沖縄国際大学 平成16年度 点検・評価報告書

本   章


第5章 学生の受け入れ

 第1節 大学における学生の受け入れ

 第2節 学部における学生の受け入れ
   (1) 法学部    (2) 商経学部    (3) 総合文化学部

 第3節 大学院における学生の受け入れ
   (1) 地域文化研究科    (2) 地域産業研究科    (3) 法学研究科



第1節 大学における学生の受け入れ
(1) 学生募集方法、入学者選抜方法
―大学・学部の学生募集方法、入学者選抜方法の位置づけ等の適切性―
【現 状】
 本学の入学者選抜方法は、従来からあった一般入学試験・推薦入学試験・特別入学試験・編入学試験に、1999年度入試から実施した大学入試センター試験を利用した入学試験、2001年度入試から実施したアドミッションズオフィス型(AO)入学試験を加えた計6種類の入学試験を行っている。また、一般入学試験・特別入学試験・編入学試験及び大学入試センター試験利用入試は前期日程と後期日程の2回に分けて実施している(商経学部では一般入学試験及び大学入試センター試験利用入試の後期日程は実施していない)。
 各入学試験による各学部・学科への入学者の割合の決定は入試管理委員会で審議決定したうえで各学部教授会を経て大学協議会で審議承認されるという手続きをとっている。

【点検・評価】
 入学者選抜は多様な方法により多様な学生を選抜すること及び志願者の受験機会を拡大するという点においては、ほぼ評価が得られるであろう。しかし、入学後の教育を一貫したものとすること及び高等学校の教育に配慮したものにするという点については、さらに検討する必要がある。

【改善・改革方策】
 入学後の教育との一貫性、高等学校の教育に配慮したもの、多様な選抜方法、多様な学生を受け入れる、という点を考えれば、募集人員の工夫、AO入試と推薦入試の兼ね合い、一般入試とセンター利用入試の合併等、入試制度を改める必要があろう。

@ 一般入学試験
【現 状】
 本学の一般入学試験は前期日程と後期日程の2回に分けて実施する方法をとっている。
前期日程(2月実施)は、主に学力試験を課して、その結果を重視して合否判定している。必須である国語と英語に、選択科目1科目を加えた計3科目である。選択科目は地理・歴史、公民の6科目の中から1科目を選択して解答させている。商経学部はその6科目に数学Tを加え、英米言語文化学科は選択科目に代えて英語リスニングを課している。
 1996年度に高等学校の商業に関する学科の卒業生を対象に実施した専門高校生限定選抜試験は、その後職業教育を主とする全ての学科の卒業生に範囲を広げ、更に総合学科卒業生まで対象を拡大した。また、これは商学科で実施したものだが、2001年度からは経済学科でも実施することになった。
 後期日程(3月実施)は小論文と面接で合否を判定している。
 入試管理委員会を経て各審議体で決定した一般入学試験による各学部の割合は概ね20%である。各学部・学科は学力試験による入学者を受け入れることによって学力の点での活性化を図るべく一般入学試験を実施している。

【点検・評価】
 一般入試(前期日程)の試験科目は、国語、英語に選択科目を課している。本学の入試科目の特徴は、第一に、高等学校の教育課程を重視して、ほぼすべての地理歴史・公民科目を選択できることがあげられる。第二に、各学科の教育内容によって学科毎に選択科目の内容に変化を持たせて柔軟に対応していることがあげられる。商経学部(経済学科・商学科)では、地理歴史・公民科目に数学Tを加え、英米言語学科では地理歴史・公民科目に代えて英語リスニングを課している。このように選択科目を多様化して、学科に応じた学生の選抜を行うように配慮している。一般入学試験による入学者選抜方法は本学に多様な学生を受け入れるため、特に学力を重視する選抜方法である。ただし、選択科目が多いということは、年度にもよるが、科目による平均点に高低の差が生じてしまうことがある。平均点に10点以上の差が生じることもしばしばあるが、点数調整をしたことはない。しかし、このことは、受験生にとっては合格できるかどうか非常に重要なことであるので、入試問題作成者連絡会において、それぞれの選択科目は平均点が50〜60点になるよう問題作成の際配慮することが確認されているが、結果は必ずしもうまくいっていない。今後は、このような問題点を考えつつ、高等学校の教育課程を重視した、公平性のある試験制度の検討が必要となる。また、一般入学試験が学力試験であるため他大学への併願が多く、歩留まり率で苦戦している。このことは入学試験の問題に限ることはできないが、大学としての特徴・特色を明確にしていくことによって改善につながっていくことになる。
 専門高校・総合学科卒業生選抜試験は推薦入試においても制度を設けていることもあり、高い評価を得ている。

【改善・改革方策】
 選択科目は、科目間平均点の格差を是正し、さらに高等学校の教育課程に配慮したものにするには、地理歴史・公民の6科目を全てとりいれた総合科目を導入する方法や、科目間調整していない事が大きな問題となってくるのであれば、一般入試(前期)はセンター利用入試の2次試験に衣替えし小論文を課すのみにする方法等、ベストではないが、ベターな「公平性のある試験制度」の検討が必要であろう。

A 推薦入学試験
【現 状】
 推薦入学は、試験学力だけでは判断できない多様な能力と個性を評価する方法として位置づけることができる。本学の推薦入試は、一般推薦、文化活動推薦、体育推薦、専門高校・総合学科卒業生推薦があり、2000年度入試から第5番目の推薦入学試験として指定校推薦入学が加えられた。
 文化活動推薦では、文化系クラブ活動と文化活動、生徒会活動、ボランティア活動、検定等の4区分で文化活動の分野と基準を定め、それぞれ推薦基準を明確にしている。
 体育推薦は、推薦基準を示した上で、A群とB群に体育推薦種目を分けている。基本的にはA群に指定した16の体育推薦種目について募集しているが、B群に指定した17の体育推薦種目についても若干名募集することとしている。
 専門高校・総合学科卒業生推薦は、一般推薦と同様の判定基準であるが、各学科に応じた多様な能力と個性を発掘するため、合否判定は特に配慮している。
 指定校推薦はこれまでの公募型推薦とは違い、各学部学科が高等学校を指定し、募集枠を設け、指定された高等学校から推薦された者(評定平均値に条件をつけている)に対して、合否判定を行っている。
 推薦入学試験の募集人員は、各学部学科とも総募集人員の50%となっている。
 推薦入学の選抜方法は、高等学校における各科目成績の評定平均値を中心とした書類審査と小論文、それに面接による総合評価で合否を判定している(指定校推薦は面接と書類審査で合否判定)。体育推薦はそれに加えて、大学側クラブ顧問等の面談を実施し、その結果も合否判定の資料としている。
 各学科の課す小論文試験と面接による推薦入学試験は各学科の教育理念に合う学生を選抜できるという利点がある。その点で、推薦入学試験は学力だけによらずに各学科の求める学生が選抜できるということ、入学生もまた学びたい学科の関門に直接に向かっていくことができるという利点がある。

【点検・評価】
 本学の推薦入試は、一般推薦、文化活動推薦、体育推薦、専門高校・総合学科卒業生推薦があり、高等学校の教育への配慮、多様な選抜方法の採用、多様な学生の選抜、志願者の受験機会の拡大に適合していると思われる。
  一般推薦は高等学校の成績評定平均値を合否判定の一部資料として使用しているが、学校間格差を考慮に入れてはいないので、いわゆる進学校にとっては不利になっていることは否めない。しかし、その反面多様な高等学校から入学できる制度になっていることについては評価できる。推薦入学試験に小論文を課しているのは、成績の評定平均値を比較する際に高等学校における学力の学校間格差を勘酌していないため、大学で学修を継続するのに相応しい学力、表現力を有しているかどうかを確認するためである。現在のところ、小論文を課すことによって、志願者の個性や文章表現力、思考力などを判断することが可能であるので、小論文は選抜方法としては有効に機能している。
 体育推薦については、志願者の個性重視の観点から、高等学校の成績評定平均値の基準を一般推薦、専門高校・総合学科卒業生推薦に比べ低く設定し、体育競技歴・成績を重視している。なお、入学後、授業についていけない、あるいは授業を軽視する学生が一部に見られ、問題があると指摘されていたことについて、平成8年に、学長から諮問を受けた体育推薦制度プロジェクトチームが「@大学教育に必要な基礎能力を涵養するため、特別な科目を開設すること、Aそれと併行して必要に応じて特別クラスを編成すること、B共通科目の中に生涯学習関係科目群・社会体育関係科目群を開設し、体育推薦入学による学生の能力と興味に直接応えるようにする。」と、答申している。しかしながら、平成13年にスポーツ特講を1年次対象開設した他は特に動きがない状況である。また、体育推薦は、推薦入学募集人員の中で唯一募集枠が設定され、教授会における合否判定の基礎評価資料作成を体育推薦志願者専門評価委員会が行っているが、教授会では殆ど審議されることはなく基礎評価資料どおりの合否判定結果となっているので、完全に教授会の判断で合否判定できるシステム作りの検討が必要となる。
 文化活動推薦についても、体育推薦と同様、個性重視の観点から高等学校の成績評定平均値の基準を一般入試等に比べ低く設定しているが、こちらはそれほど問題が生じてはいない。そして、小論文を課すことは他の推薦入学試験と同様の有効性をもっている。
 専門高校・総合学科卒業生推薦については、一般推薦と推薦基準及び選抜方法が同一であり、一般推薦との区別が明確ではなく、合格枠が設定されているわけでもないため、独自の選抜理念や枠の設定を考える必要がある。
 指定校推薦については、学科により指定校の選定が異なっている。入学実績を重視した選定、いわゆる中堅校や専門高校を主に選定している学科がある。各学科20〜40校を選定しているが、年度にもよるが志願者を出してこない高校もあり、選定の工夫が求められる。

【改善・改革方策】
 推薦入試において実施している小論文と高等学校成績評定平均値の判定における割合や選抜方法、選抜理念について検討する必要がある。
 指定校推薦でありながら面接試験で充分に答えられない受験生がいることについては高等学校と連絡を密にしながら改善を図っている。
 AO入試には体育推薦・文化活動推薦に類する志願者が大半を占めている状況がある。現行の体育推薦は大学側クラブ顧問の意向が大きく影響しているので、そのシステムを改め、あるべき姿である教授会の判断で合否判定できるようにしていくために、AO入試に組み込むことを検討する必要がある。

B アドミッションズオフィス(AO)型入学試験
【現 状】
 AO入学試験は、2001年度入学試験から始めた。従来の入試とは異なり、学業成績は考慮に入れず、受験生の自己アピール力を見る人物重視の入試である。
 大学全体及び学科別のアドミッションポリシー(募集理念)を入試要項に表記し、それに基づいた学生を求めるために書類審査と面談により、受験生と受験生の潜在的かつ将来的な可能性を総合的に評価した上で合否の判定を行っている。
 なお、AO入試は各学科とも20%ということで機関決定されている。

【点検・評価】
 AO入試は、志願理由書や自己紹介書等の書類審査と面談により、合否判定をおこなっている。各学科はアドミッションポリシー(募集理念)によって面談に時間をとって学生を選抜している。
 AO入試で入学した学生が、演習等でリーダーシップをとりクラスをまとめ、牽引していく姿を見るとAO入試を導入したことは大きな意味があった。ただし、本当に大学で学びたいと考える学生を選抜する方式になっているかは不明確なため、その部分は検討の必要がある。
  また、本学のAO入試では学業成績は判定材料としないことを謳っているが、調査書を出願書類に入れていることが一部の受験生に疑念を抱かせていることは、検討の余地がある。
  また、AO入試の第一次審査(書類審査)時に入学検定料を徴収しないことで、第一次審査を軽く考え、ぞんざいに書いたと思える書類を提出する受験生が少なからずいることも検討の余地がある。
 AO入試の受験生のなかに文化活動優秀者とスポーツ活動優秀者がいて、推薦入学試験における文化活動領域とスポーツ活動領域との区別がなくなっている。入試制度の問題として早い時期に検討する必要がある。

【改善・改革方策】
 本学のAO入試は、学業成績は合否の判断材料とはしていない。それにもかかわらず調査書を出願書類の一つとしていることは、受験生に不信感を与えるものである。何らかの工夫が必要となる。また、自己アピールの強い者を選抜することに重点がいきすぎ、本来の目的である、本当に大学で学びたいと考える学生を選抜出来ているのかどうか、検討を要する。
 AO入試の第一次審査(書類審査)時に入学検定料を徴収しないことで、第一次審査を軽く考え、ぞんざいに書いたと思える書類を提出する受験生が少なからずいることについては、第一次審査時から入学検定料を徴収し、第一次審査からAO入試は始まるという意識づけをねらうために、2003年度入試からは、第一次審査時に入学検定料を徴収する。

