沖縄国際大学 平成16年度 点検・評価報告書

本   章


第9章 図書館及び図書等の資料、学術情報


【現 状】
(1) 図書、図書館の整備
 新図書館は、平成10年3月竣工、10月開館した。
延べ床面積10,096.46u、座席数837席、図書収容可能冊数76万冊の規模で、地上4階、地下2階、塔屋1階からなる。所蔵する資料は平成15年3月31日現在、図書305,466冊、雑誌2,234種、新聞47種、視聴覚資料3,673点、となっている。これらの資料は、貴重図書を除いて殆どが開架方式で利用できる。
 管理運営には、図書館長1名(併任)、専任職員11名、非常勤職員2名、及び派遣職員16名、学生アルバイト6名という陣容で当たっている。事務組織は、図書館長の下、次長、課長、及び管理部門を担当する総務係、資料の調達、管理、受入、整理を担当する整理係、そして、資料を始め図書館の利用指導や相互協力などの図書館サービスを担当する運用係の三係体制をとっている。
 図書館資料の配置は、利用者の動線や資料の特徴を考慮したものになっている。1階と2階に固定書架を設置し利用頻度の高い図書を配架、3階に雑誌と視聴覚資料関係、4階は特別に設置したAVホールや展示ホール及び学習室、地下1階・2階は書庫となっている。各階の具体的な内容は次のとおり。なお、図書の分類は「日本十進分類法新訂9版」による。
  1階の1,717.77uには、参考図書、一般図書の和書3類(社会科学)、新着図書、指定図書を配架し、メインカウンター、閲覧室(座席数155)、対面朗読室、事務室、館長室、会議室、職員厚生室等が設置されている。2階の1,211.06uには、一般図書の和書0類(総記)1類(哲学)2類(歴史)を配架、閲覧室(座席数209)、グループ学習室2室(28席)、カウンター・事務室、研究個室(座席数11席)、沖縄関係資料室等が設置されている。3階の1,282.09uには、雑誌閲覧コーナー(座席数104)、AVリソースコーナー(座席数120)、AV資料室、スタジオ・編集室等が設置されている。4階の1,012.29uには、学習室3室(座席数190)、軽読書コーナー(座席数20)、展示ロビー、AVホール(座席数99)が設置されている。地下1階の1,133.69uは書庫4室が設置されている。書庫1には、一般図書の和書4類(自然科学)から5類(技術・工学)6類(産業)7類(芸術・美術)8類(言語)9類(文学)まで、書庫2には、別置図書(比較的利用頻度の少ない図書)と大学院の修士論文集、書庫3は、バックナンバーの和書・洋書、書庫4は、一般図書の洋書を配架している。地下2階の1,853.27uには、研究個室(座席数10席)、書庫3室(新聞のバックナンバー、研究紀要、製本準備室)、貴重図書室、マイクロ資料室、空調機械室等がある。
 図書館は、本学「図書館規程」第2条の「目的」に定めるように、教育及び研究に必要な資料を収集、整理、保管して、本学の教員、学生及び一般の利用に供している。図書資料を系統的、計画的に収集するために、 図書委員会の議を経て全教員へ選書を依頼する。各教員が図書館に供えるべき資料として、研究に関する専門図書や直接講義に関連する基本図書ならびにバックナンバー図書を選書し、年度始めと年度半ばに2回、図書整備計画書として図書館へ提出する方法をとっている。大学院の講義に関連する図書は各研究科に選定を依頼する。全学共通の分野や参考図書、書誌類などは図書館で選書し整備する。また、学生の希望する図書も図書館として有用なものから整備している。
 図書館利用の促進を図る方策としては、新入生全員を対象に4、5月の早い時期に図書館利用オリエンテーションを実施している。新入生が一日も早く図書館の利用に慣れ、充実した学生生活が送れるように学習支援をするものである。基礎演習担当教員の協力を得て、講義時間1コマを図書館利用の講習にあてている。説明は全図書館員が担当する。
 本学の学生をはじめ図書館利用者の便宜を図るため、平成7年度から開館時間を延長し図書館サービスに努めている。月曜日から金曜日までは2時間延長して9時から23時、土曜日は2時間延長して9時から22時、日曜日は、その年度から新たに開館にふみ切ったもので10時から18時となっている。休暇期間中の月曜日から土曜日は9時から21時で、日曜日は通常と同じの10時から18時である。地域社会にも開放し市民の生涯学習を支援する。他大学学生も利用でき、図書館間の相互利用を促進する。

