第8章 施設・設備等
第1節 大学における施設・設備等
(1) 施設の設備等の整備
【現 状】
@ 整備状況とその適切性
本学は沖縄本島中部地区宜野湾市に位置し、近隣には琉球大学、沖縄キリスト教短期大学があり、中部文教地区を形成している。また西隣には米軍普天間飛行場に隣接している。本学の校地面積は157,404.58uあり、教学施設が集中して配置されている宜野湾本校キャンパス(以下「本校キャンパス」という)に112,487uと、校外施設として本島北部東村平良地区に東村セミナーハウス用地44,917.58uがある。校地面積については平成8年度にセミナーハウス用地及び本校隣接地に学生駐車場用地を取得以後増加はない。本校キャンパス内には、主として校舎等を配した校舎敷地(50,074u)、屋外運動場敷地(36,205u)、体育施設敷地(5,309u)、課外活動敷地(5,621u)、その他駐車場等の用地(15,278u)から構成されており、すべて自己所有である。これらの校地はすべて大学院と共用している。
校舎施設は本校キャンパスに12棟(別館を含む)の建物があり、主として教室施設を配置した、@3号館(鉄筋コンクリート3階建、3,566.15u)、A3号館別館(300人収容の大教室棟平屋建て545.60u)、B5号館(教室・研究棟鉄筋コンクリート6階建12,085.61u)には1階中部にコミュニティホール、両翼にコンピュータを中心とした実習室及び自習室、2階には48名収容可能なLLシステム3教室、3階には演習室を主とし、一般講義室、4階から6階には各学部専用部長室、会議室、専任教員研究室(個室21.61u)並びに共同研究室を配置し、C9号館(教室・研究棟、鉄筋コンクリート6階建4,054,18u)には1階に学生サービス部門、学生部事務室、医務室、学生相談コーナー等、2階〜4階には演習室・一般講義室、5、6階には研究室を配置し、D7号館(鉄筋コンクリート3階建1,523.45u)には、教室並びに中講堂を配置し、E2号館(大学院・研究所棟地下1階、地上3階建、2,700.71u)には、大学院の演習室、講義室、自習室並びに法学部、商経学部、総合文化学部の3学部各々が附置する3研究所を配置し、F1998(平成10)年10月に竣工した新図書館12号館(鉄筋コンクリート・一部鉄骨造り地下2階、地上4階10,096.46u)、そして、G平成15年3月に竣工した各種イベント等に使用可能な講堂兼体育館6号館(鉄筋コンクリート造り、地下1階、地上3階建4,585.08u)がある。
また、H学生の課外活動施設としての課外活動棟8号館(鉄筋コンクリート造地上3階建2,830.42u)、Iその倉庫としての平屋建(鉄筋コンクリート90.6u)、J学生・教職員・卒業生のための厚生施設、書店、売店、喫茶、食堂、多目的ホール、宿泊施設を有した厚生会館10号館(鉄筋コンクリート造3階建2,344.39u)、また、K学長・理事長室・事務室等を配した管理部門としての「本館」1号館(鉄筋コンクリート造3階建1,641.85u)等が本校キャンパスに立地している。
既に述べたように、本島北部東村校地には、セミナーハウス(13号館セミナー棟950.54u、宿泊棟444.83u)がある。
教学施設のうち、教室については、収容人数300人以上500人未満収容の大講義室が3室、200人収容の講義室が4室、150人収容の講義室が10室、100人〜120人収容の講義室が8室、70人〜90人収容の講義室が10室、50人収容の講義室が5室あり、演習室はこれを集中的に配置した5号館を中心に9号館と合わせて17室が設けられている。
このほか実験・実習室として生物実験室1室、コンピュータ教室4室、コンピュータ演習室1室、コンピュータ研修室1室、また平成15年9月末竣工予定の心理相談・実験・実習室、同じく9月末竣工予定のLL語学システムを改装したCALLシステム(48人収容教室が3室、教材制作室1室、語学自主学習のための語学ライブラリー室1室)などがある。
前述の講堂兼体育館6号館の1階メインフロアは1,800席の収容能力があり、入学式、卒業式等の行事に使用され、明るく開放的なバリアフリーを指向した施設である。またこのメインフロアは、バスケットコート、ハンドボール、バドミントン、バレーボール等のスポーツ施設として利用され、地域にも開放されている。さらに、2階にはサブフロア、講義室、教員室等が配置され、多目的に利用できる施設となっている。地下には空手道、柔道場、剣道場、トレーニング場、シャワー室等が配置され、一般授業はもちろん、課外活動・キャンパスライフをより充実させる施設・設備としても供されている。
講堂兼体育館と隣接して夜間照明塔を備えた400m陸上競技場、テニスコート4面、野球場(合計敷地面積36,205u)がある。これらの施設は、大学、大学院と共用し、正課の体育授業科目、課外活動等で利用されている。また、文部科学省がすすめる教育施設の地域開放の一環として、本学の教室、体育館、陸上競技場、野球場等は学外者に広く活用されている。
5号館のすべての教室には、衛星放送が受信可能なテレビモニター及びビデオデッキ等が設置され、150名階段教室6教室ではコンピュータを活用した本格的AV設備の使用が可能である。
AV機器の配備の現状は以下のとおりである。
講義室(教室)・演習室の主たる機器備品 |
@ TVモニター |
107台 |
A ビデオデッキ |
56台 |
B カセットデッキ |
33台 |
C プロジェクター |
11台 |
D OHP |
19台 |