C 大学入試センター試験利用入学試験
【現 状】
 大学入試センター試験利用入学試験は、多様な受験生を受け入れること及び、多様な選抜方法を行うことを理由に1998年度入試から導入・実施した。大学入試センター試験によるメリットは受験生の居住地で受験できる利点もあるが、志願者減が続く本学において志願者確保の面では導入は大きな意味があった。
 現在では前期と後期の2回募集を行い、ここ2〜3年の平均では、前期日程約410名、後期日程約55名となっている。

【点検・評価】
 合格者に対する入学者、いわゆる歩留率は前期日程約30%、後期日程約60%となっている。これはAO入試、推薦入試、一般入試に比べ低い数値ではあるが、他大学が一桁台で喘いでいる状況を考えると健闘しているといえる。

【改善・改革方策】
 歩留率の向上を目指すのなら、特待奨学生入試等、センター利用入試で入学することの利点を強調した制度へ改めることを検討する必要がある。
 又は、多様な学生に対応する、あるいは多様な選抜方法を設けることに対応した時代から全入時代に対応すべく、一般入試と合併した入試に変更し、入試全体のスリム化を図ることも検討に値する。

D 特別入学試験
【現 状】
 特別入学試験には、社会人特別入学・帰国生特別入学・外国人留学生特別入学の3種類がある。
 社会人特別入学は、22歳以上の者を対象に、働きながら学ぶ、又は生涯学習社会に対応すべく、学習意欲に燃える者を積極的に受け入れることを目的としている。社会人特別入学の募集人員は、各学科とも学則定員の5%以内で、小論文、面接及び書類審査(総合文化学部では小論文は課していない)によって総合的に判断し合否を判定している。
 帰国生特別入学は、海外で初等中等教育を受けた日本人子女を対象としており、彼らの貴重な異文化体験が国際化を教育理念の一つとする本学にユニークな貢献をするものと期待できる。また、沖縄県は移民県であり、かつてハワイや南米に多くの人が移民した。その子女たち、特に南米移民者の子女たちが、南米の経済危機もあろうが、ルーツとなる沖縄で高等教育を受けるケースが多く見受けられる。これらの状況を判断して、各学科とも若干名の募集枠ではあるが、日本国籍を有す帰国生には、日本語能力試験、面接及び書類審査によって総合的に合否を判定している。
 外国人留学生特別入学は、従来、本学の日本語能力試験と面接による総合判断で合否を判定してきたが、2003年度入試から本学の日本語能力試験に代えて(財)日本国際教育協会が主催する日本留学試験を利用した入試を導入・実施する。この日本留学試験では、「日本語」「理科」「総合科目」「数学」の4科目が出題されるが、本学では「日本語」の成績をもとに選考する。募集枠は、商経学部第一部の経済学科・商学科と総合文化学部日本文化学科で各4名、その他の学科は若干名となっているが、どの学科も定員を満たしきれていない現状がある。これは、本学だけでの現象ではなく、全国的に留学生の数が減少している現象であり、各大学とも留学生の確保に苦労している現状がある。

【点検・評価】
 社会人特別入試は、社会人に門戸を開くために、全学部学科で実施している。小論文、面接及び書類審査を課しているが、社会人の志願者にとって受験がとくに負担になるわけではない。ただし、未だに本学の教育理念・目的に社会人教育が明確化されていないこともあって、学生募集の段階で社会人に対する広報が十分行われているわけではない。生涯学習が社会に普及した今、社会人教育の重要性の一端に応えているとは思われるが、広報活動の展開が不十分であることが問題点としてあげられる。
 外国人留学生特別入試についても、本学の教育理念の中に外国人留学生に対する教育をどのように位置づけるかの検討が十分なされているとはいえず、また、積極的な募集活動もなされることのないまま受け入れてきた。外国人留学生が、日本の経済不況や日本の大学における留学生受け入れ条件の低さ等の理由で本学のみならず日本への留学に興味を示さなくなっている現在、この点を明確にする必要がある。

【改善・改革方策】
 本学の教育理念に社会人及び外国人留学生の教育に関することが明確化されていない。そのため、社会人及び外国人留学生に対する募集が形式的になり、積極的な募集活動ができない状況にある。それに加え、社会人入試においては、地域の社会人も社会人が大学で学習する意味について十分把握できていない。
 大学全体及び各学部学科で教育理念に社会人及び外国人留学生教育をどのように位置づけるのか、検討が必要である。
 また、外国人留学生については、定員の確保が文部科学省からも指摘されているので、学生寮、特に留学生用の寮の確保、奨学金の充実、アルバイト等のサポート体制の確立等早めの措置が必要である。

E 編入学試験
【現 状】
 編入学試験には、一般編入学と社会人編入学の2種類があり、前期日程と後期日程に分離して学生募集を行っている。編入の定員は3年次に設定しているが、人間福祉学科社会福祉専攻の夜間主コースで2年次編入定員2名設定している。一般編入学には公募制の他に、編入指定校制度も行っている。2002年度入試では、13の短大を指定校としていて、合計54名の枠を設けた。
 2002年度編入学試験の志願者は126名で、過去5年の平均は119名となっている。法学部第一部法学科、商経学部第二部及び総合文化学部日本文化学科では定員割れが生じていて、文部科学省からの指摘事項となっている。特に商経学部第二部は定員割れが恒常化している。

【点検・評価】
 全体的には概ね適正であると考えられる。しかし、法学部第一部法学科、商経学部第二部及び総合文化学部日本文化学科では定員割れを生じていて、文部科学省からの指摘事項となっているので、広報活動を強化する必要がある。

【改善・改革方策】
 定員割れを起こしている学科、または志願者の少ない学科については指定校の拡大や今以上に積極的な募集活動を行わなければならない。
 なお、商経学部第二部は定員割れが恒常化しているが、それは第二部への需要がないためで、現在検討中の商経学部改革案で第二部の廃止が盛り込まれる予定なので、解消されることが期待される。


(2) 入学者受け入れ方針等
―入学者受け入れ方針と大学・学部の理念・目的・教育目標との関係―
 各学部学科は理念に基づきカリキュラムを設定している。しかし、それが選抜方法や入試科目とどのような関係にあるかといえば、まずAO入試では大学や各学科のアドミッションポリシーにそって学生を受け入れている。推薦入試・特別入試・一般入試・センター利用入試では各学科のカリキュラムに応じて課題を提出している。

【現 状】
 本学の設立趣旨は、「沖縄における私立大学」としてその独自性を主張し、沖縄の歴史の中で、地域住民と社会が求めてきた真の自由と自治の精神を追求し、県民の大学として支持を得ながら、「地域に根ざし世界に開かれた」教育研究を目指すことにある。「沖縄における私立大学」という性格は、四方を海に囲まれ本土から遠く隔絶しているという地理的条件のほかに、沖縄固有の歴史、文化、社会を背景としたこの地域の数少ない高等教育機関であることを前提としている。このような環境を背景として、本学の特徴は、沖縄の社会や文化を対象にした研究教育を行う教員が多いという事のほかに、本学志願者の約94%が沖縄県にある高等学校出身者で占められている事があげられる。
 したがって、学生募集の広報活動、入試日程、選抜方法、入試説明会、学外試験場の設定等について、県内高等学校と密に連絡をとり、それに対して多くの配慮を行っている。

【点検・評価】
 「沖縄における私立大学」という本学の性格により、地域に根ざした教育を行うことを重視し、地域の子女に対する高等教育を担うという方針で入学者選抜を行っている。本学では、この方針に基づいて、地域の高等学校と密に連絡をとり、入試の改善に努め、かつ宮古・石垣・久米島に学外試験場を設置して、学生募集を行っていることは地域の評価を得ている。

【改善・改革方策】
 本学は、沖縄県内にある高等学校を訪問しての大学説明会や沖縄県高等学校校長会(進路指導部会委員)と本学(学長・学部長・事務系部長)間での懇談会を行っている。
 しかし、18歳人口の減少や経済不況等に起因していると思われる志願者減少をくい止めるため、何度でも高等学校へ訪問し、また、訪問地域を拡大して、積極的に募集活動を行うのは当然のこと、入試に限らずあらゆることで高等学校や地域と連携を保つことが重要となる。そのため、従来実施している九州地区においての合同説明会に加え、奄美地区においての高等学校訪問も2001年度から開始した。また、同年から「高大連携」のひとつとして本学教員が高等学校へ訪問し高校生に対して講義を行うという「出前講座」も実施した。
 今後は志願者確保についての調査研究を行うことはもちろんのこと、全ての入試においてアドミッションポリシーを明確にし、本学が求める学生を選抜する方策を検討していかなければならないであろう。

―入学者受け入れ方針と入学者選抜方法、カリキュラムとの関係―
【現 状】
 本学は一般入学試験、推薦入学試験、アドミッションズオフィス(AO)型入学試験、大学入試センター試験、特別入学試験で入学者を選抜している。沖縄における県民の私大学として本学は次のような目的をもって入学者を受け入れている。「沖縄国際大学は、学問研究の基本理念に基づき、広く社会に教育の場を提供し、人間性の涵養と科学的知識の啓発につとめ、理性的教養と歴史の進展に深い洞察力を保持する人材を育成することをその目的とする。」(学則第1条)各学部・学科はその目的を実現すべくカリキュラムを組んでいる。一般入学試験では全学部・学科のカリキュラムに適応できる学力試験を課するものである。各学部・学科は一般入学試験、大学入試センター試験では学力によってそれぞれのカリキュラムに適応できると思われる受験生から入学生を選抜している。推薦入学試験においては直接に各学科のカリキュラムに適応する学生を高等学校から提出される書類と学科が課す小論文と面接によって選抜している。アドミッションズオフィス(AO)型入学試験では各学科のカリキュラムに基づいたアドミッションポリシー(募集理念)にしたがって相当な時間をかけた面談と本学が要求する書類によって学生を選抜している。
 こうして、学力、小論文、面接(面談)等によって多様な学生を受け入れている。

【点検・評価】
  アドミッションズオフィス(AO)型入学試験では各学部・学科のアドミッションポリシーがあり、推薦入学試験では各学科が課す小論文によって入学者が選抜されているということは入学者の受け入れ方針としては適切であるといえるであろう。大学入試センター試験、一般入学試験(前期・後期)においては各学部・学科に希望する受験生に対して一律に学力をテストものである。その学力が各学部・学科のカリキュラムに適応すると思われるかどうかで入学者を選抜している。こうして受け入れた多様な学生が入学することによって学生が相互に切磋琢磨して、勉学に励み、学生同士がよい意味での刺激を与え合って学んでいるということができると思われる。

【改善・改革方策】
 アドミッションオフィス(AO)型入学試験では自己アピールの強い受験生が選抜される傾向にあるが、このことは本来の目的である当該学科で学びたいと考えている受験生を選抜するということを考えれば、自己アピール以外のことで何を自己推薦できるかということについても一考の余地があると思われる。AO入学試験に一次審査(書類審査)と二次審査(面談)を設けているが、それも適切であるかどうかの検討が必要であろう。推薦入学試験については本学が実施している小論文と高等学校の評定平均値との判定における割合及び選抜理念について検討する必要があろう。大学入試センター試験については歩留まり率の向上を目指す努力が必要であり、そのために大学入試センター試験で入学することの利点を強調した制度へと改めるための検討がなされねばならない。一般入試における選択科目における科目間の平均点のばらつきを是正する必要がある。

(3) 入学者選抜の仕組み
―入学者選抜試験実施体制の適切性―
【現 状】
 入学者選抜実施体制の適切性については、入試管理委員会(学長が委員長)が入学試験を実施していて、特に問題は生じていない。毎年、入学者選抜試験実施に向けて必要な事項について審議したうえで各学部教授会に上程して決定されている。各学部教授会で審議決定されたあと、大学協議会でも審議決定して、入学選抜試験を実施している。複数による機関決定を経て入学者選抜試験を実施している。

【点検・評価】
 入学者選抜試験実施に際しては全学的なコンセンサスを得て実施する体制をとっているということは大きな意味をもつものであるといえよう。というのは、入学者選抜試験実施に関する委員会である「入学試験管理委員会」において入学試験に関するすべてのことを審議し、この委員会を通して全学部で承認され、そのうえで入学試験を実施するという体制をとっているからである。

【改善・改革方策】
 「入学試験管理委員会」のもとで合意を得て入学者選抜試験を実施しているとはいえ、この委員会がすべての入学者選抜試験に対して最終的なチェックをしていないということについては検討の必要があると思われる。入学試験実施についてはフィードバックできる体制をとり現状を絶えず検討する仕組みを考えていく必要がある。さらに本学在学生による出身高校との連携を実施体制のなかに取り入れることが考えられる。本学在学生が出身高校に出向き高校生に直接本学の状況について語ってもらうという方法である。また、高校現場に当該高校の時間の許す限り訪問する体制をとって事務職員を送り出すことをも入学選抜試験実施体制のなかに組み入れることを検討することが求められている。