(2) 学術情報へのアクセス
 図書館システムは、平成5年4月に初代のシステム(LICS-U)を導入し学術情報センターと接続した。平成10年4月に二代目のシステム(CILIUS)を導入し、新図書館開館(平成10年10月)と同時に、OPACを地下2階から地上4階まで18台設置し各フロアで検索できるようにした。また、図書館ホームページを開設し、所蔵情報をインターネットで公開することによって学内のみならず、学外からも書誌や所蔵検索を可能にした。平成15年4月に三代目となるNTTデータのシステム(NALIS)を導入した。新システムでは、多言語や国立情報学研究所の新プロトコルに対応し、書誌や所蔵登録及び所蔵データ管理業務の効率化を図った。さらに、NACSIS-ILLの申請や図書の貸出し予約がオンラインでできるようになった。同時に、図書の自動貸出機も設置するなど利用者サービスの向上に努めた。
 増大する電子化資料に対応したサービスを提供するために、平成13年度に、雑誌記事索引を中心に運用してきたCD-ROMサーバーから、ネットワーク対応のDVD/CD-ROMサーバーへ更新し、学内LANに接続されている全てのPCから書誌情報を検索出来るようにした。
 図書館はニューメディアに対応する施設として整備を進めている。3階AVリソースコーナーでは、CD・LD・DVD・ビデオや海外衛星放送等が視聴でき、パソコンからはインターネットを介しての情報収集が可能であり、レポート作成など情報の処理ができる。またマルチメディア教育を支援する機能として、スタジオ・編集室を設置している。そこでは音声、映像、文字情報などの編集ができ視聴覚教材資料の作成ができる。4階のAVホールには、ILAスーパープロジェクターを設置し、映像資料等を利用した講義の他、講演会、学会、発表会、上映会等で利用される。