専任教員研究室については、5号館の4階、5階、6階を中心に個室90室、共同研究室14室、9号館に33室、2号館に個室3室、共同研究室2室があり、個室の合計は126室(2,587.36u個室平均面積20.53u)、共同研究室16室、専有面積617.26u(一室平均38.57u)が設けられている。
A 情報処理機器などの配備状況
教育用機器コンピュータなどの配備の現状は下記のとおりである。
情報処理関連機器の現状
情報機器名 |
T |
U |
V |
W |
X |
計 |
備 考 |
教室等 |
教 員
研究室 |
事務室 |
対 面
朗読室 |
大学院
自習室 |
図書館
3 階 |
リース |
備 品 |
1 |
コンピュータ |
250 |
124 |
125 |
5 |
7 |
19 |
530 |
510 |
20 |
2 |
プリンタ |
55 |
119 |
42 |
|
3 |
2 |
221 |
218 |
3 |
3 |
スキャナ |
12 |
|
|
|
2 |
|
14 |
11 |
3 |
4 |
ビデオデッキ |
6 |
|
|
|
4 |
|
10 |
|
10 |
5 |
液晶プロジェクター |
4 |
|
|
|
|
|
4 |
4 |
|
6 |
ノンリニアビデオ
編集装置 |
1 |
|
|
|
|
|
1 |
1 |
|
7 |
点字プリンター |
|
|
|
1 |
|
|
1 |
|
1 |
8 |
点字出力装置 |
|
|
|
1 |
|
|
1 |
|
1 |
9 |
音声合成装置 |
|
|
|
1 |
|
|
1 |
|
1 |
10 |
音声出力用ソフト |
|
|
|
1 |
|
|
1 |
|
1 |
11 |
視覚障害者用
ワープロソフト |
|
|
|
1 |
|
|
1 |
|
1 |
12 |
TVモニター |
|
|
|
|
4 |
|
4 |
|
4 |
計 |
328 |
243 |
167 |
10 |
20 |
21 |
789 |
744 |
45 |
(注) |
T:コンピュータ教室・情報演習室・研修室の主なる情報関連機器備品 |
|
U:教員研究室・事務室に配置されている主な情報関連機器備品 |
|
V:視覚障害者施設(対面朗読室)の主なOA機器備品 |
|
W:大学院自習室に配置されている主な情報関連機器備品 |
|
X:図書館3階パソコンコーナーに配置されている情報関連機器備品 |
このうち教育用情報処理機器はデスクトップ型が250台、搭載されているOSソフトはWindows2000が137台、WindowsNTが113台でありいずれも学内LANに接続しており、インターネットへのアクセスが可能である。これらのPCは、5号館1階にコンピュータ専用教室として4教室(5-112、5-113、5-117、5-118教室)に配備され、主として情報処理関連授業に利用されるほか、演習にも活用されている。また5-109コンピュータ演習室は一般演習にも活用されている。5-114研修室では学生へのPC研修のほか、教材の作成、教職員へのPC研修の場として使用されている。これらの専用教室は、授業の空き時間帯には、学生に開放されている。
【点検・評価】
本学の校地・校舎を大学設置基準に照らしてみると校舎面積(36,214u)は、設置基準上必要な面積19,197uを充足しており、校地面積112,487uも設置基準上必要とされる校地面積50,620uを満たしている。教室など教学施設では、演習、情報を中核とする少人数、情報教育を実現するために演習室や情報教室の確保が実現されている。さらに情報教育や外国語教育のためのコンピュータ等の情報機器やLL機器、演習室へのAV機器などの設置も実現している。また、本学は昭和60年代はじめから基地周辺整備法に基づく教育施設騒音防止対策事業として国の補助を受け、各施設へ防音及び除湿冷房装置が設置され、教学環境は著しく向上した。
しかしながら、本学における度重なる改組転換の結果、新学科の増設により、学生と教員が増加し、授業科目の再編に伴う諸施設・設備の不足をきたすこととなった。
【改善・改革方策】
本学では、現在、度重なる改組転換の結果による新学科の増設、それに伴う学生と教員の増加、授業科目の再編に伴う諸施設・設備の「不足状況」が続く中、引き続き平成15年度に届出予定の、新たな改組転換による学生及び教員の増、授業科目の再編に伴う新たな施設不足が予想されるため、学長・理事長を中心とした全学的組織からなる、仮称「施設・設備改善検討委員会」なるものを設置し、早急に対応しなければならないと考える。とりわけ情報処理実習室、福祉、介護、心理関係の実験・実習室、演習室、一般講義室、さらに専任教員研究室(個室)及び共同研究室の増設は焦眉の急である。一方、平成15年度後期から使用予定で、現在5号館内の既存LL施設を改装し、コンピュータを活用した外国語教育CALLシステム(48台×3教室)の導入工事を行っているところである。また、7号館内においては、同じく平成15年度後期から開設・相談開始予定の、心理相談室を整備中である。
情報処理機器等に対する教育上のニーズが一層高まる状況にあって、こうしたニーズに対応するため、2003年に改善可能な方策として、現在、@インターネット接続環境の高速化、Awwwサーバーホスティング、
B新グループウエアの導入、学生用ファイルサーバーの増設、C学生自習用PC環境の整備、D情報コンセントの拡大活用、E5号館ロビー・図書館PCラウンジでの無線LAN化、Fe-learning導入の検証等改善に向けた施策を推進中である。
