である。また、当該『履修ガイド』の中には、「教員自己・演習紹介」というセクションを設けており、学生へのメッセージ等を記すことによって、学生の履修科目選択に際して参考となる背景情報を提供している。
現在までのところ、本学部では、教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取組みに付いては未着手である。しかし、演習科目の中には、卒業論文の作成とその発表・公表、学内の他の演習クラスとの研究発表会などを行っている教員もおり、明瞭かつ実践的な方法で演習指導方法の改善などの契機となる場が存在する。ただし、講義科目については授業としての交流は不可能であるため、個別教員間の相談・調整のレベルに留まっている。
学生の学修の活性化を図るためには、学習の目的を主体的かつ明確に意識させることが肝要であるとの考えから、履修指導上のコース制を導入し、学修意欲の向上を図っている。
学生による授業評価も、教育効果の測定には有効である。本学では、教務部が中心となって過去2回大学全体の授業評価を実施したことがある。その結果は、各教員に還元した。しかし、その後授業評価については、大学においても、学部においてもシステムとして確立されていない。しかし教員によっては個人的に学期末のアンケートや各授業の出席表に疑問や質問、感想を書いてもらうという形式の授業評価を行なって、各自授業の改善に努めている。
D 授業形態と授業方法の関係
本学部の授業は、講義と演習・実習とに大別できる。授業形態及び授業方法は、科目の配当学年や学問領域の必要に応じて異なるものであり、その適切性・妥当性を一概に論ずることは困難であるとの認識から、講義や演習については、担当教員個々の判断に基づき、次に掲げるように様々な形態の授業が行われている。
ア、既出版若しくは担当教員が独自に作成したテキストや資料を用いる授業
イ、パワーポイント(P.P)等のプレゼンテーションソフトウェア・ビデオ・OHP等の視聴覚教材を駆使した授業
ウ、休暇を利用した学外での調査や見学を取り込んだ授業
エ、理論の解説と、パソコン等を利用した実践適用学習を並行して行う授業
また、情報処理関係科目等の実習科目では、その授業の性質上1クラスの受講生が40名程度になるように、同一科目に複数のクラスを開講し、双方向型の授業形態を確保するとともに、学生から募った支援要員を活用し教育効果が上がるよう努めている。
本学では、2001年に「1クラス150人未満を原則とする。200人以上については、過去2年200名以上の科目を2クラスに増設開講することができる」との開講科目に関わる取扱要領を定めている。本学部の履修者数別開講クラス数の分布状況についてみる。まず、専門科目に関わる講義・実習科目の次表のとおりであり、300人を超える大規模授業は無く、200人を超えるクラス数も2002年度より減少している。また、100人以下の授業が、一部では全体の約60〜70%台に、また、募集定員が少ないものの二部では80〜90%台を占めている。
学科
区分 |
部別 |
年度 |
50人
以下 |
51
〜100人 |
101
〜150人 |
151
〜200人 |
201
〜250人 |
251
〜300人 |
最大値 |
経
済
学
科 |
一部 |
2000 |
32 |
17 |
19 |
9 |
8 |
3 |
279 |
2001 |
33 |
30 |
14 |
6 |
5 |
5 |
282 |
2002 |
38 |
33 |
17 |
7 |
3 |
1 |
254 |
二部 |
2000 |
44 |
18 |
9 |
3 |
0 |
0 |
158 |
2001 |
45 |
23 |
5 |
1 |
0 |
0 |
168 |
2002 |
53 |
22 |
3 |
2 |
0 |
0 |
177 |
商
学
科 |
一部 |
2000 |
36 |
40 |
29 |
6 |
2 |
1 |
251 |
2001 |
35 |
42 |
28 |
8 |
1 |
0 |
215 |
2002 |
36 |
45 |
24 |
7 |
0 |
0 |
185 |
二部 |
2000 |
37 |
33 |
14 |
2 |
0 |
0 |
171 |
2001 |
45 |
28 |
13 |
3 |
0 |
0 |
170 |
2002 |
40 |
31 |
17 |
0 |
0 |
0 |
142 |
(注)表中の「最大値」の欄は履修者が最も多いクラスの履修者数(単位:人)を示す。 |
次に学部教育の集大成として位置づけている専門演習については、経済学科は1クラス当たり20名程度を、また、商学科は18名程度を目途としてクラスを開講している。
【点検・評価】
本学部では、教育効果の測定を学生の成績に基づき行っている。成績評価の方法は、学部履修規程において基準が定められており、また、シラバスにおいても教員個々がその成績評価の方法を公開しており、かつ、学生による成績評価に関する疑義の申し立てを可能とする制度も具備していることから、現状の教育効果の測定方法は概ね良好である。