【点検・評価】
 館内は、吹き抜け周辺に閲覧空間が広がり地下2階から地上3階まで一体となった構造となっている。閲覧室は開放的で明るく、利用者の動線を重視した各コーナーや資料の配置となっており館内全体が把握しやすい。吹き抜け周辺では、地下2階から地上3階まで殆どのコーナーの位置が確認できる。また、快適な閲覧環境を提供するため様々な工夫がなされている。屋上には庭園を配置し、外壁にはルーバーをめぐらし日射の影響を抑え、1階〜3階までの閲覧室は床冷房を併設する。全館空調設備が施され良好な閲覧環境として利用者に好評である。問題点をあげるとすれば、利用者が殺到した時に話し声や足音などの騒音があることである。
 閲覧席は、資料が配架されている1階から3階まで(AVリソースコーナー含む)に637席常設されている。4階の学習室も含めると837席あり、収容定員(4,856人)に対する座席数の割合が17%となり充分な席数といえる。プライベート重視の個席、研究個室、グループ学習室、及び相席等があり、多様な用途に応えている。その殆どの席に電源コンセントが取り付けてあり、情報化の進展に対応している。豊富な閲覧席と利用形態に応じたバリエーションに富むテーブルの形等、変化のある閲覧空間は利用者に喜ばれている。
 教育課程を構成する科目に関連する図書資料の選書は各教員で行っており、本学の教育研究上必要な資料を系統的に整備する方法として評価できる。学部改革や大学院研究科の設置がなされ開設科目等の関連図書を系統的に整備している。また、全学共通する分野と参考図書、書誌類は図書館で選書する。学生の希望図書もできるだけ備えるようにしている。図書は、平成15年3月31日現在、305,466冊となり充実してきた。過去3年間の受入状況は次のとおり。平成12年度12,959冊、平成13年度15,141冊、平成14年度15,552冊。
 新入学生を対象に行う図書館利用オリエンテーションは、毎年多くの学生が受講する。平成12年度は、新入学生1,282人中1,115人(87%)、平成13年度は、新入学生1,349人中1,215人(90%)、平成14年度は、新入学生1,378人中1,257人(91%)が受講した。大学図書館の設備、機能、利用方法等を説明し、館内を案内した後に図書検索の実習を行う。説明当初の不安そうな学生の表情が、オリエンテーション終了の頃には笑顔になるなどの変化が見られる。学生生活を有意義に過ごせるようにと図書館の立場で支援するものである。また、説明を担当する図書館員も自己研修の機会になる。
 平成7年度から実施している開館時間の延長及び日曜日開館は、本学学生(学部生、大学院生)、教職員をはじめ、地域の市民や他大学の学生からも好評である。今日、大学図書館に求められる教育支援機能、研究支援機能、公共的機能にも応えるものである。地域に開かれた大学の図書館として市民の期待は大きい。平成14年度の学外者の利用は、80,499人で、全入館者373,946人の22%に達する。問題点としては、開館延長の時間帯は、派遣の職員で対応するので、館内閲覧が主なサービスとなり、レファレンスや学外機関、学内の他部署との連絡、手続き等のサービスは縮小せざるを得ないことである。
 新図書館開館(平成10年10月)以来、見学者は多い。大学図書館に興味がある高校生、中学生、地域市民団体、図書館関係者、及び県内外の大学関係者等の訪問が増えている(平成14年度997人)。地域への開放の一環として、また、図書館のよき理解者として案内し、大学図書館の機能、規模、構造、設備、資料等について説明している。
 平成15年度から、夏期休暇と春期休暇に、16歳以上の市民も図書館を利用できるよう規定を整備した。高校生等にも便宜を図り生涯の図書館利用者として支援するものである。
 平成15年4月に現在の図書館システム(NALIS)が稼動したことで、多言語や国立情報学研究所の新プロトコルに対応し、書誌や所蔵登録のデータ管理業務及び他大学図書館等の所蔵検索が効率的にできるようになった。ILLの申請や貸出図書の予約がインターネットを介してできるようになるなど、図書館サービスは飛躍的に向上した。また、DVD/CD-ROMサーバーを導入し、図書館の電子資料を学内LANから利用できるようにしたことと、インターネットを経由して外部データベースの利用ができるようにしたことで検索サービスの向上が図られた。
 ニューメディアに対応する図書館は、利用者に好評である。3階のAVリソースコーナーには、ビデオ・CD/DVDプレーヤー25台、PC-19台、カセットテープ・CDプレーヤーを7台設置し、利用者のニーズに応える。視聴覚資料の整備も図られ、資料は、平成14年度末(平成15年3月31日現在)で3,673点である。平成14年度の利用は、PCコーナー27,667件、ビデオコーナー11,695件である。AVリソースコーナー全体の利用は年々増加しており、平成12年度20,417件、平成13年度26,620件、平成14年度39,362件となっている。平成15年度内にはPCの増設を予定している。4階のAVホールは、講義、講演会や上映会の他に、学生や教員がフィールドワークで取材した研究成果をビデオやCDで発表を行うなど活用されている。また、図書館が行う情報検索ガイダンスも大型画面を利用している。AVホールの平成14年度の利用は77件である。
 図書館サービスはますます高度化しグローバル化する。多様化する情報メディアや機器に対応し、高度化する情報収集能力と合わせてプレゼンテーション能力が要求される。自館資料の活用だけでなく、国内の図書館は勿論のこと、国外の図書館資料も視野に入れ情報の収集や活用方法等の指導ができる図書館員を養成する必要がある。これは自館内だけの教育では難しい。そこで、できるだけ学外機関の研修に職員を派遣して館員のスキルアップを図るものである。図書館員の専門性と学内全体の人事異動方針との間に解決の困難な難問が横たわっている。この問題は、私立の大学図書館がそれぞれに抱えている難問であるであろう。本学図書館においても、専門職員の養成が急務である。

【改善・改革方策】
 建物の構造に関しては、障害者も利用しやすいバリアフリー化を進めている。利用者の視点で点検し、きめの細かな対応をする必要がある。特に、玄関入り口は自動ドアにするよう要請している。
 図書館利用促進の方策としては、現在実施している新入生に対するオリエンテーションの他に、ステップアップガイダンス等を実施し、学生自身が、高度化する情報収集に対応できるよう支援をする必要がある。平成15年度からは大学院生対象のガイダンスを皮切りに、学部生対象の文献検索ガイダンスを計画している。そのためには、担当職員を学外の研修へ派遣し、スキルアップを図ると同時に全館員の協力のもと実施する予定である。
 新図書館システムの導入により図書館業務や図書館間の連携など、図書館サービスが効率的になった。NACSIS-IRやNACSIS-ILLの活用で国内・国外の図書館と連携する図書館サービスの拡大を目指すものである。
 ネットワークに対応するDVD/CD-ROMサーバーの導入により、書誌情報の検索は効率的になった。電子資料の収集や外部データベースの活用と合わせて図書館資料の構築を図りたい。