(2) キャンパス・アメニティ等
【現 状】
@ キャンパス・アメニティの形成・支援のための体制の確立状況
キャンパス・アメニティの意味するところは必ずしも一義的ではないが、これを「大学における環境面での快適さ」、「大学における生活の質」の問題であると捉えれば、キャンパス・アメニティに作用する要因は多様であるが、それらは「キャンパス立地環境要因」と「生活環境要因」に大別できるものと思われる。
本学のキャンパス立地自然環境は何も標榜するものはないが、去る大戦で一目一掃、焼け野原の後、先人達が切り開いたサトウキビ畑の地にわずかに残された樹木(琉球松)や敷地中央を、南北に二分するように東西に走る自然地形の起伏を利用したキャンパス形成が行われた。本学の今日の緑豊かな環境は、地域住民からの献木、卒業生による記念樹、県植樹祭等地域住民と本学教職員、一人ひとりが手に鍬を持ち手作りによる緑の環境作りが行われてきた貴重な緑の環境である。キャンパス中央起伏を利用して作られた中央構内道路を境に校舎群とスポーツ施設群が区分され、道路周辺及び校舎周辺には琉球松、デイゴ、桜、ツツジ、ヤシ、ガジュマル、クロキ、相思樹、月桃、熱帯果樹、モクマオウなどが植栽されている。この緑の環境は、「学生達の憩いの空間」としての機能をはたしている。又大学周辺主要道路に面した境界には、ポケットパークを造り憩える緑の空間を形成し、大学を取り巻く環境に潤いをかもし出している。建物の建築、環境整備工事等による樹木等の伐採を避け、移植等を積極的に行ってきた。また本学の存在は、隣接する米軍普天飛行場と地域住宅地とを区分する、一種、基地騒音吸収材的な役割をも担っている。
生活環境の改善を通じたキャンパス・アメニティの確保では、隣接する基地からの騒音の防止、空調設備の整備など生活環境に関わるハード面での対応のほか、学生相互の交流や学生と教職員の交流を深める場所を改善するため、この20年間に建設された建物については当初から冷房設備を設置してきたところであり、それ以前の建物についても、基地周辺整備法、教育施設等騒音防止対策事業等により基地からの騒音防止のための防音設備や空調設備を施してきた。また学生生活に密接に関連した施設である課外活動棟、厚生会館、講堂兼体育館についても冷房化は完備している。さらに、校舎内外の清掃を徹底することにより快適な環境を維持する努力をしている。管理担当部署では、外部事業者への年間業務委託契約により、各建物へ複数名の清掃員を配置し、教室などについては黒板の清掃、床面のマップ、校舎内外のゴミ等の回収を毎日行っている。特にトイレの清掃等には留意している。なお、校舎内外での喫煙については、これまでに全建物内で禁煙となっている。
A 「学生のための生活の場」の整備状況
大学内における学生の生活の場を、学内の日常生活に必要な場と課外活動に必要な場に大別して、その施設・設備の面での整備の状況を見ると次の通りである。
学生、教職員の福利厚生施設として建設された厚生会館は、校舎群の南方の静かな位置に立地している。1階には書籍、文具、コピーサービス、飲物等の販売コーナー、2階には160席を有する学生食堂が設けられ、3階には学生の合宿、演習、会議等に利用している和室4室(147.39u)と、同フロアには50席を有する喫茶室がある。4階には、学生、教職員、学校行事、卒業生、後援会等が利用する多目的ホール(307.16u)、ラウンジ及び宿泊室4室
がある。厚生会館は、車椅子が利用できるエレベータを備え、全館冷房を施している。
学生の課外活動の場として建設された課外活動棟(サークル棟)は、1階には主として管理関係室、自治会室、展示ロビー、スポーツ系のサークル室11室、共同利用室、シャワー室、暗室、管理人室が設けられている。 2、3階には文化系部室43室、和室、倉庫を配し利便性を考慮している。音楽系のサークル室には防音設備を施し、安心して練習に打ち込めるように配慮した。全室には冷房設備がされている。そのほか、校外施設として、本島北部に沖縄国際大学「東村セミナーハウス」があり、管理室、食堂・ラウンジ(76席)、図書室(16席)、研修室(120席)を備えた鉄筋コンクリート造り地上3階建(950u)のセミナー棟と宿泊、娯楽室を備えた鉄筋コンクリート造り地上2階建ての宿泊棟からなる。宿泊棟には一室8名収容できる部屋が8室があり、64名の学生の宿泊が可能である。屋外施設としては、テニスコート2面、多目的小グラウンドを有している。
これらの校外施設はクラブ活動の合宿や正規授業の演習の合宿に利用されている。その際の交通手段は、要請により本学マイクロバスを運行している。
B 大学周辺の「環境」への配慮の状況
大学の緑に恵まれた自然環境は、大学に隣接する保育園、幼稚園の園児、周辺住民の散策や憩いの場としても活用されている。また基地からの騒音や自動車騒音、排気ガスによる周辺住民への被害を緩和する役割を果たしているものと考える。一方、沖縄は、本土他府県とは異なり、鉄道軌道がほとんど無く、もっぱら車両に頼っているのが現状である。本学の学生もほとんどが車を利用している。本年5月に構内駐車場整備計画に基づき、構内の収容力1,208台から1,631台へ収容力の改善をはかったが、構内駐車スペースはまだ十分ではなく、学生の車、オートバイが近隣道路脇、住宅、スーパーやコンビニ前に違法駐車し、周辺住民にも迷惑を及ぼしている。こうした状況に対して、違法駐車への警告や撤去の方針を強化する一方、近隣に用地を確保するとともに構内の駐車施設を再整備するなどして対応している。
【点検・評価】