―入学者選抜の透明性―
【現 状】
 受験生や父母等に対していろいろな情報を開示して透明性を高めているところである。学内では学部・学科におけるAO型入学試験においては各学科のアドミッションポリシーのもとに実施し、推薦入学試験、社会人特別入学試験における選抜においては各学部・学科の基準を設けて試験を実施し、帰国生特別入学試験においては各学部・学科の教育にふさわしい学生を選抜している。一般入学試験の選択科目においては科目間に差がでないように全学的に調整すべく努力している。こうして、学内においては入学試験実施の際に齟齬がないような方法をとっているところである。

【点検・評価】
 受験生や父母等に対する必要な情報開示については今のところ問題がなく適切であると思われる。学内においてはAO入学試験等における面談や面接等、一般入学試験における選択科目の格差については問題となるところは今のところないといえる。学内においても入学試験における透明性は保たれているといえると思われる。

【改善・改革方策】
 現状、点検評価の項で述べたとおりであるが、基準の透明性については、入学試験制度の改革を検討中であり、選抜基準の入学試験要項に記載することや各受験者の要望に基づき得点等を開示することを考えている。

(4) 入学者選抜方法の検証
―各年の入試問題を検証する仕組みの導入状況―
【現 状】
 毎年「問題作成者連絡会」において相互チェック体制をとっている。「問題作成者連絡会」においては年度ごとに「入学試験問題作成関係確認事項」のもとに入学者選抜方法を検証している。特に、選択科目について受験生に不利益がないように「選択科目の難易度について」細かいところまで調整してバラツキがないようにしている。

【点検・評価】
 毎年の入試問題を検証するためにもある「問題作成者連絡会」は一定の役割を果たしていると思われる。全学的な入学試験に備えて入学試験問題を作成する全教員によるこのような「連絡会」がなければ相互チェック体制がとれないからである。問題作成をする全教員は各年度の入学試験問題作成関係を確認した上で入学試験問題を作成することになっている。この「連絡会」が各年の入試問題を検証できていることは適切であるということができる。

【改善・改革方策】
 「問題作成者連絡会」が一定の役割を果たしているといえるであろうが、入学試験問題をさらにきめ細かくするために、入学試験問題のよりよい作成を検証する委員会を発足させることの検討が必要である。「問題作成者連絡会」をそのまま残して、それに加えて上部組織をつくり、この委員会で入試問題を検討し、「問題作成者連絡会」は作業部会として位置づけることを構想している。

(5) 定員管理
―学生収容定員と在学学生数の比率の適切性−
【現 状】
 入学者は入学定員の1.2倍を努力目標として掲げてきたのであるが、法学部法律学科が1.24倍で超過、地域行政学科が1.26倍で超過、両学科を平均して1.25倍である。法学部第二部法学科が1.06倍で1.20倍に対して0.14の減少。商経学部第一部経済学科が1.26倍で超過、商学科が1.24倍で超過、平均して1.25倍で超過、商経学部を平均すると1.25倍で超過、商経学部第二部経済学科が0.92倍で0.28の減少、商学科が0.98倍で0.22の減少、両学科を平均すると0.95倍で0.25の減少である。総合文化学部日本文化学科は1.21倍、英米言語学科は1.27倍、社会文化学科(昼間主コース)が1.22倍でいずれも超過、同(夜間主コース)0.94倍で0.26の減少、人間福祉学科社会福祉専攻昼間主コース1.26倍で超過、同夜間主コース1.06倍で0.14の減少、人間福祉学科心理カウンセリング専攻が1.27倍で超過していて学部全体としては1.23倍である。

【点検・評価】
 定員管理についても「入試管理委員会」で全学的に調整しているために入学定員超過率は各学科ともに大きな開きはない。さらに教授会、大学協議会を経て全学的な調整を図っている。その意義は大きいと思われる。

【改善・改革方策】
 私学の経営上の問題があるとはいえ定員1.20の倍率は守る努力をしている。法学部第二部法学科は平成13年度より募集停止をしている。また、商経学部第二部経済学科及び商学科は平成16年度より募集停止の予定である。各年度ともに各学部・学科の歩留まり率がよく、また在籍学生総数の移動数が大きくなかったために在籍学生総数に占める収容定員の倍率が高くなった。今後の入学倍率を低く抑えて1.20に近づける努力をしている。

―定員超過の著しい学部・学科とにおける定員適正化に向けた努力の状況―
【現 状】
 平均して1.20を超えている学科は法律学科が 0.04、地域行政学科が 0.06 、第一部経済学科が0.06、商学科が0.06、日本文化学科が0.01、英米言語文化学科が0.07で、社会文化学科(昼間主コース)が0.02、人間福祉学科社会福祉専攻昼間主コースが0.06、人間福祉学科心理カウンセリング専攻が0.07の超過である。超過率の高い学科は英米言語文化学科と人間福祉学科心理カウンセリングの二学科でいずれも1.20を0.07超過している。

【点検・評価】
 「入試管理委員会」で審議した結果、超過率が一番大きいもので0.07になっているということは委員会が一定の役割を果たしているといえると思われる。確かに、見込み違いであることは否めないことではあるが、歩留率がよく、見込み違いの結果ではある。しかしながら、「入試管理委員会」の審議がなければ学科によるバラツキがもっと大きいことがあったろうということを考えてみれば、この委員会の役割は大きい。

【改善・改革方策】
 「入試管理委員会」の役割をさらに徹底して1.20の努力目標を実施していく努力の必要がある。年度によって歩留率の変化があるとはいえ、今後、綿密な計画のもとに定員の適正化を図る必要がある。さしあたりは合格者の倍率を抑える必要がある。また、在籍学生の移動等の問題をも十分に考慮して、入学者と在籍学生との整合性をもつように図る。

―定員充足率の確認の上に立った組織改組、定員変更の可能性を検証する仕組みの導入状況―
【現 状】
 現在のところ「入試管理委員会」が定員充足率の確認をも行っている。教授会を経て、「大学協議会」においても定員充足率の確認をしている。大学法人側との調整に遅れを生じることがあるが、然るべき会議体等においてはその機能を充分に果たしている。

【点検・評価】
 二つの「委員会」や教授会を経て充足率の確認をしているということはチェック体制が整っているといえるであろう。こうした意味で委員会の機能は果たされているということで一応の評価ができるといえるであろう。

【改善・改革方策】
 私立大学であるために経営基盤のことも考慮にしなければならないことがあって、入学定員とその充足率について齟齬が生じている。しかしながら、定員充足率を守るということはいうまでもないことである。ところで、現在のところ、「入試管理委員会」が定員充足率の確認をも行っているが、定員変更の可能性を検証する仕組みを導入しなければならないだろう。そのためには、各学部・学科で委員会を組織して「入試管理委員会」に上程するという方式をとることが必要である。

(6) 編入学生・退学生
―退学者の状況と退学理由の把握状況―
【現 状】
 退学者は平成12年度に全学生の185名であり、平成13年度が全学生の206名、平成14年度が全学生の183名である。退学の理由として一番大きいものは経済的理由による学費未納による除籍である。昨今、不況によるリストラ等による父母の解雇のためにやむなく退学せざるをえなくなったということがある。また、留学等による退学、16単位未満による除籍があり、さらに、進路変更による退学である。

【点検・評価】
 退学者は数字のうえではそれほど大きなものではない。留学による退学を除いてはやむを得ないことと思われる。しかし、16単位未満による除籍者が退学者の約2.5割から3割存在するということに対して工夫しなければならないが、全学生比としては高くはないといえると思われる。本学の教育が学生に認められていると考えることができるであろう。

【改善・改革方策】
 経済的理由による退学者を出さないために奨学資金制度をさらに充実させる必要がある。また、退学せずに外国留学ができる制度を考えることが必要である。また、FD等によって学生の満足度を増加させ、16単位未満による除籍者の減少を図る。



第2節 学部における学生の受け入れ

(1) 法学部
@ 学生募集方法、入学者選抜方法
【現 状】
 法学部の入学者選抜においては、建学の精神や学部の理念を生かし、地域の活性化や自由で公正な社会の実現に貢献できるような人材の確保に努めている。なぜなら、優秀な人材の獲得は、学部卒業生の質を確保する上で、大切だからである。そのために、本学部は、学力だけでなく、多様な素質・能力を適切に評価し、出身地域や履修履歴・経験の異なるさまざまな個性ある学生が入学できる機会を、以下のような多くの種類の入学試験を通じて、提供している。
(a) 一般入学試験
 一般入試は、前期日程(2月)と後期日程(3月)の二回行われている。前期日程の一般入試は、「国語」、「外国語」、「地歴・公民」の合計3科目(各100点満点)の試験により、合否の判定をしている。国語と英語が必須科目で、「地歴・公民」分野からは、「世界史B」、「日本史B」、「地理B」、「現代社会」、「倫理」、「政治・経済」の6科目のうち1科目を選択することになっている。法律学科と地域行政学科の受験生は、前期日程の場合、受験日が異なるので、法学部を二回受験することができる。
 後期日程の一般入試は、小論文、面接、書類審査により、総合的に合否を判定している。法学部では、後期日程の一般入試において、同一学部内での第2志望を認めている。
(b) 大学入試センター試験利用入学試験
 大学入試センター試験利用入学試験は、前期日程(2月)と後期日程(3月)の二回行われている。大学独自の個別試験は課さず、大学入試センター試験の国語・英語・選択科目の3科目の成績により、合否の判定をしている。
(c) 一般推薦入学試験
 高等学校における学業成績が推薦成績基準(3.9)を満たし、前年度卒業または志願年度3月卒業見込みの者かつ学業成績が優秀で人物優良な者であって、志願者の出身学校長が推薦した者について、小論文、面接及び書類審査により、総合的に合否を判定している。
(d) 文化活動推薦入学試験 
 高等学校における学業成績が推薦成績基準(3.1)を満たし、前年度卒業または志願年度3月卒業見込みの者かつ学業成績と文化活動が優秀で人物優良な者であって、志願者の出身学校長が推薦した者について、小論文、面接及び書類審査により、総合的に合否を判定している。
(e) 専門高校・総合学科卒業生推薦入学試験
 高等学校における学業成績が推薦成績基準(3.9)を満たし、前年度卒業または志願年度3月卒業見込みの者かつ学業成績が優秀で人物優良な者であって、志願者の出身学校長が推薦した専門高校または総合学科卒業生(卒業見込みの者を含む)について、小論文、面接及び書類審査により、総合的に合否を判定している。
(f) 体育推薦入学試験
 高等学校における学業成績が推薦成績基準(3.1)を満たし、前年度卒業または志願年度3月卒業見込みの者かつ推薦基準〔@国際大会出場選手、A国民体育大会出場選手、B全国高等学校総合体育大会(インター・ハイ)出場選手、C上記以外の県外大会出場選手、D県内大会上位入賞者(ただし、チーム種目においては個人技能優秀な者)、Eその他上記基準と同等以上の実力を有する者〕の一に該当し、志願者の出身学校長が推薦した者について、小論文、面接、大学側クラブ顧問等面談及び書類審査により、総合的に合否を判定している。
(g) 指定校推薦入学試験
 (a)〜(f)の公募型入試と異なり、本学の各学部学科が指定する高等学校の学校長が推薦した者について、指定校との信頼関係の下に、面接及び書類審査により、法学部での勉学に対する意欲と能力の有無を総合的に判断し合否を判定している。推薦成績基準、出願書類等の詳細については、本学入試課が各学校長宛に通知している。
(h) アドミッションズオフィス型入学試験(AO入試)
 2001年度入学試験より、法学部は、筆記試験のみでは判定し難い受験生の諸能力の評価をカバーするため、教員が受験生と面談し、相互の意見交換・理解を重ねながら、合否を決定するAO入試を導入した。
 法律学科は、ものごとを、法を通して総合的に見る力、社会現象を法的に把握する能力(リーガル・マインド)を身につけた人材を社会に送り出すことを教育の目的としている。このことから、法律学科は、学科の募集理念(アドミッションポリシー)として、@高い志を有し、A社会の動きに目を向け、問題意識をもって考え、調査する能力、Bものごとを論理的に考える能力、C正義感、忍耐力を有し、D自らの考えを適切に表現できる志願者を求めている。
 他方、地域行政学科は、行政・民間部門において法に関わる政策を立案、調整、決定、実行、評価できる実務型人材、より深い見識と広い視野を身に付け、地域社会の発展に貢献できるような人材の育成を教育の目的としている。このことから、地域行政学科は、学科の募集理念(アドミッションポリシー)として、@高い志を有し、A地域や社会の動きに目を向け、B行動力を有する情熱ある志願者を求めている。