また、卒業判定会議により、成績評価方法や成績判定基準について教員相互間での多層的なモニタリングと合意形成が行える機会が確保されていると認識しており、新たに成績評価法や成績評価基準が適切であるかどうかを客観的に判断する制度を導入すべき必然性は見いだせない。
学生の学習目的に沿った履修科目の選定のための助言や、各学年次に義務づけられた履修単位数、卒業に必要な履修単位数、資格取得に関わる履修方法に関する説明など、今後とも、従来からの機会・媒体を用いて、各教員によるきめ細かい履修指導を行っていくことは当然であるが、第1章第2節第2項に記したように、本学部は2004年度から経済学部と産業情報学部の2学部に改組されるため、2004年度以降の卒業予定で現在本学部に在学する学生に科目履修上の混乱が生じぬよう、従前にも増して細心の注意を払う必要があると認識している。
より質の高い教育機会を学生に提供するために、教員が自らの教育指導方法について研究・錬磨し絶えざる改善を志すことは、その職務上の本源的責務であると思慮されるが、教員個々による個別対応では非効率かつ限界があることから、例えば、新たに制定されたファカルティ・ディベロップメント委員会による早急な対応が重要であると考えている。
授業形態及び授業方法は、科目の配当学年や学問領域の必要に応じて異なるものであり、一律の詳細かつ実務的な基準の作成は困難である。また、一旦作成し実行に移すと現実社会の変化に即応して絶えざる見直しを行う必要が生じるため、その負担は軽微なものでは済まない。さらに、ともすれば、授業形態と授業方法が硬直化してしまい履修している学生の学力水準や学習目的から乖離してしまうことも危惧されることから、授業形態と授業方法については、従前通り、履修している学生の学力水準や学習目的を看取し得る立場にある担当教員個々の創意・工夫に委ねる方が、弾力的かつ効果的であると判断している。
1クラス当たりの学生数については、先に掲げた表の如く、一定の改善がなされつつあることから、施設・教員数の制約が緩和されない限り、当面は、現行の開講科目に関わる取扱要領に基づかざるを得ない。
【改善・改革方策】
教育指導方法の改善やFDに関する組織的な取り組みについては、現在、本学でも、規程を制定し検討を始めており、その結論を待って対応を図ることとする。
本学部の入学定員は2学科一部及び二部合わせて520名であるが、第1章第2節第2項に記したように、2004年度から経済学部と産業情報学部の2学部に改組されることに伴い、両学部とも一部のみとなりかつ入学定員も総計460名となることから、1クラスの学生数については、今後、少人数教育に向けてさらなる改善が見込まれる。
(3) 国内外における教育研究交流
【現 状】
単位互換協定及び学術交流協定に基づく本学部の教育研究交流の実施状況は以下のとおりである。なお、単位互換協定や学術交流協定に基づく単位認定の実績等については、本章第2節第1項第6号の「単位互換、単位認定等」で記述しているので、本項では、他大学との協定に基づく本学部の量的交流の状況について記述する。
@ 単位互換協定
年 度 |
札幌学院
大学 |
京都学院
大学 |
桜美林
大学 |
熊本学園
大学 |
合 計 |
摘 要 |
1998 |
- |
- |
- |
- |
- |
札幌学院大学とは1993年に本学法学部が協定を締結し、1998年に本学部が単位互換協定を締結した。 |
1999 |
7 |
- |
- |
- |
7 |
2000 |
3 |
1 |
0 |
- |
4 |
2001 |
3 |
1 |
2 |
- |
6 |
2002 |
4 |
2 |
3 |
0 |
9 |
年 度 |
札幌学院
大学 |
京都学院
大学 |
桜美林
大学 |
熊本学園
大学 |
合 計 |
摘 要 |
1998 |
- |
- |
- |
- |
- |
札幌学院大学とは1993年に本学法学部が協定を締結し、1998年に本学部が単位互換協定を締結した。 |
1999 |
3 |
- |
- |
- |
3 |
2000 |
1 |
2 |
0 |
- |
3 |
2001 |
0 |
0 |
0 |
- |
0 |
2002 |
2 |
0 |
0 |
0 |
2 |
A 学術交流協定
年 度 |
東海大学 |
韓南大学校 |
ヨノック大学 |
アルスター
大学 |
澳門大学 |
合 計 |
1998 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
2 |
1999 |
1 |
0 |
0 |
1 |
0 |
2 |
2000 |
2 |
0 |
1 |
1 |
1 |
5 |
2001 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2002 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