以上のように「キャンパス・アメニティの形成」、「学生の生活の場の整備状況」については、概ね妥当なレベルにあるものと考える。しかしながら、大学周辺の「環境」への配慮の状況については、学生の車、オートバイが近隣道路脇、住宅、スーパーやコンビニ等に違法駐車し、周辺住民に多大の迷惑を及ぼしている現状である。
【改善・改革方策】
以上のように、構内環境の保全と生活環境の改善を通じたキャンパス・アメニティの形成等は、施設等を管理する部局(管財課)が担当してきたがキャンパス・アメニティという観点から全学的にこれに取り組む体制は必ずしも確立されているとはいい難い。こうした現状に鑑み、今後は、「省エネルギー」と「環境保全」の立場から学長を中心とした全学的組織を確立し、その取り組みの中で、アメニティの視点に立った具体的な施策を進めていく必要がある。今後、全建物内外においての禁煙の措置、財政事情の許す限り専門業者による樹木等の定期的な点検・管理、また、学生の車による周辺住民への迷惑駐車は、これまでも学生への指導、構内駐車場の再整備等を行ってきたところではあるが、今後も継続して取り組まなければならないと考えている。
(3) 利用上の配慮
【現 状】
障害者に対応した施設として、全ての教室棟、図書館及び講堂兼体育館には、車椅子の収容が可能なエレベータを設置し、視覚障害者のための必要なところには点字表示も施してある。さらにキャンパス全体に点字ブロックが敷設されている。5号館内1階には視覚障害者支援施設として、平成6年度に対面朗読室を開設し、本学では4名の視覚障害者を支援してきた。またこの朗読室では、点字ボランティア学生の育成、点字講習会等に取り組み、点字絵本等を完成させ盲学校図書館に寄贈している。
施設・設備面における障害者への配慮の点については、近年に建設した5号館、9号館、10号館、12号館では当初から建物へのアクセスやトイレ、エレベータ、点字ブロック及び点字表示等を施し障害者に配慮している。また、これらの建物以外の古い建物については、3号館にスロープ2個所、エレベータ、障害者用トイレ3個所、7号館には障害者トイレ1個所、スロープ2個所を設置してきた。
なお本学が統計を取り始めた昭和49年度以降、平成15年度までの障害者(1級〜7級)の在学の状況は、入学者62名、卒業者と退学者を含めて平成15年3月現在までに53名を数え、現在9名の学生が在学している。
【点検・評価】
本学は、このように限定された障害者に対する施設設備等の整備の状況は概ね妥当なレベルにあると考える。
【改善・改革方策】
このように障害者に配慮した環境の整備にこれまでも努力してきたところであるが、その整備水準は必ずしも充分とはいい難い。今後は、聴覚障害者をも含めた、施設・設備面のバリアフリー化を推進しなければならないと考えている。
(4) 組織・管理体制
【現 状】
@ 施設・設備等を維持・管理するための責任体制の確立状況
建物、設備の維持・管理は一部のもの(情報関連設備)を除き、事務局管財課で行っている。管財課には電気主任技術職員(3種)1名と嘱託で二級建築士等の資格をもつ技術系課員1名のほか用度係・管理係の専任職員が配置されている。これらの専任職員、課長ほか5名の専任職員による日常及び定期の建物・設備の点検、保守が行われている。他に建築、電気、衛生、消防設備等の法定点検及び改善・改修等は外部の専門業者に委託している。本学では、1972年の創立以来13棟の建物を有し、これに伴う維持・管理業務の増大に対しては、専任職員の増員によらずに外部専門業者へ業務委託することを基本としている。学外のセミナーハウス施設の維持・管理は管財課が負っているが、日常管理については業務委託を行い常駐の管理人がいる。この施設では、管理人が簡単な修理や保全を行っている。
情報関係施設については、情報関係に一定の技術・知識を有する専任職員と業務を委託した業者で構成する情報センターが対応しており、AV関係設備についても、同様な体制がとられている。これらの維持・管理業務に関しても、施設・設備や機器などの機能の変化が大きいことなどから、外部専門業者への業務委託の増大や派遣職員への依存度が高まっている。
A 施設・設備の衛生・安全を確保するためのシステムの整備状況
衛生確保の点では、専任職員により週1回の簡易水道法に基づく水道水の残留塩素試験を行い、また簡易水道法に基づく法定点検検査等の業務を専門業者に業務委託を行っている。さらに、貯水タンクの清掃、校舎内外の清掃、ごみ回収を外部業者に委託している。
防災については、台風、集中豪雨、地震などの自然災害に対して、保全体制が確立されている。また防火設備については、構内自動火災報知システムを構築し、発火地点や火災通報個所を一元的に確認できる体制がとられている。
防犯については、校内・校舎への侵入者のチエックが難しいこともあり、その対策に配慮している。図書館における盗難対策として入館管理システムの導入、コイン式ロッカーを設置するなどし、学生には貴重品の自己管理を指導している。不審者対策として、校内を警備会社による常駐警備のほか、専任職員が日常的に点検している。本学には、二部学生もおり、校外駐車場に照明及び防犯灯を設置し、併せて校内でも大型夜間照明等を設置している。
【点検・評価】
このように本学においては、施設・設備等の維持管理のために一定の資格や技術・知識を有する専任職員を相当数配置し、異常が判明すれば速やかに対応することができるなど、現在までのところ大きな支障は起きていない。また本学における衛生・安全の確保の取り組みは概ね妥当なレベルにあると考える。防災防火活動については、全教職員に消防訓練を義務づけているが、教育職と事務職の連携が思うように図れず部署単位の防火訓練のみにとどまっている。