【点検・評価】
 法学部の学生の受け入れについては、一般入試の志願者数が若干減ってきてはいるものの、沖縄県内の他の私立大学のそれとを比較した場合には、まだ健全な水準を維持しているものと判断できる。このように法学部の志願者数にあまり極端な変化がみられないのは、30数年来の伝統と県内の各界に多数の人材を輩出した実績、また法学部の学生が多年にわたり公務員志望の傾向が強いことも大きく影響していると思われる。
 法律学科と地域行政学科における学生の受け入れにつき、指定校推薦及び公募推薦入試による入学者が、全入学者数のうち約半数を占めている事実は、少子化による入学者数の減少を予測した定員確保のための地道な努力が、着実に実を結んでいるものと評価しうるであろう。
 推薦入試については、法学科の学科主任がかつて合格者の入学後の成績を追跡調査したことがあり、その結果良い成績を4年次まで概ね維持している実態が判明している。学力評価のみで合格した一般試験入学者が稀に大学生活に不適応を起こすケースがあることを考えると、面接や小論文さらに出身高校長の推薦がある指定校推薦制度は、今後も優秀な学生確保の一つの方策として推進・維持する必要があろう。

【改善・改革方策】
 法学部に入学しながら、早期に退学する学生がなかにはいるが、このような事態の発生をできるだけ阻止するため、まず、オリエンテーションにおいて具体的な進路指導や履修指導に力を入れ、授業を担当する教員の教育能力を一層向上させなければならない。毎年、学生から、その担当する授業につき強い不満の声があがるような品格・能力に欠ける教員、またシラバスと授業内容が余りに異なる教員がいるとすれば、研修を義務づける等のしかるべき改善策(所謂FD)を講ずる必要があろう。
 また今後は、多様な入試方法によって学科が選抜した学生の入学後の成績や在学中の活動、就職や進学動向等をもっときめ細かく追跡調査し、現在の入試がその目的に適った結果を出しているかどうか、検証する必要がある。検証結果によっては、推薦入試やAO入試や一般入試の採用枠の検討、指定校の見直し、新しい選抜制度の考案等を行う必要があろう。

A 入学者受け入れ方針等
【現 状】
 法学部の入学者選抜においては、「地域に根ざし世界に開かれた大学」を目指す本学の建学の精神を生かし、またリーガル・マインドを修得した有為な人材の育成を目指す学部の理念を生かし、地域の活性化や自由で公正な社会の実現に貢献できるような人材の確保に努めている。そのために、法学部は、少子高齢化社会の到来を踏まえ、学力だけでなく、多様な素質・能力を適切に評価し、出身地域や履修履歴・経験の異なるさまざまな個性ある学生が入学できる機会を提供している。
 AO入試における入学者受け入れ方針は、法律学科と地域行政学科とでは次のように異なる。法律学科は、ものごとを、法を通して総合的に見る力、社会現象を法的に把握する能力(リーガル・マインド)を身につけた人材を社会に送り出すことを教育の目的としている。このことから、法律学科は、学科の募集理念(アドミッションポリシー)として、@高い志を有し、A社会の動きに目を向け、問題意識をもって考え、調査する能力、Bものごとを論理的に考える能力、C正義感、忍耐力を有し、D自らの考えを適切に表現できる志願者を求めている。なぜなら、法律学の学習は基礎からの積み重ねであり、個別の条文や法制度全体を体系的に理解し事案を論理的に法律構成できなければ、法の解釈と適用ができないからである。法律学科のカリキュラムが、1年次必修の「法学概論」、「憲法」、「民法総則」から始まり、2年次必修の「刑法総論」を経て、2年次・3年次の物権法、家族法、商法総則・商行為法、債権総論、会社法、刑法各論、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、国際法等へ学習が進む形をとっているのは、そのためである。
 他方、地域行政学科は、行政・民間部門において法に関わる政策を立案、調整、決定、実行、評価できる実務型人材、より深い見識と広い視野を身に付け、地域社会の発展に貢献できるような人材の育成を教育の目的としている。このことから、地域行政学科は、学科の募集理念(アドミッションポリシー)として、@高い志を有し、A地域や社会の動きに目を向け、B行動力を有する情熱ある志願者を求めている。なぜなら、米軍基地を抱え離島の多い地域の課題を発見しその解決にふさわしい自立型地域社会の実現のためには、国家法のみでなく、沖縄自らの主体的な法政策の立案、調整、決定、実行、評価の各能力を備えた人材養成が不可欠であるからである。地域行政学科のカリキュラムが、1年次必修の「基礎演習」、「憲法」、「民法総則」から始まり、2年次必修の「刑法総論」、「行政法T」、「行政学」を経て、2年次・3年次の地方自治論、統治機構論、比較行政論、地方財政論、地方自治法、政策過程論、法制執務、政策評価論、地域行政論、自治体経営論等へ学習が進む形をとっているのは、そのためである。
 法学部の学生募集方法、入学者選抜方法については、全学的な組織の入試管理委員会が基本的な方針を決め、学部はこれに基づいて入試を全学の教職員の援助を得て適切に実施している。法学部の場合、受験者の得点が同点で同じ順位に何人もいるとき、過去の慣行により形成された基準に基づき合否が決定されており、入学者の選抜基準はきわめて透明である。

【点検・評価】
 少子高齢化社会のなかで優秀な入学生を獲得するため、7月〜9月にかけ、法学部の教員も分担して本島内の高等学校を訪問し、法学部の学科や科目の内容・勉学の方法、法律に関係の深い資格試験の種類と特色、法学や行政学教育の特色等について説明を行っている。なぜなら法学や行政学の授業の内容の一端を生き生きと高校生に説明し、質疑応答できるのは、実際に講義を担当している教員しかいないからである。かつては受験雑誌や新聞に大学の広告を載せていたが、不特定多数への広報は、その費用対効果の測定が困難である。そのため現在のような各高校へのきめ細かい地味な対応を今後も続けることが大切であり、このことが法学部への入学者の確実な受け入れにつながるであろう。
 各年の入試問題を検証するための仕組みについては、現在のところ、組織的な対応はしていない。しかし、本学教員が作成した入学試験問題や大学入試センターの作成した入学試験問題については、試験が終了した一定期間経過後に、本学教員すべてに配布し、入試問題に関連する・新入生対象の授業に利用することも、今後検討してはどうだろうか。なぜなら新入生が、高校の中等教育から大学の高等教育へ、円滑に移行できるよう教育的に配慮することは、入試科目と大学学部のカリキュラムとの適切な関係を実現する上で、大切であるからである。
 優秀な入学生の確保の一環として、他学部同様、法学部もオープン・キャンパスに参加しているが、高校生による大学の授業体験が、どの程度法学部受験への動機になっているかは今後受験生や入学生に対するアンケート調査を実施して検証する必要がある。

【改善・改革方策】
 社会人の生涯学習を通じて地域社会に貢献するという法学部の一つの使命、また世界に開かれた大学づくりを目指す法学部の外国人留学生、海外帰国子女の応募実態を考えると、沖縄という「地域性」を世界に開かれた「国際性」と、学生の受け入れの面で、どのように調和させるべきか、学部理念と合わせ、今後改善する必要がある。その改革方策には、法学部施設の一層の充実、教員増員も含まれる。

B 夜間学部等への社会人の受け入れ
【現 状】
 法学部は、設立当初より、講義を一部と二部の学生に提供してきた。法学部第二部法学科は、昼間働きながら夜間法律学を学習したいという多くの勤労学生の希望に応えるため、夜間教育の機会を地域社会に提供してきた。
 しかし、法学部第二部法学科への志願者数は、1998年以降急減した。1997年までは入学定員50名の6倍近くの競争倍率を維持していたが、1998年以降は約3.3倍、1999年は約2.5倍、2000年には約1.4倍となった。この減少傾向が続けば、競争倍率が約1倍または1倍を割り込むことは必至であった。そこで、2002年、法学部第二部の募集を停止した。そのため現在在学している第二部法学部生が在学しなくなる数年後に「法学部第二部」の廃止を申請する予定である。

【点検・評価】
 法学部第二部法学科の収容定員は、2002年度の場合、156名、在籍者数は166名である。入学当初から第二部で勉強したい学生は、勉学意欲も高く、なかには成績も優秀な学生がいる。他方、本当は第一部で勉強したいのだが、入試成績が悪く第一部で合格できなかったため、止むを得ず第二志望の第二部法学科へ入学した学生の場合、入学後の学習継続に問題のあることがある。このような学生は、受験時から第二部での学習と生活の明確な計画を立てているとは限らず、1年次から2年次へ進むとき、昼間のアルバイトの都合から、転部や転学科を希望したり、休学や退学を希望することがある。
 昼間の仕事と言っても、元来沖縄の若年失業率は他の都道府県に較べて高く、経済不況の影響もあり、学歴や資格や資力の乏しい者が条件の良い職場を見つけることは簡単ではない。企業・役所からの求人には、IT、会計、簿記、心理、福祉や知的財産等に関する高度の学歴や資格を必要とすることが多い。そのような学歴や資格を取得するために大学夜間部へ昼間働きながら通学を希望しているのに、現実には奨学生に採用されない学生は、第二部での学習に困難を来たすことがあり、学習意欲と学力と資力との間に一部悪循環が見られる。

【改善・改革方策】
 本学だけでなく、沖縄の他大学でも第二部への志願者は減少している。今後は、生涯学習時代を踏まえ、また地域に根ざす私立大学として、エクステンションセンターでの在学生及び社会人・有職者のための資格講座・教養講座の一層の充実・発展を志向すべきであろう。そのためには、大学側が講座費用を負担し、受講生にはできるだけ無料で講座を提供すべきである。

C 科目等履修生・聴講生等及び外国人留学生の受け入れ
 科目等履修生・聴講生等及び外国人留学生の受け入れについては、法学部には該当者がいないため、省略する。

D 定員管理
【現 状】
 法学部は、2002年にそれまでの法学部第一部法学科と第二部法学科を改組し、法律学科と地域行政学科を新たに設置し、第二部法学科の募集を停止した。そのため同年度以降の収容定員は、次の表が示す通り変化している。法学部の過去5年間の在籍学生数は、収容定員の平均約1.24倍の範囲に収まっている。
区    分
1998
1999
2000
2001
2002
第一部法学科
収容定員(A)
406
406
406
406
306
在籍者数(B)
492
487
491
498
374
(B)/(A)
1.21
1.20
1.21
1.23
1.22
法律学科
収容定員(A)
100
在籍者数(B)
124
(B)/(A)
1.24
地域行政学科
収容定員(A)
100
在籍者数(B)
122
(B)/(A)
1.22
第二部法学科
収容定員(A)
206
206
206
206
156
在籍者数(B)
297
277
258
252
166
(B)/(A)
1.44
1.34
1.25
1.22
1.06
法学部合計
収容定員(A)
612
612
612
612
662
在籍者数(B)
789
764
749
750
786
(B)/(A)
1.29
1.25
1.22
1.23
1.19
 定員超過の原因は、合格者の歩留まり率の予測誤差、また学費未納や修得単位16単位未満等を理由とする中途退学者や除籍者数の予測困難性、休学して海外大学に留学する学生数の事前予測の困難性、病気や事故や経済的困難また自発的理由による休学者の休学と復学の事前予測の困難性等が挙げられる。

【点検・評価】
 教育効果や大学の社会的評価を考えると、定員超過率は低ければ低いほど良心的大学であるということになるが、私立大学の経営を考えると定員超過率は高くても問題ないし、むしろ高ければ高いほど財政的には良いということになりかねない。私立大学においては、教学と経営は、バランスのとれた同じ一つの車の両輪でなければならない。
 法学部では、全学的な機関である入試管理委員会の合格発表予定者数を尊重して合格者を発表して来た。これまでは、定員超過率は約1.24倍の範囲に収まってきたが、少子高齢化社会を迎えた今後も大よそこの定員充足率を前提とした教員組織を維持するよう努力することが、教学上も、財政上も大切である。

【改善・改革方策】
 学生の収容定員と在籍学生数の適切な比率をこれからも確保するためには、経済的理由から休学や退学や除籍に至る学生については、奨学金制度の一層の充実、学生用ローン制度の導入等を検討すべきである。明確な目的意識や問題意識の欠如に由来する理由から退学や除籍に至る学生、また基礎学力の不足から講義科目を理解できずそのため勉強に興味が持てず、休学や退学や除籍に至る学生については、アカデミック・アドバイザーやティーチング・アシスタントによるきめ細かい学習指導を進めるべきである。精神的悩みから休学や退学や除籍に至る学生については、学生部学生相談室のカウンセラーや精神科医の相談・助言を受け、学生の個性に合った生活指導をすべきである。