年 度 |
東海大学 |
韓南大学校 |
ヨノック大学 |
アルスター
大学 |
澳門大学 |
合 計 |
1998 |
5 |
未実施 |
6 |
1 |
未実施 |
12 |
1999 |
4 |
1 |
8 |
1 |
1 |
15 |
2000 |
0 |
7 |
3 |
2 |
1 |
13 |
2001 |
6 |
3 |
12 |
2 |
未実施 |
23 |
2002 |
6 |
6 |
未実施 |
2 |
未実施 |
14 |
【特別聴講学生】
澳門大学より、毎年3名の学生を受け入れている。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
学外研究員 |
国内研究員 |
0 |
1 |
2 |
1 |
0 |
海外研究員 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
海外協定校 |
派 遣 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 |
(注)1999年度と2001年度は、1名の教員が1年間学外研究員として派遣された。 |
【点検・評価】
国内の単位互換協定校との学生の交換派遣は教務部教務課が所管し、海外の学術交流協定校との間の学生の派遣及び受入については、1995年に設置された国際交流センターが所管している。派遣及び受入後の学生に対する支援・指導業務の内容の違いから、このように業務分担しているが、国内外における教育研究交流については、その運用上、特段の支障は生じていない。
本学部では、国内外の協定校との派遣・受入制度を、歴史や文化的背景の異なる同世代間での交流を通じて、ともすれば県内にのみ焦点を置きがちな学生の視野を広めるとともに、相互理解と相互刺激を通じて学生が学習意欲を向上させ、若しくは、将来志望の計画的実現化を思考する契機となる機会として認識している。しかし、個々の学生によってその置かれた家庭環境や経済環境が異なるため、派遣制度への参加については、不用意な指導や勧奨を行うことは控えており、実効上、制度活用については学生の自由意志に委ねている。なお、派遣制度における全学生参加者数に対する本学部所属学生の構成比率(%)は次表のとおりであり、年度によって、乱高下しており、一定の方向性は見出せない。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
5カ年平均 |
国内協定校への留学 |
- |
57.8 |
28.6 |
40.0 |
47.4 |
36.1 |
海外協定校への留学 |
16.7 |
16.7 |
41.7 |
0.0 |
7.7 |
16.1 |
海外語学・文化セミナー |
27.9 |
24.6 |
19.7 |
46.0 |
36.8 |
29.8 |
国内外の協定校からの受け入れについては、収容定員管理上の問題を除き、特段の制約は設けていない。また、本学部では、本学部の教育課程は本学への入学者を対象に構築されたものであり、結果として、他大学の学生の学習目的は考慮しておらず、本学部での学習については他大学学生の自主的判断に委ねざるを得ないとの認識から、協定校に対する本学部独自の積極的な受入広報及び活動は行っていない。なお、全学での受入学生数に対する本学部の受入学生の構成比率(%)は次表のとおりである。特別聴講生の構成比率が一定しているのは、毎年度、澳門大学から3名の特別聴講生を受け入れているためである。
区 分 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
5カ年平均 |
国内協定校からの受け入れ |
- |
60.0 |
50.0 |
0.0 |
22.2 |
28.5 |
海外協定校からの特別聴講生 |
27.3 |
27.3 |
25.0 |
25.0 |
27.3 |
25.9 |
教員による国内外との教育研究交流については、本学部の教育課程の運営に支障が生じないことが基本的な必須前提となるが、本学では、学外研究員制度が実効上のサバティカル・リーブの制度として機能するものであることから、教員の教育研究内容のさらなる高度化・活性化を促すためには、1年度の派遣人数枠の拡大が望まれる。
【改善・改革方策】
国内外への留学制度の活用については、個々の学生によってその置かれた家庭環境や経済環境が異なることに配慮して、従来どおり、学生の自由意志に委ねることとしたい。
国内外の協定校からの受け入れについても、本学部の教育課程は本学部に入学する学生対象に構築すべきものであることから、受け入れの促進を前提とした教育課程の変更は考えていない。
専任教員を対象とした学外研究員制度に関わる派遣人員枠の拡大については、当該研究員制度が全学共通のものであることから、本学の財政状況や教育課程の運営状況を踏まえた全学的な検討が必要である。