【改善・改革方策】
施設設備の維持管理並びに衛生・安全の確保については、今後ますます外部への業務委託の依存度が高まることが予想される。それに伴って、委託業者を組入れた管理体制を構築していくには、専門的な技術、知識に裏づけられた管理能力の向上が求められる。今後は職員の能力向上策を図るとともに、地域行政機関との連携、構内防災システムの再構築と機器の更新を図ることとしている。
第2節 学部における施設・設備等
(1) 法学部
【現 状】
法学部におけるその教育研究目的の実現のための施設・設備等に関しては、教員研究室、司法研究室、法学部資料室及び各教員研究室があり、それぞれにパソコンが配置されている。全学部で共用する施設・設備等の規模別講義室及び演習室の使用状況については、大学基礎データの表40がこれを明らかにするところである。法学部においては、収容人員1名から30名の少人数教育用の教室の使用教室数が12、その使用度数は37で、これは法学部における総授業時数86の43%の使用率を占めている。次に教室の使用率が高いのは、収容人員101名から150名の教室であり、使用教室数が7、その使用度数は27で、総授業時数86の31%の使用率を占めており、法学部における授業は、実にそのほとんどがこれら二つの収容規模の教室に集中していることが理解できるであろう。
比較的収容人員の多い教室、たとえば、収容人員151名から200名の教室の使用教室数は5、その使用度数は5で、総授業時数86の6%、また、収容人員201名から300名の教室の使用教室数は1、その使用度数は2で、総授業時数86の2%、収容人員301名から500名の教室に至っては、その使用教室数が1で、使用度数はわずか1であり、これは総授業時数86のたった1%の使用率しか占めておらず、このことは、法学部における授業が、収容規模150人以下の教室で通常行なわれているという状況を物語っている。
法学部の専門科目や演習のための予習、あるいは語学科目の予習などのために利用されているのが学生自習室であり、大学基礎デ一タの表37にも明らかなように、学生自習室は全部で4室が用意されている。しかし、学生総数4,428名で、収容人員が66名の学生自習室が4室では、若干、学生自習室が不足しているとの印象は避けられないであろう。目下のところ、このような学生自習室の不足を補うために学生に利用されているのが図書館であり、沖縄県内でも最高級の学習用設備を利用して、在学生のみならず、卒業生や他大学の学生までもが、授業のための勉強や公務員試験、及び各種資格試験などの勉強のために利用している。なお、情報処理学習施設については、大学基礎データの表38が示すように、室数は全部で6室あり、法学部の学生も連日、多数の者が施設の利用及び情報処理技術の修得に励んでいる。
【点検・評価】
法学部における教育研究目的を実現するための施設・設備等の整備状況については、大学基礎デ一タの表40が示しているように、収容人員1名から30名の少人数クラスの12教室の使用度数が37度にも及び、これが総授業時数86の半分近くの43%を占めていることをみれば、法学部において、少人数クラスによる教育の徹底がはかられ、きめ細かい法学教育をなすための努力が払われているものと評価できるであろう。同表40によれば、さらに、法学部における授業のほとんどが、収容人員150名以下のいわゆる中規模以下の教室で行なわれている事実を示している。すなわち、以上の事実は、学生に不便・不利益を与えかねないマスプロ教育の回避に法学部がある程度成功し、かつ、法学部において、有為の人材を育成するために多年にわたり、多人数の授業を避けることに努力してきたことを明示するものであろう。
【改善・改革方策】
これまで法学部においては、少人数教育の実現とその徹底に力を注いできたが、同じく大学基礎データの表40からも明らかなように、収容人員201名から300名、及び収容人員301名から500名の多人数用の教室を使用した授業がわずかながら存在しており、これらの授業は、学生における利便性や快適性を考えるとき、早急に2クラスないし3クラスヘの分割等の手段を講じなければならない。
大学基礎データの表37が示すように、学生総数が4,428名であるにも拘らず、共用の学生自習室が4室しかなく、この点を改善するためには、たとえば、学部の共同研究室を再利用するとか、あるいは今後建設を検討している新学舎に設置するとかの方策が考えられる。また民事・刑事訴訟法の学習の促進・確認のためにも、さらに近い将来わが国に導入が予定されている裁判員制度の理解を深めるためにも、早急に学内に「法廷」施設を建設すべきであろう。
(2) 商経学部
【現 状】
本学部における教育研究目的の施設・設備としては、各教員の研究室と、各学科の共同研究室あるいは資料室が1室ずつあり、それぞれにパソコンが配置されている。全学部で共用する施設・設備等の規模別講義室及び演習室の使用状況については、大学基礎データの表40に記載されている。
本学部第一部では、収容人員1名から30名の少数教育用の教室の使用教室数が17、その使用度数は60で、これは本学部第一部の総授業時数173の35%の使用率となっている。次に教室の使用率が高いのは、収容人員121名から150名の教室であり、使用教室数が10、その使用度数は47で、その使用率は27%となっている。本学部第一部の授業は、その60%以上がこれら二つの収容規模の教室で行われてる。他方、収容人員151名以上の教室の使用教室数は7、その使用度数は16で、使用率は10%である。