E 編入学者、退学者
【現 状】
 法学部における過去5年間の退学者・除籍者は、次の表が示すように平均3.0%である。法学部においては、退学等の理由は経済的理由や学費未納よりも、取得単位16未満の方が目立っている。2001年以降学費未納による除籍者が減っているのは、アカデミック・アドバイザーや学科長や学部長や学生部長を中心として、教授会での審議に先立ち本人に対する未納の連絡と確認を事前に行うなど、学費未納学生に対する除籍処分に柔軟に対応したことがその理由の一つにあげられよう。
区    分
1998
1999
2000
2001
2002
退




自主
退学
進路変更
2
3
1
1
2
経済的理由
0
2
1
0
2
その他
2
4
7
0
3
除籍
処分
学費未納
13
10
10
0
7
16単位未満(取得単位)
3
4
5
15
8
その他
1
2
0
0
2
年度当初の在籍者数(A)
789
764
749
750
786
年度中の退学者・除籍者(B)
21
25
24
21
24
(B)/(A) (%)
2.66
3.27
3.20
2.80
3.05
 法学部における過去5年間の編入学者は、概ね収容定員枠(第一部法学科、第二部法学科共にそれぞれ6名)を満たしている。かつては編入学定員6名を満たすことができず、新聞広告をして再募集した年度もあった。過去のこのような事態への反省から、法学部は、現在、他県の法学系及び非法学系短期大学や県内の短期大学との間で指定校推薦枠の制度を認め、編入学指定校入試を実施している。
 法学部は、修業年限が2年以上でかつ課程の修了に必要な総授業時数が1700時間以上ある専修学校からの志願者も、編入学入学試験に受け入れている。

【点検・評価】
 病気その他止むを得ない理由及び最終学年次を除き、一学年の履修単位が16単位未満の者は、法学部教授会の議を経て、学長がこれを除籍することになっている。法学部の一定の質を維持するため、今後もこのような措置をとることは継続されるべきである。
 法学部は、学校教育法施行規則第92条の3に定める学校の課程を修了し、またはこれらの学校を卒業した者を、編入学生として、学年の初めにおいて、法学部に編入学させている。短期大学や専修学校を卒業したあと、また社会人となったあと、法学部への編入学を希望する志願者の勉学意欲は高く、目的意識も明確である。この意味で、法学部の編入生受け入れは、数こそ多くないにしても、社会人に対する教育の場としての役割を果たしていると言えよう。

【改善・改革方策】
 法学部は、今後、少子高齢化社会また競争的環境のなかで、可能な限り退学者や転部・転科生を出さぬよう、一定の教育水準を維持しながら、生涯学習時代を迎えた社会の変化するニーズに応える方途を探らねばならない。


(2) 商経学部
【現 状】
@ 入学者選抜方法
 本学部の入学者選抜の方法は、他学部と同様の認識と目的の下に、全学統一の枠組みに基づいている。本学部が実施している入学試験は、推薦入学試験(一般推薦、文化活動推薦、専門高校・総合学科卒業生推薦、体育推薦、指定校推薦)、一般入学試験(一般入学試験、専門高校・総合学科卒業生選抜試験)、大学入試センター試験利用入学試験、アドミッションズオフィス型入学試験、編入学試験(一般編入学、社会人編入学)、特別入学試験(社会人特別入学試験、帰国子女特別入学試験、外国人留学生特別入学試験)の6種目14種類である。
  しかし、本学部の教育目標や学術領域の特性上、独自の運用を行っている部分もある。入学者選抜に関し、本学部独自の運用を行っている試験の種目及び他学部との相違点は次のとおりである。
 まず、一般入学試験について記述する。一般入学試験には、一般入学試験と専門高校・総合学科卒業生選抜試験の2種目を設けている。前者では、@本学部第一部志願者に限り、同一学科の第二部への志望を認める、A必須科目「国語T・国語U」の出題範囲から古文及び漢文を除く、B選択科目に「数学T・数学A」を加え7科目のうちから1科目を選択、C後期日程無し、という点が他学部と異なる。また、後者は本学部だけが設けている入学試験であり、@必須科目の国語を「国語T」とし、出題範囲から古文及び漢文を除く、A選択科目は「簿記」、「経済流通」、「情報関係基礎」、「農業経済」の4科目のうちから1科目を選択、B後期日程無し、という内容で実施している。
 次に、大学入試センター試験利用入学試験であるが、@対象科目に「数学T」「数学T・数学U」、及び「簿記」「情報処理」を含める、A後期日程無し、という点が他学部と異なる。
 また、一般入学試験、専門高校・総合学科卒業生選抜試験、大学入試センター試験利用入学試験については、本学部への入学志望者は前期日程に集中するとの経験的認識から、本学部のみ後期日程の試験を実施していない。
 なお、本学部では、第一部及び第二部とも入学者の選抜方法は全く同一である。
 過去5年間の入学試験の種類別の志願者、合格者、入学者の状況は、「大学基礎データ」表13のとおりである。

A 定員管理
 本学部の過去5年間の学科別収容定員と在籍学生数、及び両者の比率は次表のとおりである。学科間及び第一部・第二部間で相違はあるものの、学部全体の在籍者数は概ね収容定員の1.2倍の範囲に収まっている。
区    分
1998
1999
2000
2001
2002
第一部
経済学科
収容定員(A)
660
660
660
660
660
在籍者数(B)
712
760
822
830
821
(B)/(A)
1.08
1.15
1.25
1.26
1.24
商学科
収容定員(A)
660
660
660
660
660
在籍者数(B)
669
765
797
798
793
(B)/(A)
1.01
1.16
1.21
1.21
1.20
第二部
経済学科
収容定員(A)
416
416
416
416
416
在籍者数(B)
485
525
490
457
420
(B)/(A)
1.17
1.26
1.18
1.10
1.01
商学科
収容定員(A)
416
416
416
416
416
在籍者数(B)
496
540
517
483
451
(B)/(A)

1.19

1.30
1.24
1.16
1.08
学 部 計
収容定員(A)
2,152
2,152
2,152
2,152
2,152
在籍者数(B)
2,392
2,590
2,626
2,568
2,485
(B)/(A)
1.11
1.20
1.22
1.19
1.15
(注)表中の数値は、全て第一部及び第二部合算。

B 退学者等
 本学部の過去5年間の退学者等数は次表のとおりである。
区    分
1998
1999
2000
2001
2002
年度当初の在籍者数(A)
2,392
2,590
2,626
2,568
2,485
年度中の退学者・除籍者(B)
104
92
104
119
112
(B)/(A) (%)
4.3
3.6
4.0
4.6
4.5
退




自主
退学
進路変更
7( 6.7)
23(25.0)
16(15.4)
6( 5.1)
10( 8.9)
経済的理由
6( 5.8)
6( 6.5)
7( 6.7)
10( 8.4)
6( 5.4)
その他
17(16.3)
10(10.9)
8( 7.7)
14(11.8)
18(16.1)
除籍
処分
学費未納
39(37.5)
26(28.3)
35(33.7)
43(36.1)
36(32.1)
16単位未満(取得単位)
29(27.9)
24(26.1)
34(32.7)
43(36.1)
38(33.9)
その他
6( 5.8)
3( 3.3)
4( 3.8)
3(2.5)
4( 3.6)
(注) 表中の数値は、全て第一部及び第二部合算。( )内の数値は「年度中の退学者・除籍者」に対する各退学等理由の構成比率(%)を示す。
 在籍者に占める退学者・除籍者の構成比率は4%から5%の範囲である。退学者の過半数が「学費未納」及び「取得単位16単位未満」を理由とした除籍処分によるものである。なお、本学では、学則第48条の規定に基づき、一学年の修得単位が16単位未満の者は除籍することとなっているが、別途取り扱い要領を定め、除籍対象学生に就学の意志があると認められる場合には当該年度に限り除籍を猶予することとしている。また、学則第50条の規定により、退学した者及び除籍された者は、2学年度以内であれば、再入学することが可能である。

【点検・評価】
 本学部は2004年度より2学部に改組され、2004年度以降は本学部としての学生募集を停止する。新に改組・設置される2学部の2004年度の入学者選抜では、基本的には本学部の入学者選抜の方法を踏襲するが、一般入学試験、専門高校・総合学科卒業生選抜試験、大学入試センター試験利用入学試験については、他学部同様、後期日程の試験を実施することとしている。なお、選抜方法の適切性について客観的な検証を行うためには、入学者選抜の方法と入学後の成績の関係、さらには、卒業後の進路との関係について分析することが必要であると考えている。
 在籍者数が定員を超過している理由は次のとおりである。
@ 募集定員に対する合格者の比率については、教授会の議を経るものの、全学一律の数値を設定することから、在籍者数の収容定員に対する比率を、本学部が独自に管理することは実質的に不可能である。
A 4年次在学生の中には、卒業要件を満たせないために卒業できない学生や、希望どおりの就職ができないという理由で留年する者がいるが、これらの留年者数を予測することは困難である。同様に、中途退学者や除籍者を予測することも困難である。
B 一般入学試験や大学入試センター試験利用入学試験の場合、合格者の全てが入学してくる訳ではなく、他大学との競合により歩留まり率が変動する。変動要因が多岐にわたるため、過去の経験を踏まえて歩留まり率を算出しても予測誤差が生じる。
 学費未納や修得単位16単位未満を理由として除籍される学生数が、年度途中の退学者・除籍者の過半を占めており、教員による指導・助言や相談をより緻密に行う必要があると考えている。しかし、本学では、上述のような運用上の救済措置を設けており、基本的には学生並びに学生の家族の大学生活に対する認識の改善が重要である。なお、学生や学生の家族の大学生活に対する認識の低さの背景には、沖縄県が一人当たり県民所得、失業率、並びに大学進学率において、全国最下位であることにも配慮しておく必要がある。

【改善・改革方策】
 本学部は2004年度より学生の募集を停止することから、2004年度より改組・設置される2学部において、選抜方法の適切性について客観的な検証を行うために、入学者選抜の方法と入学後の成績の関係、さらには、卒業後の進路との関係について、恒常的に分析を行える体制を整備する必要があるが、個別情報を管理・掌握している事務部門が多岐にわたり、また、軽々にアウト・ソーシングすることが可能な情報内容ではなく教職員の業務量なども関係することから、学部毎に単独で行うのではなく、全学的な組織的取り組みを行う必要がある。
 在籍者数と収容定員の関係についても、上述のような情報整備が行われれば、合格者の歩留まり率や退学・除籍者数に関するより精度の高い予測が可能となると思慮される。


(3) 総合文化学部
@ 学生募集方法、入学選抜方法
【現 状】
 学生募集の方法や入学者選抜の方法については、学長を議長とする全学的な組織である入試管理委員会でその基本方針が審議される。本学部は、その基本方針に基づいて入試に関する審議を行い、具体的な方策を決定している。
 2000年度入試からいくつかの入試改革を行なっており、その結果、本学部では、AO入試、推薦入試(一般推薦、文化活動推薦、専門高校・総合学科卒業生推薦、体育推薦)、一般入試前期・後期、大学入試センター試験利用入試前期・後期と4種目10種類の入試を行なっている。
 入試科目については、一般入試の場合、本学部が文科系学部であるため、国語・英語・選択科目(英米言語文化学科はリスニング試験、その他の学科は地歴または公民の1科目)の3科目による学力試験となっている。大学入試センター試験利用入試は、大学入試センター試験の国語・英語・選択科目の3科目によって合否判定を行なう。これらは、従来の学力重視型入試である。推薦入試は、高校の成績及び活動記録を重視し、それに加えて小論文を課して文章表現力を評価する。文化活動推薦は、高校の調査書評定値と小論文に加えて活動内容を重視するようにしている。体育推薦は、体育活動の成績を重視し、全学的組織の「体育推薦評価委員会」で全学的に評価される。
 少子化に対応することを主な目的として、2000年度入試から指定校推薦と一般入試及び大学入試センター試験利用入試における後期日程の二つの制度が新たに導入された。指定校推薦は、従来の推薦入試の範疇に入れ、推薦入試全体を学則定員の5割とした。その中で、指定校推薦をどの割合にするかについては、学部間で意見の食い違いがあったが、本学部では少子化による入学者の確保及び幅広い地元高校からの進学によって地元高校との関連を強化することを目的として、指定校推薦を重視することとし、指定校推薦を3割残りの2割を従来の推薦入試に割り当てることとした。指定校推薦は、本学部学科がそれぞれ指定校を決め、各校校長宛に推薦を依頼する。推薦された志願者に対して面接を行なうが、基本的には調査書の内容確認と志望動機を確認する程度であり、ほぼ校長の推薦により合格が決定する。ただし、一定の学力の保証を担保とするために、本学部では高校の成績評定平均値の下限を設定した。その値は学部によって異なるが、3.8から4.5の範囲であった。
 また、志願者の確保と多様な志向の学生に門戸を開く目的で、一般入試及び大学入試センター試験利用入試における後期日程を新設した。一般入試後期日程は、学力試験は課さずに小論文試験のみとした。
 2001年度入試から導入したアドミッションズオフィス型入試(以下、AO入試という。)の選抜方法は、学業成績よりも、体育や文化、その他の活動で成果をあげ、かつそれをもとに大学で何を学び、何をしたいかについて書類審査と面談によって評価するという従来にない方式を採用している。評価の基準を明確にするために、学科ごとにアドミッションポリシー(募集理念)を決めて、公表している。