本学部第二部では、収容人員1名から30名の少数教育用の教室の使用教室数が14、その使用度数は34で、これは本学部第二部の総授業時数121の28%の使用率となっている。次に教室の使用率が高いのは、収容人員101名から150名の教室であり、使用教室数が9、その使用度数は31で、その使用率は26%となっている。本学部第二部の授業は、その50%以上がこれら二つの収容規模の教室で行われている。他方、収容人員151名以上の教室の使用教室数は5、その使用度数は9で、使用率は8%である。
第一部、第二部とも、基礎演習、演習T及び演習Uは、収容人員1〜30人の教室を使用している。また、講義室等の収容人員別に履修者数・開講クラス数を整理(2002年度実績)すると、次表に示すとおり、講義や演習の80%を収容人員150名以下の教室を使用して開講しており、収容定員150名の教室を使用している場合であっても、履修者数は100名未満である。
【第一部】
収容人員 |
履修者数(a) |
開講クラス数(b) |
(a)/(b) |
1〜 30 |
1,133 |
58 |
19.5 |
31〜 50 |
1,576 |
31 |
50.8 |
51〜 60 |
687 |
19 |
26.2 |
61〜 70 |
218 |
8 |
27.3 |
71〜 90 |
206 |
4 |
51.5 |
91〜100 |
1,923 |
32 |
60.1 |
101〜120 |
162 |
2 |
81.0 |
121〜150 |
8,183 |
88 |
93.0 |
151〜200 |
2,024 |
21 |
96.4 |
201〜300 |
936 |
5 |
187.2 |
301〜500 |
503 |
2 |
251.5 |
計 |
17,551 |
270 |
65.0 |
【第二部】
収容人員 |
履修者数(a) |
開講クラス数(b) |
(a)/(b) |
1〜 30 |
689 |
40 |
17.2 |
31〜 50 |
687 |
17 |
40.4 |
51〜 60 |
604 |
20 |
30.2 |
61〜 70 |
334 |
11 |
30.4 |
71〜 90 |
370 |
10 |
37.0 |
91〜100 |
1,271 |
28 |
45.4 |
101〜150 |
4,663 |
64 |
72.9 |
151〜200 |
952 |
13 |
73.2 |
201〜300 |
705 |
4 |
176.3 |
301〜500 |
449 |
2 |
224.5 |
計 |
10,724 |
209 |
51.3 |
情報処理学習施設は全学共通使用の施設であり、大学基礎データの表38に記載されているとおり、室数は全6室であり、2003年度に全学合わせて延べ140の講義・演習等で使用された。このうち本学部の専門科目に関わるものは116クラスであり、全体の82.9%ととなっている。
学生自習室も全学共通使用の施設であり、大学基礎デ一タの表37に記載されているとおり、室数は全4室である。本学部に在籍する学生の使用状況に関するデータはないが、学生総数4,428名に対して収容人員66名の学生自習室が4室では、学生自習室の不足が危惧される。しかし、本学の図書館内の学習設備を利用することも可能であり、現在までのところ、学生より特段の苦情は出ていない。
【点検・評価】
学生間の理解度の格差を平準化するとともに、理解度の深化を図るためには、少人数教育極めて重要であることは十分認識している。しかし、@全学共通で施設を利用しており他学部との調整が必要であること、A年度やカリキュラムの編成内容によっても履修者数が変動することから、事前に履修者数を予測することが困難であること、等のため、本学部だけがいたずらに最適化することは非現実的である。今後とも、学部内及び他学部との調整を密にしながら、可能な限り少人数教育の実現を図りたいと考えている。
なお、本学部は、2004年度より改組され2学部になるとともに、昼間部のみとなる(第二部も2004年度学生の募集を停止する)ため、昼間部における教室・情報処理学習施設等の使用密度が急速に高まり、改組・新設される2学部の教育課程を運営する上で支障が生じることが懸念される。
【改善・改革方策】
本学の施設・設備は全て全学部共用が基本的な前提であることから、現在、全学的な組織を設け、校舎増築のための基本構想を検討中である。
(3) 総合文化学部
【現 状】
本学部における教育研究目的の施設・設備としては、各教員の研究室と各学科の共同研究室あるいは資料室がある。
日本文化学科は、演習ごとの演習室はなく、国文学科から引き継いだ二つの共同研究室がある。そのうちの一室を人文情報コースの実習室にあてた。実習室には、コンピュータ10台、プリンター3台、スキャナー1台が配備され、人文情報系の演習でデータベースを作成したり、学生の自習に使用されたりしている。その結果、現在学科で自由に使用できる部屋は一つしかない。2年次から4年次までの演習活動は、過去の資料及び報告書の保管、資料の整理、報告書の執筆など、この一室で1年間を通して使用している。
英米言語文化学科では、共同研究室が2室ある。1室は学科の資料保管や教員の共同利用に使用されている。もう1室は、主に英語科教育法を受講している学生の準備室として利用されている。その他、共通英語と専門のコミュニケーションの授業において使用するLL教室があるが、この施設は、全学共通であり、その詳細については本章第1節(1)
「施設の設備等の整備」に記載されている。
社会文化学科は、設立当初の1974年から、演習ごとに実習を行い、その報告書を出版することが教育の特色であり、いまやそれが伝統となっている。実習を伴なうことで、実験系としての性格が強い学科であり、実習のために必要不可欠な共同研究室を確保してきた。現在は、南島考古学、南島民俗学とアジア文化共用、平和学と都市社会学共用の3部屋を確保している。2年次から4年次まで、この共同研究室を中心に実質的な演習活動が行なわれる。過去の資料及び報告書の保管、実習の事前準備、実習後の資料整理、報告書執筆とそれに伴う演習受講者間の議論など、1年間を通して使用され、学生は勿論のこと、教員も平日はもとより、土・日や休暇中も共同研究室利用して教育活動・学生指導をおこなっている。
人間福祉学科には、現在のところ学科の共同研究室が1室あり、学生が演習の実習や報告書作成のために使用している。また、社会福祉実習指導室が1室確保されており、そこには助手が2名配置され、社会福祉援助技術現場実習指導に関する準備、実習派遣、実習施設との連絡等を行なっている。
【点検・評価】
日本文化学科の人文情報コース実習室は、授業だけでなく、学生の自習用として毎日夜11時まで利用できる。利用率は高く、有効に利用されている。ただし、学科の共同研究室が1室になり、学科の資料や演習報告書などの保管場所が不足している。
多くの大学で、リスニングに加え、読解力や文法力、ライティング力の向上を目的とするCALL教室が導入されてきている。本学LL教室の設備は、1992年に導入した機器であり、やや遅れをとっている。
現在の共同研究室は、決して「資料の保管場所」でも「学生の集会場」でもなく、2年次以降の演習運営にとって必要不可欠な場所である。しかしながら、2001年度の学科改組によって新設された南島歴史学と環境学の2つの演習には共同研究室が確保されておらず、演習担当者及び現在3年次までいる演習生は、演習運営にとって不利益を被っている。
人間福祉学科を構成する社会福祉専攻と心理カウンセリング専攻における教育は、いずれも将来人間を直接対象とする専門家の養成が前提となっている。これらの両専門分野においては、講義による学習のほかに、演習や実習、実験や現場における配属実習等を含めた体験的な学習内容を必要とする領域である。これらの実践的な学習は直接人間を対象としていることからも、周到な準備と適切な指導、さらに効果的な学習を可能とする学習環境が必要である。人間福祉学科が設置され実践的な学習も開始されているが、現状では一般の演習室や共同学習室などを利用しながら行っているのが現状である。
【改善・改革方策】
人間福祉学科の新設に伴って、教員増及び福祉・心理関係の共同研究室、実験室等の新設が必要となる。しかしながら、現在のところ施設にまったくの余裕がないため、これらの施設は不足した状態である。そこで、不足している教員研究室、共同研究室、実験室等を含めた新たな施設の新設が検討されている。具体的には、2003年6月に理事長諮問による「13号館建設準備委員会」の設置が予定され、常務を中心に新しい教育施設の建設計画が検討されることになっている。
LL教室の設備は、2003年10月に新たなCALLシステムを導入し、新たな機器に一新する。
心理学については、心理相談室、心理実験室、プレイルームを2003年10月に設置し、新設した心理カウンセリング専攻の授業でも利用することになっている。
第3節 大学院における施設・設備等
大学院の施設・設備等の整備
【現 状】
本学大学院には、専用の建物はないが、大学院専用の演習室・自習室・事務室・講義室は、学部が附置する研究所と共用で使用している2号館(大学院・研究所棟)建物内へ配置している。その中で大学院関連施設は、演習室・講義室・自習室等で26室(1,216.61u)あり、うち8室(449.61u)は学部との共用である。
大学院生用の専用施設は18室(724.43u)あり、演習室2室、講義室3室、共同研究室2室、自習室2室、研究指導室2室、資料室3室、研究科長室3室、事務室がある。付帯設備として机、椅子、ロッカーのほか、TVモニター、ビデオデッキ4台が配備され、共同研究室(2室)には学内LANに接続されたパソコンが各々5台、計10台が配置されている。なお、これらの施設・設備の内、本大学院を構成する地域文化研究科、地域産業研究科、法学研究科個々の専用施設は、各研究科の科長室のみで、その他の施設・設備は3研究科の共用施設として運用され、また、大学院の授業に利用するAV教室、コンピュータ教室等は、学部との共用により運用している。
2003年4月に開設した地域文化研究科人間福祉専攻においては、教育研究目的を実現するための各種実験関係の施設・設備が必要であるが、現状では未整備の状況である。
これらの施設・設備の維持・管理は、管財課が行い、情報関連施設については、情報センターが維持・管理を行っている。なお本大学院では、実験等に伴う危険を懸念すべき施設・設備はない。
【点検・評価】
本学大学院の施設面積は1,216.61uであり、大学院設置基準上必要な校舎面積の720uを上回っているが、ほとんどの施設設備は、3研究科の共有となっており十分とは言いがたい。しかし現時点では、大学院の収容定員が102名という比較的小規模であること、また学部等の施設・設備を十分に利用できることなどから、大学院の運営に特別な支障は生じていない。しかし、一部の院生からは、専攻毎あるいは領域毎の専用教室、資料室等の設置の要望がある。