【点検・評価】
 高校までの個性を尊重する教育に対応して、多様な志向をもつ志願者が本学部に対して受験できるよう、指定校推薦や一般入試と大学センター試験利用入試の前期・後期日程、そしてAO入試と新たな入試制度を導入してきた。沖縄の私立大学として、地元の高等教育を支えるということで、県内高校を中心に指定校をお願いしていることは、県内高校から高く評価されている。同時に、全国から本学で学びたいという志願者の便を考慮して、本学で受験しなくても応募が可能な大学入試センター試験利用入試を、本学部は県内私大に先駆けて1997年度から実施していることも評価されて、毎年5倍から10数倍の志願者を確保している。さらに、それぞれの入試種類では2倍から10数倍の志願倍率を確保し、入試方法は概ね適切ではないかと判断できる。
 しかし、入試種類を増加した結果、4種目10種類の入試種類に細分化されることになり、入試業務が煩雑になったことに加えて、各種類ごとの募集定員が少なくなったことは、若干の弊害を生じる懸念がある。例えば、推薦入試の割合を5割にし、AO入試を導入したことによって、一般入試の募集人員が極端に減少してしまった。名目ではあるが、2003年度入試では、一般入試前期日程は10倍を超えるあるいはそれに近い倍率を記録している。優秀な志願者がいても、合格に至らない場合がありうる。

【改善・改革方策】
 多様な志願者に対応するための多様な入試制度を目指して改革してきたが、それが適切であったかどうかについて、入学後の追跡調査を行う必要がある。文化活動推薦及び体育推薦とAO入試の区別がつきにくい現状もある。今後、大学全入時代を視野に入れて、入試制度の整理統合を考えながら、さらに検討を加える予定である。

A 入学者受け入れ方針等
【現 状】
 入学者受け入れ方針は、学科ごとの教育理念・目標によって若干異なる。英米言語文化学科の教育目標は、「国際語としての英語と国際感覚を身につけること」にあるため、一般入試前期の選択科目は、英語のリスニングを課している。また、推薦入試の文化活動推薦と体育推薦における高校の成績評定平均値は3.5以上とし、英語を重視している。日本文化学科は、国語の評定平均値を3.5以上と、国語力を重視している。
 AO入試については、各学科の教育理念・目的と関連させて募集理念を公表している。それはまた、各学科の入学者受け入れ方針全体をも表現している。各学科の募集理念は、以下の通りである。
日本文化学科: 文化活動、ボランティア活動、課外活動など学校の内外を問わず、意欲的に取り組んだ実績を持ち、自らの思いやりや考えについて、自らの言葉で表現できる者を求めます(一部改編、省略)。
英米言語文化学科: 英米言語文化学科は、国際語としての英語と国際感覚を身につけ、グローバルな視野をもち、人類の平和と地球環境の保全のため、積極的に貢献する教養豊かな国際人としての有為な人材の育成を目指しています。(中略)当学科は、そのようなチャレンジ精神と意欲に満ちた受験生を求めています。
社会文化学科: 社会学科は、(中略)次のような志願者を求めます。@文化活動、ボランティア活動など学校内外の活動に意欲的に取り組んだ実績をもつ人。A知的好奇心にあふれ、明確な自己主張をもつ人。B社会的な動きに深い興味と関心をもち、問題意識をもって考える人。C自らの手足で積極的に情報を収集する人。
人間福祉学科: (前略)人間福祉学科では、時代のニーズを的確に捉え、幅広い視野と意欲を持って社会福祉学及び心理学・カウンセリングを学びたい受験生を募集します。また、ボランティアを積極的にする者、問題を抱えた人々について共に考えて行動できる者、社会的課題を科学的に考える者、国際社会に貢献したい者を募集します。
  AO入試は、2001年度入試から導入した。志願理由書や自己紹介書等の書類によって第一次審査を行ない、第二次審査は面接を行なう。判定は、面接の配点を重視している。その結果、目的意識の明確な学生、リーダーシップのある学生など特色のある学生を確保することができ、各学科とも活気が出たと高い評価を得た。そのために、2003年度入試からは、AO入試の当初募集定員である学則定員の1割から2割に引き上げた。

【点検・評価】
 AO入試に関する各学科の募集理念を決めたのは、2002年度入試からであり、まだ数年しか経っていない。この募集理念に適合した志願者を確保できたかどうかについては、追跡調査が必要だと思われるが、まだその調査に着手していない。
また、今までは、入試改革に重点が注がれていたが、今後はその点検・評価に重点を移すことが必要だと思われる。

【改善・改革方策】
 入学者受け入れ方針としては、従来の学力中心で選抜するのか、あるいはAO入試のように面接を重視して各学科の募集理念に適合する志願者を受け入れるなかで、大きな方針の違いがある。まず、現状の分析・検討を行ない、その後に大学全入時代を視野に入れつつ学力重視の入試と面接重視の入試のバランスをどのようにすべきかを考えることになる。

B 入学者選抜の仕組み及び入学者選抜方法の検証
 入学者選抜の仕組みは、学部ごとの入試実施責任体制を取っているのではなく、全学的組織である入試管理委員会と入試課で入試実施の責任を担っている。学部は、全面的に協力をしている。
 入学選抜基準についても、基本的には対外的に公表されており、したがって、透明性は確保されている。また、その基準に基づいて学科ごとに選抜した後、その結果を学部教授会で報告し、学部の承認を得ている。
入学選抜方法の検証については、入試管理委員会の下に入試問題作成委員会が組織され、全学的に運営されている。

C 定員管理
【現 状】
 本学部は、1996年に国文学科と英文学科の定員増、1997年に社会学科の定員増、2001年に学科改組があり、過去5年分の収容定員は、学科ごとに毎年のように変化している。下表によると、本学部の在籍学生数は、各学科とも収容定員の1.2倍前後の範囲に収まっている。
 定員超過の原因は、入学者数の入学定員超過と4年次の留年が大きな要因となっている。入学定員超過は1.2に抑える努力をしている。卒業に関しては、履修指導等を通して留年を最小限に抑えるよう努力しているが、休学して海外に留学した学生は、復学して5年目・あるいは6年目に卒業することになり、怠学ではなく、留学による留年が増加している。
 また、近年の経済不況により、学業の継続が困難となり、一時休学する学生が増加している。その復学が、定員増加率を押し上げている。

区       分
1998
1999
2000
2001
2002






国文学科
収容定員(A)
360
420
420
320
220
在籍者数(B)
411
478
493
373
238
(B)/(A)
1.23
1.14
1.17
1.17
1.08
英文学科
収容定員(A)
390
440
440
340
240
在籍者数(B)
458
500
514
402
282
(B)/(A)
1.17
1.14
1.17
1.18
1.18
社会学科
(昼間主コース)
収容定員(A)
460
480
500
380
260
在籍者数(B)
562
579
604
475
321
(B)/(A)
1.22
1.21
1.21
1.25
1.23
社会学科
(夜間主コース)
収容定員(A)
32
49
66
51
34
在籍者数(B)
45
63
83
55
35
(B)/(A)
1.41
1.29
1.26
1.08
1.03

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
日本文化学科
収容定員(A)
100
200
在籍者数(B)
120
250
(B)/(A)
1.20
1.25
英米言語文化学科
収容定員(A)
100
200
在籍者数(B)
120
246
(B)/(A)
1.20
1.23
社会文化学科
収容定員(A)
80
160
在籍者数(B)
96
196
(B)/(A)
1.20
1.23
人間福祉学科
社会福祉専攻
(昼間主コース)
収容定員(A)
80
160
在籍者数(B)
96
200
(B)/(A)
1.20
1.25
人間福祉学科
社会福祉専攻
(夜間主コース)
収容定員(A)
15
32
在籍者数(B)
17
34
(B)/(A)
1.13
1.06
人間福祉学科
心理カウンセリング専攻
収容定員(A)
50
100
在籍者数(B)
60
125
(B)/(A)
1.20
1.25

【点検・評価】
 定員超過率は、教学上低ければ低いほど教育効果が良いということになるが、私学の場合、資金収入の多くを学生納付金に頼らざるを得ないため、経営上は高ければ高いほど良いという矛盾を抱えている。収容定員超過の一つの原因は、入学者数による。定員確保のため、入学者の歩留まり率を考慮に入れて合格者を収容定員以上に設定している。本学部では、1.2以下に抑えるよう努力している。
 しかし、新学部に改革してから優秀な志望者が多いため、入学定員超過率を1.2以下に絞りきれない場合がある。とくに、社会文化学科については、1.2倍を若干超過している。2001年に学科の改革をして、社会福祉学と心理学を独立させて人間福祉学科を新設したが、人気の高い社会福祉学と心理学の専攻がそれ以前は社会文化学科の前身である社会学科に包括されており、志願倍率が高かった。優秀な学生を確保するために、若干入学者数が収容定員に対して多めであった。今後、社会文化学科では、1.2倍以下に抑えるよう努力することになっている。
 本学部では、休学による海外留学が近年増加し、その復学が学生定員超過率を押し上げる一つの要因になっている。この現象は、学生の海外留学志望が増加しているにもかかわらず、本学の留学制度が整備されていないことにある。
 経済困難による休学は、社会の構造的な経済不況及び沖縄の脆弱な経済基盤によるもので、大学だけでは問題の解決に至らない。しかし、経済困難な学生に対する奨学金制度の拡大やローン制度の検討などが必要となる。

【改善・改革方策】
 今後とも、入学定員超過率を1.2倍以下に抑えるよう努力する。アカデミック・アドバイザー制度をさらに活発化して、学業だけでなく家庭の経済面、本人の不適応などの個人的な問題に密接に対応していく。留学志望者の増大に対応して、新たな派遣留学制度を2004年度から開始する。

D 夜間学部等への社会人の受け入れ
【現 状】
 社会学科、2001年度以降は人間福祉学科社会福祉専攻において昼夜開講制を取っており、夜間主コースの入学条件は社会人対象となっている。従来、沖縄において社会福祉学専攻の大学がなく、現在社会福祉施設で就労している関係者の中でも、社会福祉学の専門を大学で学習した人材が少なかった。そのため、就労しながら学べる夜間主コースを1997年から開設し、地域における社会福祉教育に貢献してきた。

【点検・評価】
 入学定員は15名となっており、前項の定員超過率の表からもわかるように、収容定員は維持している。県内社会福祉施設関係者に対して、夜間主コースの情報を提供しており、毎年一定数の社会人受験者がいる。しかし、近年受験者が減少しており、その対策が必要である。

【改善・改革方策】
 県内の社会人が通う夜間制高校や通信制高校に対して、入試説明会などを積極的に行なう。また、社会人ということで、高校新卒生の受験はできなかったが、新卒であっても大学入学と同時に就労すれば社会人となるわけで、受験資格の見直しも検討する。

E 退 学 者
【現 状】
 本学部における退学者は、下表に示すように全体で2から3%台にある。数値としてはそれほど大きいとは考えられないが、経済的理由及び学費未納が近年増加している。また、本学では学則上1年間の取得単位数が16単位に満たない学生について除籍する規定になっている。但し、1年目の学生については学科長及びアカデミック・アドバイザーの指導によって、除籍を猶予する制度になっている。猶予期間中に20単位以上履修できれば、除籍対象から解除される。実際にこの規定に抵触して除籍された学生は、猶予期間を与えられたにもかかわらず、単位が取得できなかった学生に限られる。

区       分
1998
1999
2000
2001
2002
年度当初の在籍者数(A)
1,476
1,620
1,694
1,814
1,927
年度中の退学者・除籍者(B)
44
41
57
64
48
(B)/(A) (%)
2.98
2.53
3.36
3.53
2.49
退



進  路  変  更
13
13
19
12
7
経 済 的 理 由
2
4
8
3
2
学  費  未  納
14
7
19
26
23
16単位未満 (取得単位)
4
7
6
8
9
そ  の  他
11
10
5
15
7

【点検・評価】【改善・改革方策】
 日本育英会のほかに本学独自の奨学金制度も何種類か用意されている。学費納入が困難な学生に対しても、学費延長の制度がある。それにもかかわらず、経済的理由及び学費未納による退学が増加しているのは、経済の不況と深く関連すると思われるが、さらに学費納入困難な学生に対する制度を検討する必要がある。一つは、災害等の突発的な事故に巻き込まれた場合の奨学金で、本学校友会の援助を得て制度化される。もう一つは、学生及びその保護者に対する学費納入通知の徹底と、学費未納連絡の徹底である。従来も、各学部学科で学費未納者に対する連絡を事務局と連携を取りながら進めてきたが、その体系的な検討を行なう。



第3節 大学院における学生の受け入れ

(1) 地域文化研究科
@ 学生の募集方法、入学者選抜方法
【現 状】
 広い視野と高度な専門的知識をもつ職業人の育成を目指す本研究科の入学定員は、南島文化専攻10人、英米言語文化専攻3人、人間福祉専攻10人、の合計23人である。
 入学の時期は毎年度4月であるが、学生募集は毎年度2回(9月と2月)入学者選抜試験を実施して行っている。選抜方法は、一般選抜試験(外国人留学生含む)と社会人選抜試験(有職者選抜を含む)であり、両方式とも前記の通り、年2回実施している。入学者の選抜では、学力検査、研究計画書、出身大学の調査書等に基づき、志願領域について、学部卒業程度の基礎学力を有するとともに修士論文作成に向けた計画性と意欲を総合的に判定し、研究科会で合格者の決定を行っている。
 学力検査は、一般選抜試験では「外国語」、「専門科目」、「面接」を課しているが、社会人選抜試験では「専門科目」と「面接」だけで、「外国語」は課していない。
 なお、「面接」は、各領域毎に原則として科目を担当する3人以上の専任教員で行い、志願者の資質について多面的な評価が行えるよう努めている。
 また、2001(平成13)年度入学からは、個別の学力審査により、大学を卒業したものと同等以上の学力があると認めた者に対して受験資格を認める制度(個別選抜)を導入して、より多くの研究意欲にみちた者に門戸を開いている。今までのところ2人合格、1人不合格となっている。
 本研究科開設以来の志願者数・入学者数は下表のとおりである。
入学年度
志願者数(人)
入学者数(人)
1997
34
19
1998
16
15
1999
30
20
2000
38
36
2001
27
22
2002
17
14
2003
41
33
(注1) 1999年度に英米言語文化専攻(入学定員3人)開設
(注2) 2003年度に人間福祉専攻(入学定員10人)開設

 本研究科3専攻8領域を専攻毎、領域毎に見ると、その入学者は、下表のとおりである。

区   分
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
南島文化専攻
19
15
16
32
16
10
12
120
言語文化領域
4
4
4
8
9
1
3
33
民俗文化領域
8
5
3
11
6
3
2
38
(注)先史・歴史文化領域
2
4
1
3
0
2
4
16
社会文化領域
5
2
8
10
1
4
3
33
英米言語文化専攻
4
4
6
4
2
20
英米言語文化領域
1
2
4
1
0
8
英語教育学領域
3
2
2
3
2
12
人間福祉専攻
19
19
社会福祉学領域
10
10
臨床心理学領域
9
9
(注)2000年度に先史文化領域を改称

【点検・評価】
  9月入試は本研究科開設以来実施してきたが、少ない年で5%、多い年で40%近くの合格者・入学者が確定しており、今後も継続して9月入試を実施するのは妥当である。特に有職者・社会人にとっては、9月の段階で合否が決定されることは、4月以後の学業の準備を含め、あらゆる点で好都合であろうと思われる。
 外国語試験科目の外国語は専攻によって異なっている。英米言語文化専攻と人間福祉専攻では、入学後に文献使用頻度の高い「英語」のみに限定しているが、南島文化専攻においては、受験生の多様な語学力を前提として「英語」「フランス語」「中国語」「韓国語」「日本語」(外国人のみ)から、選択して受験させている。英米言語文化専攻と人間福祉専攻において、外国人に対して外国語科目として「日本語」を認めてないのは、日本語能力の判定は面接を通して十分可能である、との理由によるものである。
 また、社会人選抜試験において「外国語」を課していないのは、次の@、Aの理由による。@外国語能力は専門科目の試験問題の出題上の工夫、面接を通して測定可能であること、Aより高度な専門的職業人の育成という本研究科の目標から考えて、外国語能力を求めるよりも、現場と密着した専門性の深化につながる能力の有無を選抜の基準にすべきであること。
 上記表の示す通り、入学者の数は入学定員を充足しており、安定して推移している、と言える。領域毎に見ても、特に大きな定員割れはこれまで経験していないが、志願者の確保が本研究科が真剣に取り組むべき課題であることは開設以来の懸案事項である。特に英米言語文化領域の文学、言語学系列については、減少傾向にあり、何らかの対策が必要である。

【改善・改革方策】
 今後、学部教育との一貫性を一層強化して、学部生の進学意欲が高まるよう各演習を通して配慮するとともに、大学院担当教員の一層の充実が望まれる。また、外国語受験科目の再検討、一般選抜、社会人選抜など、選抜方法による入学定員枠の設定が必要かどうかなど、再検討を要するであろう。2004年度を研究科会で検討する予定である。

A 推薦選抜制度
【現 状】
 本研究科では、従来推薦選抜制度は導入していなかったが、2003(平成15)年度人間福祉専攻の開設に伴い、同専攻のみ2月入学試験で実験的に導入したところ、予想以上の反応が見られた。これを契機に同制度の導入について研究科会で本格的に審議し、早急に導入すべきとの方向で意思の統一がなされた。

【点検・評価】
 人間福祉専攻の推薦選抜制度導入の基本的考え方は、@本学文学部社会学科2003年度卒業見込み学生の進学意欲を喚起すること、A福祉関係職場その他の職場に勤務する意欲に満ちた有職者に学習の機会を提供すること、であった。卒業見込み学生の場合は、演習担当教員の推薦書、有職者の場合は、職場の所属長の推薦書を提出させた。
 その結果は同制度を利用した受験者が9人おり、そのうち8人が合格した。
 この制度は、潜在的な進学希望者の学習意欲を一層刺激し、高度な専門的職業人の育成を目指す本研究科の理念・目標に合致するものである。

【改善・改革方策】
 本研究科三専攻において、2004年度入学試験から実施すべく、研究科会において入試要項の改訂作業を進めている段階である。入学者人数枠を定めるかどうかなど、詳細な部分の調整は今後の課題である。

B 門戸開放
 他大学出身者の本研究科への志願・入学状況は下表のとおりであり、年度により増減はあるが、本研究科では、他大学の学部出身者にも門戸を開放している。

区   分
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
他大学出身志願者(人)
12
4
9
18
13
9
24
89
志願者総数(人)
34
16
30
38
27
17
41
203
他大学出身志願者の比率
35.3%
25.0%
30.0%
47.4%
48.1%
52.9%
58.5%
43.8%
他大学出身入学者(人)
4
3
6
17
10
6
17
63
入学者総数(人)
19
15
20
36
22
14
33
159
他大学出身志願者の比率
21.1%
20.0%
30.0%
47.2%
45.5%
42.9%
51.2%
39.6%

  「大学院学則」第45条(「特別聴講学生」)、同第46条(「特別研究学生」)に基づき、他の大学院の学生を受け入れることは制度として可能である。しかし、現在までのところ、本研究科には他の大学院の学生を受け入れた実績はない。
 本研究科開設以来7年度間の志願者総数203人に対し、他大学出身志願者総数は89人で、その志願者総数に占める比率は平均43.8%である。また、入学者について言えば、入学者総数159人のうち63人は他大学出身者で、その入学者総数に占める比率は平均39.6%である。
 以上の点から考えて、本研究科は他大学出身者に対しても本学出身者に対すると同様、公平に対処し、門戸を開放していると評価できる。
 特別聴講学生、特別研究学生の受け入れについては、今後も学則に則り、依頼があれば積極的に受け入れる。

C 社会人(有職者を含む)の受け入れ
 社会人選抜入学の出願資格は次のとおりである。
@ 一般選抜試験の出願資格を有する者(外国人留学生は除く)
A 当研究科入学時に、大学卒業後2年以上経過した者
B 大学入学時に、社会人特別選抜制度の運用を受けた者
 有職者選抜入学は、2003年度開設の人間福祉専攻にのみ該当し、出願資格は「大学を卒業し、所属する団体長等の推薦がある者」となっている。志願者の「所属する団体」の意思を確認するための措置であり、去る2月の同専攻には10人の志願者があり、8人が合格している。
 本研究科開設以来の社会人選抜入学による入学者の状況は下表のとおりである。
区   分
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
社 会 人(人)
12
8
9
16
6
9
17
77
入学者総数(人)
19
15
20
36
22
14
33
159
社会人比率
63.2%
53.3%
45.0%
44.4%
27.3%
64.3%
51.5%
48.4%
(注) 1997年度 南島文化専攻開設、1999年度 英米言語文化専攻開設、2003年度人間福祉専攻開設
  社会人(有職者を含む)の受け入れ状況については、上記表の示す通り過去7年間の平均が48.4%を占めており、現在までのところ本研究科入学者選抜方法は妥当なものと考えられる。今後も継続して行きたいと考えている。

D 科目等履修生、研究生等
 「大学院学則」第47条(「科目等履修生」)、同第48条(「研究生」)、同第49条(「委託研究生」)に基づき、研究科会の議を経て、受け入れることができることとなっている。現在までのところ、1999年度に1人、2000年度に1人、2001年度に1人、2002年度に1人、合計4人の研究生があった。
 科目等履修生制度については、専修免許関係など、まだ一般に十分理解されているとは言えないように思われる。入試要項などを通して、科目等履修制度のメリットを知らしめる必要がある。

E 外国人留学生の受け入れ
 入学試験は、9月と2月に実施され、選抜試験は、一般選抜試験と同じく、「外国語」「専門科目」「面接」である。「外国語」は「日本語」に限られている。
 本研究科開設以来の留学生の入学状況は下表のとおりである。なお、留学生の国籍はすべて中国である。
区   分
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
志 願 者 数(人)
2
2
2
3
2
0
1
12
留学生入学者数(人)
1
1
2
2
2
0
1
9
入学者総数(人)
19
15
20
36
22
14
33
159
留学生比率
5.3%
6.7%
10.0%
5.5%
9.1%
0%
3.0%
5.7%
(注) 1997年度 南島文化専攻開設、1999年度 英米言語文化専攻開設、2003年度
人間福祉専攻開設
  外国人留学生の受け入れを積極的に推進している本研究科としては、過去7年間の外国人留学生が9人しかいないのは残念である。専門領域も南島文化専攻の言語文化領域と社会文化領域のみにかたよっている。
 今後は外国人留学生が本研究科8領域に在学するよう何らかの方策が取られるべきであり、しかも早急な対策が必要であるが、現在のところ具体策はもっていない。2004年度の研究科会において、その原因をつきとめ、具体策を審議・検討する。

F 定員管理
【現 状】
 本研究科の収容定員は南島文化専攻(1997年度開設)20人、英米言語文化専攻(1999年度開設)6人、人間福祉専攻(2003年度開設)20人、合計46人であり、下表のとおり、現在までのところ、収容定員は保たれている。むしろ、超過しているといえる。

区   分
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
平均倍率
収容定員(人)
10
20
23
26
26
26
36
 
在籍者数(人)
19
34
38
65
71
66
72
  
在籍者倍率
1.90
1.70
1.65
2.50
2.73
2.54
2.00
2.19
(注1) 在籍者数は毎年5月1日現在。
(注2) 1997年度、1999年度、2003年度は専攻開設初年度のため収容定員は1学年のみの募集人数を算入した。
 平均2.19倍、2003年度2.0倍と超過しているが、その原因は休学等により修業年限2ヵ年を越える大学院生16人も在学していることによる。その内訳は、1998年度入学者1人、1999年度入学者4人、2000年度入学者5人、2001年度入学者6人である。これら16人を除いて考えると、2003年度は1.6倍程度となり、許容範囲と考えられる。

【点検・評価】
 本研究科開設以来2001(平成13)年度までの入学者の異動状況は下表の通りである。
1997(平成9)年度〜2001(平成13)年度入学者の異動状況(入学者数に対する割合)
1997
1998
1999
2000
2001
入学者数
19
15
20
36
22
112
修了者数
17(89%)
8(53%)
13(65%)
22(61%)
9(41%)
69(62%)
イ.修業年限内
15( 7%)
5(33%)
10(50%)
12(33%)
9(41%)
51(46%)
ロ.修業年限外
2
3
3
10
18(16%)
退学者
2
3
2
5
4
16(14%)
除籍者
3
0
2
0
5( 4%)
在学中
1
4
5
6
16(14%)
休学中
0
1
2
3
6( 5%)