【改善・改革方策】
教育研究環境については、当分の間大学全体の財政状況や大学院生数に配慮しつつ施設・設備の整備を図っていく。その改善策の一つとして、年々高度化される情報処理機器等と、学内無線LAN設備については、大学院専用として、平成15年度内に整備する予定である。
また、地域文化研究科人間福祉専攻の心理相談室については、平成15年度中に開設し、その他実験関係の施設・設備については、完成年度の平成16年度までには整備する予定である。
(1) 地域文化研究科
【現 状】
本大学院の研究棟(2号館)の中に、研究科長室、講義室、演習室、研究科生共同の研究室(資料室)などが本研究科独自の占有施設として確保されている。また、図書館内の個室ブースの使用について大学院生を優先する措置を講じている。
【点検・評価】
講義室、演習室の使用については、現在までのところ、支障なく回転していると言える。研究科生共同研究室(資料室)は密閉された感じがあり、息苦しいとの院生の不満があり、可能なら窓をつけるなりの改善が必要である。また、院生が増えるにつれて、現在の資料室では手狭となり、院生からは、領域単位で無理ならせめて専攻単位の専用教室・専用資料室の要望が強く出ている。
【改善・改革方策】
大学院生の談話室を含め、よりよい教育・研究の環境の整備に努力すべきであるが、大学院生だけ特別待遇するわけにも行かないので、大学全体の財政状況を考慮して、当分の間は学生数に見合う施設・設備の改善を図るのが妥当である。
特に、本研究科に人間福祉専攻が2003年度に開設され、その一領域である臨床心理学領域では心理相談室を含め各種実験関係の施設・設備が必要となることであろう。目下検討中の13号館の早期実現を期待している。
(2) 地域産業研究科
【現 状】
本大学院の施設として大学院研究棟があり、講義室、指導室、学生研究室等、本研究科独自の占有施設を確保している。図書等については、本学図書館や産業総合研究所を活用させている。本研究科専用の情報機器も整備しており、すべて学内LANに接続されている。
【点検・評価】
現時点では、講義室、指導室、学生研究室等の使用に特段の支障は生じていない。
【改善・改革方策】
常により良い教育研究環境を提供するのが大学の使命であることは充分認識しているが、大学全体の財政状況にも配慮する必要があることから、なおしばらくの間、大学院の入学者数や在学者数の状況を勘案しながら、施設・設備の改善計画を立案すべきであると考えている。
(3) 法学研究科
【現 状】
本大学院は、大学院研究棟を拠点に、大学全体として共用している部分が多く、平成4年度に完成した新5号館は、コンピュータ教室をはじめ少人数の講義、演習に適した演習室等を備えるなど、学生に充実した修学環境を提供している。法学研究科の自習室及び資料室は、他研究科と共同利用し、それ以外にも図書館内の研究個室も研究用に利用することができる。
【点検・評価】
現時点では、1年次のみなので、施設・設備等については、特に支障は生じてない。
【改善・改革方策】
現時点では、1年次のみなので、施設・設備等については、特に支障は生じてない。
第4節 大学院の情報インフラ
【現 状】
本学大学院の情報インフラは、学内共通LANに大学院学生共同のコンピュータ10台を設置して、全学共通レベルのソフトウェアを導入しインターネット上からの情報収集、文書作成ソフトを用いた論文作成、表計算ソフトを用いたデータ分析、プレゼンテーションソフトを利用したプレゼンテーションスライド作成等に利用されている。しかし、大学院学生にとっては、高度な専門知識の修得や修士論文作成等には、国内外の最新情報や学術資料の収集は欠かせないが、その支援のために大学院学生独自の学術資料の記録・保管のためのデータベースシステムや国内外の他の大学院・大学の図書館等の学術情報・資料の相互利用のための情報検索システムやテレビ会議システム等は現在整備されていない。また、コンテンツやアプリケーションソフトの大学・大学院間の効率的な相互利用を図るための各種データベースのナビゲーション機能も整備されていない。
【点検・評価】
学術資料データベースシステムや他大学院・大学間との学術情報・資料の相互利用システム等の未整備状況は、大学院の情報インフラの整備を、何のために、どのように整備し、どのように管理していくかという大学院情報化のビジョンや方針がなかったことが最大の要因である。そのため、学部共通教育と同レベルの情報インフラの整備しかされてこなかった。
今後は、大学院情報化のビジョンづくりと、それに基づき大学院学生の教育研究活動を支援する視点からの学術情報システムへの利用促進、書誌データベースの構築や管理システム等を検討していく必要がある。
【改善・改革方策】
改善・改革方策としては、まず、早急に大学院学生が学術文献検索データベースを利用できるような環境整備につとめる。それと並行して、大学院情報化のビジョンづくりに取り組み、そのビジョンに基づき大学院の情報インフラの整備を促進する。
具体的構築例として、全学共通のファイルサーバーやWebサーバー等とは別に大学院独自のファイルサーバーやWebサーバー等を導入し、修士論文や大学院紀要等の研究資料を書誌データベースとして構築し、Web上で公開していく。大学院学生らがWEBCATや学術情報システム等にアクセスできるようにする。更に、共同のコンピュータ室以外にも教室内無線LANを整備し、学生自身のパソコンでもこれらの学術情報システムが利用できるような情報インフラ整備を図っていく。