 上記表中の退学者・除籍者合計21人について、退学・除籍の理由は@経済的理由による者8人、A病気による者5人、B業務多忙による者(出産も含む)4人、C進路変更(他大学への転校含む)による者3人、D目的達成(専修免許取得)による者1人、となっている。
 上記表からは明瞭ではないが、休学届者も年々増加の傾向にあり、1997年度から2001年度までの入学者112人中、休学者は31人(28%)で、延べ休学届け提出回数が50件(45%)に達している。31人の休学申請者の中には、2度、3度と申請を繰り返している者もいる。
 休学申請者31人について、休学せざるをえない第1の理由は業務多忙によるもので、実に19人が多忙の理由で休学を申請している。次に経済的理由による者6人、病気による者4人、その他個人的理由による者2人(職務体験、選挙出馬)となっている。経済的理由からアルバイトで多忙となり、病気になるものも見られる。

【改善・改革方策】
 修業年限内に修了できるよう1年次からの指導をより強化するとともに、大学院生の経済状況を勘案した奨学金制度の充実が望まれるが、大学財政の枠も考慮しなければならない。2003年度中に、大学院生の意見を聴取し、研究科会において十分審議を尽くして対策を確立する予定である。


(2) 地域産業研究科

【現 状】
@ 学生募集方法、入学者選抜方法
 入学の時期は毎年度4月であるが、学生募集は毎年度2回(9月と2月)入学者選抜試験を実施して行っている。選抜方式には、社会人選抜と一般選抜があり、両者とも9月と2月の2回実施している。入学者の選抜では、学力検査、研究計画書等に基づき、商経学部卒業程度の専門基礎学力を有するとともに修士論文作成に向けた計画性と意欲の高さを基準として総合的に判定している。また、合格者の決定は研究科会で行っている。
  学力検査は、一般選抜では「外国語」、「専門科目」、「面接」を課しているが、社会人選抜では「専門科目」と「面接」だけで、「外国語」は課していない。社会人選抜において「外国語」を課していないのは、次に掲げる理由による。
 ア、 外国語能力は専門科目の試験問題を工夫することによっても測定可能でること
 イ、 社会人の職業能力開発という観点からは、いたずらに外国語能力を求めるよりも、実務現場に密着した専門性の深化を図れる能力の有無を選抜基準とした方が合目的的であること
 なお、「面接」は、経済学系及び商学系に分かれて、それぞれの学系の科目を担当する教員全員で行っており、入学希望者の資質の多面的な評価が行えるよう努めている。
 本研究科設置以来の、志願者数・合格者数・入学者数の状況は下表のとおりである。
入学年度
志願者数(人)
合格者数(人)
入学者数(人)
1998
30(4)
26(4)
26(4)
1999
31(2)
21(1)
21(1)
2000
33(5)
26(3)
26(3)
2001
21(0)
17(0)
17(0)
2002
16(3)
14(3)
14(3)
2003
13(0)
10(0)
9(0)
(注)( )内は他大学の学部卒業生で、内数。

 2001年度以降、入学定員の20名を下回る傾向が続いているが、この理由の一端は次のとおりである
 ア、 「日本的経営」領域の演習担当教員が2001年度に1年間の国内研修に赴いたため、学生の研究指導が適切に行えない恐れがあることから、2001年度及び2002年度に当該領域の募集を見合わせたため
 イ、 「地域流通」領域の演習担当教員が2001年度末に退職したため、2002年度以降当該領域の募集を見合わせたため

A 推薦選抜制度
 本研究科では、推薦選抜制度は導入していない。現時点では、次に掲げる理由により、推薦選抜制度を導入していない。
 ア、 在学可能期間内に修士論文の作成を行うためには、入学希望者に学力だけではなく自律的な自覚と目的達成意欲の堅持を強く求める必要があり、推薦選抜制度を設けても一般選抜制度及び社会人選抜制度と同様の選抜方法・基準を採らざるを得ないこと
 イ、 沖縄県では、修士号の取得について就職・就業上の有意性が充分に認識されておらず、いたずらに入学選抜制度を外延的に拡大することにより、入学希望者の中で安易な将来的希望が醸成されることを避ける必要があること
 ウ、 本学在校生については、学部の演習等の担当教員により大学院進学の可能性について個別に説明が可能であり、情報不足による学生の諦め行動は防止可能と考えられること

B 門戸開放
 他大学出身者の本研究科への志願・合格・入学状況は本項「@学生募集方法、入学者選抜方法」に掲げた表のとおりであり、年度によりバラツキはあるものの、本研究科では、他大学の学部出身者を受け入れている。
 「大学院学則」第45条(「特別聴講学生」)、同第46条(「特別研究学生」)に基づき、他の大学院の学生を受け入れることは制度として可能である。しかし、現在までのところ、本研究科には他の大学院の学生を受け入れた実績はない。

C 社会人の受け入れ
 本研究科設置以来の社会人選抜による入学者の状況は次のとおりである。
区   分
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
社 会 人(人)
15
11
13
9
3
4
55
入学者総数(人)
26
21
26
17
14
9
113
社会人比率(%)
57.7
52.4
50.0
52.9
21.4
44.4
48.7

D 科目等履修生、研究生等
 「大学院学則」第47条(「科目等履修生」)、同48条(「研究生」)、同49条(「委託研究生」)に基づき、研究科会の議を経て、科目等履修生及び研究生等を受け入れることができることとなっている。現在までの実績としては、2003年度より、1名の研究生(国籍:中国)を受け入れている。

E 外国人留学生の受け入れ
 本研究科設置以来の留学生の入学状況は次のとおりである。なお、留学生の国籍はすべて中国である。
区   分
1998
1999
2000
2001
2002
2003
合 計
留 学 生(人)
1
1
2
0
2
4
10
入学者総数(人)
26
21
26
17
14
9
113
留学生比率(%)
3.8
4.8
7.7
0.0
14.3
44.4
8.8

F 定員管理
 本研究科の収容定員は40名であり、下表に示すとおり、現在までのところ、収容定員は確保できている。
区   分
1998
1999
2000
2001
2002
2003
収容定員(人)
20
40
40
40
40
40
在籍者(人)
26
47
59
58
48
40
在籍者比率(%)
130.0
117.5
147.5
145.0
120.0
100.0
(注1) 在籍者数は毎年5月1日現在。
(注2) 1998年度は設置初年度のため収容定員は1学年のみの20名とした。

【点検・評価】
 年度途中での入学は、カリキュラム、特に修士論文の指導を行う演習科目の運営上、入学者にとって不利となるため、今後とも現行どおり毎年度4月入学とせざるを得ない。入学者選抜試験の受験機会を年2回としているが、以下の理由により妥当であると考えている。
 ア、 有職者の中には、職場の了解を得易くするとともに就学環境を整えるため、一定の準備期間が必要な者もおり、9月受験4月入学で6ヶ月間の準備期間が確保できること
 イ、 本研究科は、企業・行政等の実務現場で中核的な役割を担える人材の養成を教育目標としていることから、実務現場での経験を有する社会人に積極的に門戸を開くことは合目的的であること
 ウ、 一般選抜試験の受験者の中には、就職と進学の2つの方途を考えている者も多く、就職活動が一旦終息する2月にも選抜試験を行う方が一時期に一目標に専念でき、学生にとって有利と考えられること
 他大学の学部卒業生、社会人、並びに外国人留学生の受け入れ状況についてみると、現在までのところ、本研究科の入学者選抜方法には特段の支障はないものと考えられる。
 しかし、定員管理については、現在までのところ、収容定員40名を確保できているものの、2001年以降、入学志願者が入学定員の20名を下回る状況が続いており、一般選抜、社会人選抜とも志願者数の減少がみられ、一時的に募集停止している領域が存在すること、県内他大学にも大学院が新設されたこと、そして、景気動向が低迷していることの影響はあるものの、本研究科の理念・目的・教育目標を今後とも全うするためには、入学志願者の増加を図るための方策を検討する必要が生じている。

【改善・改革方策】
 本研究科の教育研究のための人的体制については、第1章第3節第2項で記したように、2004年度から商経学部の改組が行われることに伴う本研究科の改革動向にもよるが、当面の処置として、次の方策を検討している。
ア、 本研究科の理念・目的・教育目標について、地域社会や地元産業界への周知・徹底を従前にも増して行う
イ、 一時募集停止を行っている領域の募集が再開できるよう、担当教員の充足を行う。「日本的経営」領域については、指導教員の研修終了に伴い2003年度より募集を再開している。「地域流通」領域については、2002年度に博士号の学位を有する教員を商経学部で採用しており、第6章第3節第2項で述べる本研究科担当教員の資格要件を満たし次第募集を再開する
ウ、 社会人の入学志望阻害要因となっている、雇用上の制約や当人の経済的負担を軽減するため、本研究科への入学が職業能力開発に関わる各種助成制度の適用要件となるよう所要の措置を行う
エ、 推薦選抜制度についても導入を検討するべきであると思慮される。しかし、当該制度については、いたずらに定員確保を狙った導入を行うと本研究科の教育理念が損なわれることが危惧されるため、県内企業等が自社の研修制度の一環として位置づけるのを待って、導入を検討したいと考えている


(3) 法学研究科
@ 学生募集、入学者選抜方法
【現 状】
 本研究科の定員は8人である。学生募集は毎年2回(9月と2月)入学者選抜試験を実施して行っている。現在は3つの選抜方法をおこなっている。1つ目は推薦選抜、2つ目は一般選抜、3つ目は特別選抜である。一般選抜では「外国語」、「専門科目」、「面接」を課しているが、他の2選抜では「外国語」は課していない。その理由として、次のことが考えられる。@外国語能力は専門科目の試験問題を工夫することによっても測定可能であること。A高度な専門的職業人の養成という観点からは、いたずらに外国語能力を求めるよりも、現場の実務に密着した専門性の深化に連動した能力の有無を基準にすることがベターであること。なお、面接は、その領域に関係なく全教員で行っている。それはより多面的な評価が可能と考えられるからである。
 ちなみに、2003(平成15)年度の志願者、入学者数は次のとおりである。
大学院法学研究科
 法律学専攻
志願者総数
11(他大学出身者数 4)
入学者数
9(他大学出身者数 2)
 入学者数を領域別に見ると  
公法・基礎法領域
2(他大学出身者数 1)
民・刑事法領域
7(他大学出身者数 1)

【点検・評価】
 今年2月に初めて入学試験を実施したばかりなので、その点検・評価についてはなんともいえない。

【改善・改革方策】
 しばらく推移を見てから改善・改革を考える。

A 推薦選抜制度
【現 状】
 本研究科では当初から推薦選抜制度の導入を考慮していた。その根拠として、@優秀な卒業見込みの学生については演習担当の指導教授の推薦書、A意欲のある有職者(社会人)についてはその職場の上司の推薦書を出させることにより、外国語を免除し、大学院への進学意欲を高めさせることにあった。

【点検・評価】
 推薦選抜制度の導入は、予想以上の効果をもたらした。同制度の利用者は2人おり、そのうち2人が合格した。同制度は、潜在的進学希望者の意欲を一層かきたて、高度な専門的職業人の養成を目的とする本研究科の理念と一致したものである。

【改善・改革方策】
 推薦選抜制度は今後も継続していくつもりである。数年後もし不都合なことが発見された場合には、そのときに改善・改革をするつもりである。

B 門戸開放
【現 状】
 他大学出身者の本研究科への志願・入学状況は次のとおりである。
志願者総数(人)
 11
他大学出身志願者(人)
 4 
他大学出身入学者(人)
 2
他大学出身入学者の比率
 22% 
 上に見たように本研究科では、他大学の出身者にも門戸を開放している。

【点検・評価】
 本研究科では今年初めて入学試験を実施したのであるが、上に見たように、他大学出身者に対しても本学出身者に対すると同様、公平・公正に対処し、門戸を開放している。

【改善・改革方策】
 本研究科は他大学出身者にも門戸開放しているが、将来は他の大学院の学生や特別聴講生(大学院学則45条)、特別研究生(同46条)にも門戸解放すべきであろう。

C 社会人(有職者を含む)の受け入れ
【現 状】
 本年度(2003年)の社会人入学者数やその比率は次のとおりである。
入学者総数(人)
 9
社 会 人(人)
 5
社会人比率
 55%

【点検・評価】
 上に見たように、社会人の受け入れについては万全を期している。

【改善・改革方策】
 今年初めて入学試験により社会人を受け入れたばかりなので、今の段階ではその必要は特にない。

D 定員管理
【現 状】
 本研究科の定員は8人である。これに対し入学者は9人である。

【点検・評価】
 1人は定員オーバーだが別に問題はない。

【改善・改革方策】
 今後も欠員が生じないように、魅力ある研究科を作るよう努力したい。